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僕の1993 春  作者: まさひろ
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 7時5分前に〇×東駅前についた。

 着くとそこには、佐藤雄二とその横には一人の女性がいた。

 僕は、佐藤にお待たせと挨拶すると「おう」と佐藤が手を上げて挨拶し「覚えていないかもしれないが、一人だけ友達を連れて来たんだ。誰だかわかるか?」と聞いてきた。

 髪の毛はセミロングで少し茶色をしていて、やせ型の美人顔の女性だが、当然僕は記憶がないので「覚えていない」と返答した。

 「忘れたの?岩田君、たかこ。石田貴子いしだたかこよ!」と茶髪の女性が目の前に来て言い放った。

 ちょっと、引いて「ごめん、覚えていないんだ、訳は後で説明するよ」と両手の手のひらを石田に向け身構えてしまった。

 少し石田貴子は睨んでいたが「わかったわ」とひとこと言うと「佐藤君早くお店いきましょ」と佐藤の方に振り向いた。

 僕達三人は、駅から歩いて3分の所にある居酒屋に入った。

 回りを見渡しても居酒屋はここ一軒しかない田舎だけど・・・

 メニューを見ながら車だし酒はまずいなと思ったが、佐藤と石田は生ビールを注文したので、僕は今日泊まる覚悟で同じビールを注文した。

 ビールを半分程飲んだ所で佐藤が話を切り出した。

 「実は、前会った時にようちゃん・・あっ昔の呼び方でいい?」

 「いいよ」僕が軽く返事をすると、佐藤はすぐに話を続けた。

 「ようちゃんが昔をあまり覚えていないといったので、石田さんに小学校の卒業アルバムを持ってきてもらったんだ」

 「ありがとう、助かるよ、でもアルバムを見る前に僕が覚えていない理由を説明するよ」といい、昔の交通事故の話を簡単にした。

 「それで、岩田君、やすお君の事はおぼえているの?」と石田さんが聞いてきた。

 僕はごめんといい首を横に振った。 

 石田さんは鞄から小学校の卒業アルバムを出して、これがやすお君よと指を指した。

 その写真は全体写真で左上に丸く囲まれた中に一人の少年が写っていた。

 僕は無言で首を振る。今度は、夏の水泳大会の写真を開いて、又、一人の少年を指さして、「昔は、私とやすお君そして岩田君の3人でよく遊んだわ。たまに、佐藤君も加わったけど、ほとんどが3人で遊んだんだよ」

 僕は、どう答えればいいかわからなかった。

 タイムカプセルの手紙には、『やすお君が死んだ』と書いてあった。でも、僕は記憶喪失でその事実を知らない事になっている。手紙を見せれば僕は確実に窮地に追い込まれる。やすお君に何をしたんだと追及されるからだ。しかし、現在の僕にはまったく意味のわからない事柄であり、それを言われても困るからだ。

 もし、僕がやすお君の事を彼らに聞いたら・・・いや、この先を考えても聞かない方が無難だと結論した。

 僕は、「ごめん、僕は僕であるんだけど、小学校の頃と中学校以降の僕では、別人になっているような感覚なんだ。こんな、言い方しかできないけど、信じてほしいんだ」

 僕の話を聞いて佐藤と石田さんは少しの間黙り込んだ。

 「まぁ、いつか記憶が戻るかもしれないし、今はとりあえず、再開を祝おう」

 佐藤は重たい話をすり替えようと必死にこの場を見繕みつくろった。

 その後は、小学校の昔話や僕の知らない中学校の話を二人はしてくれた。

 結局僕らは9時30分ごろまで2時間半位飲みながら話した。

 僕は、石田さんの連絡先を聞こうとしたがなんとなくやめた。

 帰り際に佐藤が僕を石田さんから離して耳元で「俺は石田さんを狙ってるから手だすなよ」と少し照れ臭そうに話した。僕はそれに無言でうなずいた。

 僕は、彼らと居酒屋の前で別れて駐車場の横にあるコンビニで水を買って車に戻った。

 今日はいろんな話を聞かせてもらったが、やすお君についてはあまり聞けなかったと思ったが、進歩はあった。

 それより、明日は美奈子と朝からデートだったので、このまま車で寝て、朝早く起きて寮に戻り用意しようと、車のシートを倒して寝ることにした。

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