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12話『件の先輩』
それから授業が終わり――放課後。
今日も今日とて特にこれと言って事件はなく平穏だった。
磐木は二日目にもかかわらず、慣れたのか元気よく手を挙げて解答したりしていた。小学生か。
カバンを持って磐木と今日もバス停まで行こうと思っていたところで思わぬ足止めを食らった。当然晴太は顔をしかめた。
「晴太君。久しぶりだな。今から付き合ってくれるな?」
呼び止めたのは磨いた黒艶を放つ長髪が特徴的な三年の先輩。笑みを浮かべた整った顔立ちに長い手足、可愛いというよりかっこいいというか美人だ。その容姿ゆえにさぞかしモテるのだろう。
事実モテていた。過去形。三年になった今では言い寄る男子生徒はないらしい。女子が『爽やかな先輩』と囃し立てる、とてもイケメンの先輩に告白されて断ったらしい。ちなみに晴太は未だ見たことがない。
まさに『高嶺の花』のような先輩に話しかけられて普通の男子生徒であれば興奮不可避。だが晴太はそんな美人の先輩に声をかけられて顔をしかめてしまうほどに、うれしくなかった。なぜなら、この先輩が『例の面倒くさい話』だから。
「……何でしょうか……志良先輩」




