7.冒険者ギルドへ
どうしよう……ラルフさんのお店を出てからユーリカさんがずっと黙ったままなんだけど……
あの後剣を一振貰って、店を出てから冒険者ギルドへ向かってずっと歩いてきた、それなりに歩いたから冒険者ギルドだと思われる看板ももう見えてきている、
「ゆ、ユーリカさん?」
「……」
ユーリカさんがぁぁぁぁあ!!!!
ぇぇえええどうしようどうしようユーリカさん怒らせちゃった!?!?
ま、まさかユーリカさんに無視されるなんて……っ
ユイは肩を落としながら冒険者ギルドの階段を登った
「ユイ」
扉を開けようとした時だった、ずっと黙っていたユーリカはユイを呼び止めた
「……?はい、なんでしょう、」
ユーリカさんは言いずらそうに口を引き結んで目を瞑った
「あんた、人前では魔法を使うんじゃないよ、命の危険を感じた時、どうしようもないと思った時以外は使っちゃいけない、分かったね?」
それが冒険者にする条件だ
ユーリカさんは少し笑って私の方に手を置いた
「……はい!」
なんでかきになったけど、あんなつらそうな顔させちゃダメだよね。
ユーリカさんに手を振って私は扉の中に入った
「うーわぁ……すごい。」
中ははっきりいってすごい。なんと言うか、すごいのだ。
「すごい強そうな強面がうじゃうじゃ……」
「邪魔だ。どけ」
急に視界に影がさしたとおもったら背後からものすごい低い声が聞こえてきた
「はっ、はいっ!すいませんっ!」
やっぱりこわいいいいいいいい
さっさと受付のところへ行こう
「あの、すいません。冒険者になりたいんですけど」
受付の人は桃色の髪の毛で、目がぱっちりした二重でとても快活そうな印象を受ける女の子だった
「はーい!なりたいってことはここは初めてかな?ようこそ!冒険者ギルドへ!私は受付嬢のレティちゃんだよ!」
「よ、よろしくお願いします!レティさん!」
レティさんはレティでいいよ〜と笑いながら言って、カウンターの下から何かの紙を差し出してきた
「それじゃあここに名前を書いてね」
私はサッとユイ、とかいた
今思ったけど文字とかも読めるし描けるんだ。見た目とか街は外国だけど日本語なのかな?
「次は……よいしょっ!」
レティは少し大きな水晶を出してきた
「これに魔力をめいいっぱい出してね、これがあなたの冒険者ランクになるから!がんばれ!」
ニコって笑って応援してくれたのは嬉しいけど、さっきのユーリカさんとの約束があるし……めいいっぱいって言うのもどんくらいだせばいいか分かんないし……
少しずつ出してみよう。
「……っ」
水晶に手を当てると、それだけで魔力が吸われているような気がした
そうしていると、少し水色だった水晶が下からどんどん濃い水色になってきた
半分くらいになった時に私はパッと手を離した
「あの、終わりました」
「……え、うん、そりゃ終わらないとおかしいよね……」
レティは水晶を凝視してそう言った
「あ、そうですよね、すいません……」
「いや、謝ることじゃな……ま、まっててね、ちょっとギルマスに……いたっ、いってくる!!」
レティは顔色をコロコロ変えてつまづいて転びそうになりながら水晶を持って奥の部屋に消えていった
しばらくそこで待っているとレティは高身長の強面を連れて戻ってきた
「え、え、え……」
私なんかやらかしたの?
「お前が……ちょっと奥で……話がある。」
強面は奥の部屋を親指でクイッと指して鋭い目付きで見下ろしてきた
ひえええええ怖いよおおおお
「ふぁいっ……!」
周りから何したんだあのチビ……とかギルマスからの呼び出しくらってるぞ……
とか聞こえてきて、あの人がギルマスなんだ、ということとギルマスからの呼び出しはそうそうないやばいことなんだということがわかった。
ビクビクしながら後をついて行くと、ソファのある部屋についた
座ることを促されて3人が座ると開口一番に言われた。
「お前は何者だ」
ユイの背中には冷や汗がダラダラ流れていた
「何者だっ……て、どう言うことですか……?」
何者でもないよ!!普通の一般ピーポーだよ!!
「魔力量がおかしい。」
ギルマスの口から零されたのはそんな言葉だった
「そんな事言われても……私は一般人です……」
それを聞いたギルマスはチッと小さく舌打ちしてぼそっと言ったのだ
「お前みたいなのがAランクの魔力量だってしれたら貴族に狙われるんだよ」
「どういう、ことですか?」
ギルマスが言うことによると、この世界は魔力が同じくらいじゃないと子供が出来ないのだそうだ。冒険者は女性が少ないし死ぬことも多いからそんなことはあまりないけど、Aランクともなると死ぬことも滅多にないし貴重だしで狙われることがあるかもしれないというのだ。
「だからなぁ、お前には申し訳ないが冒険者ランクを下げさせてもらいたい。こちらとしてもお貴族様との喧嘩には勝てないんでね。」
「収入には関係ないんですよね?」
「あぁ、問題ない。」
「なら大丈夫です、ご迷惑おかけします」
魔力が同じくらいじゃないと子供が産めないなんて知らなかったなぁ……
私はカウンターでレティにBランクのギルドカードを受け取った
「これからはあのクエストボードで依頼を探して、いいのがあったら紙を持ってきてね。いい仕事は早くなくなるから、気をつけてね!」
「はい!ありがとうございます!」
では、と帰ろうとしたところにレティはちょっとまって!と言われて立ち止まった
「何かあったら私に振って、何とかするわ、女の子同士だもの、敬語もなしでいいわ、仲良くしましょ!」
「えへへ、ありがと!」
この世界に来て初めての同い年くらいのお友達だ!
ユイは思わずスキップしそうになった
「ユーリカさん、先帰ったかな?」
どうだろ、と思いながら扉を開けると強い風が吹いてきた
「うわっ」
ずっと被っていたフードが風に飛ばされて取れてしまった
「あんまり取らないように言われてたのに……っ」
そう、ユーリカさんは家を出る前にフードはなるべく深くかぶって脱がないようにしな、と言ってきていたのだ
「まぁ、一瞬だったから大丈夫だよね」
ユイは小声でそう言ってユーリカの待つ家へ小走りに駆け出した
冒険者ギルドの扉からでてきた小柄な人影を見かけた。
体格がしっかりとしているものばかりの冒険者の中であんなに華奢なのは女しかいないだろう。
そう思って見ていただけだった
だが、次の瞬間深くかぶっていたフードが外れてその顔があらわになった
「なんっ……だ、あれは……」
風になびくサラサラとした銀色に輝く髪。少し朱が差した白い肌。ぷっくりとした唇。大きな赤色の双眸。
一瞬だったのにも関わらず、俺の目には彼女の容姿が焼き付いたように離れなかった。
「なんだ、胸が……おかしい、」
クラクラするようだ……、目もあっていないのに妖術にかかるわけもないしな……おかしい。
あの子は……どこに住んでいるのだろうか。
魔力量、抑えたのにも関わらずAランク。
ちなみに冒険者ギルドで使われている魔力測定の水晶は濃い水色満タンでSランク、半分でAランク、少しかなりかけだったらBランク、薄い水色が濁ってたらCランク、透き通ってたらDランクってなってます。実は最高はSSランクがあって虹色に光り輝くとも……(伝説)