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6.ユイの剣

すいません全然冒険者ギルドへ行きませんでした。



「はぁ、まぁお前さんがユーリカを悲しませることがなけりゃいいんだ。弱っちいやつが金のために命を散らす所なんざもう見たくないしな。」


おじさんは視線を私から外してそう言った

そして店の奥に入っていき、帰ってきた時には手に剣を持っていた


「好きな武器を壁から取って俺についてこい」



そう言うが否やおじさんはある行って店の奥へ行ってしまった


「ぅえっ!?え、えっと、あ、あった、待ってください!!」



壁にある武器の中から直剣を探して急いでおじさんの後をついていく


ユイがガルスオンラインで使っていたのは直剣だった。

他の武器の熟練度は必要最低限しか上げていなかったが、直剣の熟練度はレベルキャップ解放ごとにMAXにしていた。


1番最初に使いやすいかな?と思って取っただけだったが、それ以来直剣以外使いたくなくなってしまったのが理由である。


あれはゲームだけど、私にだって直剣が使えるかもしれないしね!

いや……むしろ直剣しか使える可能性が無い……



おじさんは店の奥に進むが、目の前は壁だった


「えっ、あの、壁、ですよ?」


ユイがそう言うとおじさんはニヤッとして壁の端っこの部分を強く押した


すると、押された部分のブロックが中に入って空洞ができた。そこに手を突っ込むと壁に細い光のラインがはしり、左右に開いて行った



「……えっ、すごい」


「はは、どうだ、すごいだろう!俺自慢の地下室だ!」


壁が開いた先には地下に階段が続いていた



そこを降りていくと、(……私は地下室と言われた時点でちっちゃな研究所みたいなのを想像していた)大きな部屋が広がっていて、床は地面のような感じだった


「ここ……は?」


それを聞くとおじさんは私を振り返り、直剣を鞘から抜いた。


「決闘場だ。」





「えっ、ええええええ!」


剣を取ってついてこいって言った時に少し察してたけどまさかこの屈強なおじさんと私が戦うの!?!?


私運動はできるけど戦いなんて無縁だったよ!?戦ったことなんてゲームの中だけだし!!無理でしょ!!!ゲームの中とリアルは違うのよ!!!!!



「お前さん、あそこに……って、そういえば名はなんて言うんだ?あぁ、俺はラルフだ。よろしくな」


それを言われて初めて思い出した。

そういえば名前聞いてなかった


「私はユイです、こちらこそよろしくお願いします」

差し出された手を軽く握って挨拶を交わす


「じゃあユイ。あそこの白い線が引いてあるところにたって剣を構えろ」


うわぁぁぁぁあ


戦うんだってぇぇえええ……


「うっ……はい、」

「勝負はユイが俺に1回攻撃を当てれるかどうかだ」



それではよーい、はじめ、と続きそうな所をユイは急いでストップをかけた


「ちょ、ちょっと待ってください!攻撃当てちゃったらラルフさん怪我しちゃいますよ!」


「ほぉ?自分のことより俺の心配か?余裕じゃねぇか」



なんだかラルフさんが好戦的になってる気がするのは気のせいかな、気のせいだよね、うん、やめて



「っしゃいくぞ!うおおおおおっ」


「……っ」



ラルフさんが駆け出すのと同時に私も地面を蹴った


ラルフさんの剣が振り下ろされる




……私の頭の上に来た……ここだ!!!



右の方で階段を降りてくる忙しない足音が聞こえたがユイは構わず頭上の剣を弾き返した



「ユイーーー!!!!!!」


「えっ、ユーリカさん!?」


双方が巻き上げた土煙が邪魔で周りは何も見えないけど、ユーリカさんが切羽詰まった声で私の名前を呼んだことはわかった


「ラルフ!!!あんた私のためとはいえ素人相手に何やってんだい!!!殺す気なのかい!?」


ユーリカさんは多分土煙で何も見えていないんだろう、


私はユーリカさんが心配で目を瞑ってユーリカさんの声を頼りに走った


「っ、うぇっ、う、ユーリカさん!」



土煙から出たものの少し口の中に入ってきた……うぇ



だが、目を開けたらユーリカさんは驚いたような顔をして私を見ていた



「ユイ……あんた、ラルフとやり合って無傷だったのかい」


「剣を1度きり結んだだけですので」


私はあ、危ない、と思って右手に持ったままだった抜き身の剣を鞘に収めた






「はは、素人?そんなわけ……ないだろ」





土煙が収まってきた時、ラルフさんが切り結んだ場所でそのまま立っているのが見えた



「ラルフ……?あんた、それ」

ユーリカさんはラルフさんのことを見て絶句した




「素人に俺の本気の剣が防がれるどころか剣をはじけるわけが無いだろ……」




ラルフさんの剣は手から離れて遠く離れた場所へ落ちていた

「ラルフさんすいません、私、攻撃を一撃当てるなんて、やっぱり無理です。」



それを聞いてユーリカもラルフも目を剥いた


「おいおい、悪かったって、俺がお前さんを見くびってただけだ、そんなこともうしないよ……」

「あんたあれだけじゃなく、剣も使えたなんて……本当に……」



二人とも顔が強ばっていた


「あ、えっと……すいません……」


















ユイを先に店内へ戻したあと、俺はユーリカに先程のことを報告した


「なぁ、あの子は、何者なんだ……?」


さっきのあの子は、俺が突然走り出したのにも関わらず少しも遅れずに走り出したんだ。


剣を振る時だって顔は不安そうな顔だったのに、目はずっと俺の目を見てた。


寸止めすれば怖がって冒険者なんて辞める、って言うのを期待していたって言うのに、結果は俺が剣を吹き飛ばされて無様な姿を晒しただけだった。



ユーリカとユイの関係はなんなんだ……?

ユーリカが我が子と同等にあの子を見ているのは見ていればわかる事だ。


だが、あんな事があったのにあの子を冒険者にさせるなんてこと、俺には理解できなかった



「あの子はね、こないだ私の家の前に倒れていたんだよ」

「家の前って、結界の中、か?」


ユーリカの家には結界があったはずだ、あそこの森は凶悪な魔物ばかりがいる、人が入ったらひとたまりも無いはずだ。でも、結界の中に入れるのはユーリカが認めたものしか入れないはず、それは分かっていたが、出なければおかしい。


「いや、結界の外だ、外に出るとあの子が倒れていてね、木の影に魔物の影がチラついていて急いで結界の中に引き入れたんだけど、今思えばあそこで襲われなかったのはおかしいんだよ」


そうだ、魔物は獲物を見つけたら直ぐに仕留めにかかるはずだ。



魔物が獲物と定めないのは……自分と相反する属性が自分より大幅に上回っていた場合のみ。



「その時の魔物の属性は?」


「私がみたのは全部闇属性だったけどねぇ、」



つまりユイは、光属性の魔力値が高い、しかもあそこの魔物よりも()()()に、高いということだ。






厄介なことになったな。





まさか、希少な光属性が高い子が冒険者になるなんて。


ユイはエルノアからゲームの力そのまま受け継ぐというチートがあるので剣の腕はピカイチです。



次回は本当に冒険者ギルドへ行くと思います

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