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9.お友達



ゼルディアはどうやら王国に使える騎士らしい。道理でキラキラしているわけだ。



王国に使えている騎士は王宮の近くにある騎士団に寮があってそこに住んでいるらしい。


なんだかかっこいい……王国騎士団っていう響きが……


ユイは思わずうっとりとしてしまう



「ユイ?」

「あっすいませんぼーっとしてました」


いつの間にか覗き込むようにして来ていた頭は近くに来ていた


近いよ……


なぜかこの世界の人はみんな顔がいい、


「ん?顔赤くないか、大丈夫?」

そしてまた近づいてきた


「不用意にその整った顔を近づけるのやめて貰えませんか……」


私は思ったことを言ってしまった


だけなのに、ゼルディアはキョトンとして顔を真っ赤にして顔を遠ざけて行った


「あーいや、気をつける、いや、ごめん、あー、ありがとう?いや、えー……」



「はい、気をつけてください、では冒険者ギルドへ着いたのでもう行きますね」


「あっ、あぁ……またな……」





ゼルディアは火照った顔をどうしようと思いながら頭の中はぐるぐるとしていた


「あれは……天然なのか……?わざとなのか?……くそ、こんな気持ちになるとかないだろ……」



階段を登っていくユイの背中を見て呟かれた一言は風に流されて誰の耳にも入ることは無かった








扉を開いてすぐ横にあるクエストボードにはもうすでに紙が数枚しかなかった


「だよね……」



寝坊した自分が悪い……とひとまず紙を見てみる


1つ目はオークの群れの討伐依頼。

2つ目は難易度が高めの魔物の討伐依頼

3つ目は難易度が高い上に一体じゃなくて数体いる

という高ランククエストだった。



依頼者、依頼内容、そして報酬、左上にクエストランクという順番に書かれている紙。


私は迷わず二つ目の紙を取った



理由は簡単だ、群れの討伐は広範囲の魔法だかなんだかがないと倒すのはただただめんどくさいだけだし、群れだと二手に別れていた場合がもっとめんどくさいからだ、


そういうと3つ目も同じなのだが、強くて多いとかもはややりたくない。

いや、度合いによるんだけどね?

だからまずはランクが高めに設定してあって一体だけの討伐依頼を受けて、余裕があれば3つ目もうける、という予定である。



ユイは紙をカウンターに提出した


「おっ、こんにちはユイ、早速初依頼?」


「うん、寝坊しちゃってもう依頼があんまりなかったけど、良い依頼があって良かったよ」


レティは相変わらず可愛い、そんなレティは、わたしの紙を見てぎょっとした


「え、ユイ、これ?間違えてないよね?」


「えっ、うん、あの中で一番楽そうだったから……」



そういうとレティはちょっとまってて!といってクエストボードに走っていった



そして紙を1枚ぴらっとはがしてくると私の前に置いた



「ユイは知らないのかもしれないけどクエストの難易度はここのランクで決まってるのよ?ユイが出したのはBランク、初めてなんだからC+のコッチにしといたら?」



そうして差し出されたのはさっき1番やりたくなかったと思った数が多くてめんどくさい依頼だった


「えっ…いや……私はこっちのが簡単だと思う……」


「いやー、ううん……クエストを決めるのは冒険者だから私からは何も言うことは出来ないけど……、怪我をしそうになったら絶対に逃げるのよ!あと、クエスト報告は倒した時に出る魔石を持ってきてね」


レティは心配そうに私の手をぎゅっと握って言ってきた


「うん、わかった!じゃあ、行ってくるね!」







「最初からBランクとかありえないから……」


扉の外に消えていくユイの背中にレティは言うのだった












その魔物がいるのはユーリカさんの家がある森の、家の真反対の場所だった。



「背が高い木がある開けた場所……好みの木の実はシュカの実……?」


いやなんじゃそれ〜、とユイは紙を片手に天を仰いだ


まずシュカの実が何かわかんないしそんなのどこにあんのって感じだし……



まずは魔物を見つけるところから苦労しそうだ、ゲームだったらマップ見て行くだけなんだけどなー、



「よし!何はともあれお昼ご飯食べよう!」



実はさっきからお腹すいてたんだよね……何せ家出たのが9時くらいだし朝ごはん食べてないし……


とりあえず食事処へ向かおうと踏み出した時、見計らったようにお腹からぐぅ〜と催促の声が聞こえてきた


「はぁ、はいはい今すぐお腹に入れてあげますよーって」



ユイはお腹を抑えながら歩き出したのだった









「えーっと、ここら辺だよね」



ユイは慣れない土地ゆえに左へ右へと歩きながら1軒のお店にたどり着いた


「はー、今すぐ届けてあげるからね」


ぐーぐーとなって止まないお腹に私は言った



「はは、誰と喋ってるんだよ?」

「うわっ!ゼルディア……!びっくりした……」


突然かけられた声の主はゼルディアだった

当の本人はよっ、と片手を上げて挨拶をしてくる



ゼルディアも今からご飯だったみたいで、一緒に食べることになった



席について、メニューを見たものの、何分料理が想像できなかったのでゼルディアが頼むものを私も、と言っておいた



「それで、クエスト、何受けたんだ?」


ゼルディアは先に出てきていた水を少し飲みながら尋ねてきた


「Bランクのクエスト、なんかシュカの実、ってやつを食べる見たい」


「あぁ、イビルウルフだな、ダークウルフ上位種の」


ゼルディアはどうも知っているらしかった


「へぇ、何処にいるかとかも分かるの?」


「おう」


一瞬楽しようという気持ちが出かけたけど、思い返すとゼルディアだって仕事の休憩をしているだけであって持ち場を離れる訳には行かないだろう、王宮騎士なわけだし。


急に黙り込んだユイを訝しんだのかゼルディアは大丈夫か?と言ってきた



「うん、出来れば場所を教えて欲しいなって思ったんだけどゼルディアも仕事中だって思ってさ」


「いや、それくらいだい大丈夫だよ俺に任せとけ」



な、なんとこの人は優しいんだろうか!!



「ありがとう!!ゼルディア!」



思わず目の前の男の手をとってブンブンとふってしまった



「うおお、おう、おう、任せとけよ……」



ちょっと引かれたみたいだった




そこにちょうど頼んでいた料理が来たみたいで、話は一時中断となったのだった



ユイはゲーム脳なのでいかに効率的にクエストを達成するかでクエストを決めています(笑)

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