14.特別特典
「っと、もう時間が迫ってるな……伝えなきゃいけない事があったんだよ」
「……まだ……?何か……?」
疲労困憊した様子のユイは、あの後ずっとエルノアの
可愛いところを聞かされていた
もうお腹いっぱいですとサニアを睨み半分に見つめると
「ごめんねぇ、エルノアの話はまた今度」
いやもういいから!!!それがもういいんだってば!!!とユイの心の中の突っ込みが炸裂した
「エルノアがユイに伝え忘れたって言ってたことは、
ユイが安心して暮らせるように、ゲームのステータス引き継いでレベルを初期化しといたから!レベリング頑張ってね!……だそうだ、ついでにステータスオープンって言えばレベルだけ表示されるぞ」
サニアは微妙に似てるかも……という感じのエルノアの声真似とともにそう言ってくれた
「へぇ……ステータスオープン……へぇ、イビルウルフ一体で3レベにまでなったんだ、まぁ最初だしね」
ピコンという軽い音とともに現れたのはLv.3と言う文字だった
「あ、ここの空間でならステータスみれるよ、見る〜?」
「はい、見たいです」
私はLv.99の時のattack値だけ覚えていたので、見れられたステータスを見て安心した
私、Lv.100になれてたんだ、……なった途端に1レベになってたって、悲しいけどね
覚えていた値よりも少し上がったステータスを見て、ユイは嬉しくなった
「じゃあ……って、ユイは僕らの血族とも仲良くしてくれてるみたいで嬉しいよ、一方的なものだとしてもね」
サニアは別れを切り出そうとしてそういった
「血族……?」
「そう、僕の世界の……って、あは、隠してるのに僕が言ったら駄目だね、じゃあねユイ、僕は応援してるよ〜またなんかあったらよぶね、ばいばい」
えっ、ちょっと待って、という前にサニアの姿は霞んで消えていった
そして、気づくと噴水の広場にいた
「え〜、なにそれ……」
サニアの言っていた血族はいくら考えても分からなかった
「うーん、ユーリカさんの欲しいものとかわからないしなぁ……」
ユイはあの後貰った報酬でユーリカさんに何か買っていこうかと露店に寄っていた
綺麗だな、と立ち止まった魔石のお店には沢山の加工品が置いてあった
指輪やネックレス、イヤリングにブレスレットなど、金属で加工されたアクセサリーの類が並んでいる
この世界での魔石は宝石のような物なのだろうか?
ユイがそうして見ていると、店主のおばさんが出てきた
「おや、もしかして大切な人に送る魔石かい?」
「はい、感謝してる人がいて、その人にあげようと思っているんです」
そう言うと、おばさんはそうかいそうかい、と笑って、それならこれがいいよと3つくらいの魔石を指してくれた
「左から緑色のが健康、青色が幸福、黄色が長生きの意味がある魔石なんだよ、大切な人にぴったりさ」
それはどれも小さなものだったが、周りにあしらわれている細かい金属細工が、キラキラ光る魔石をより一層綺麗に見せていた
「青色のをください」
ユイは幸福の青色を店主に頼んだ
ユーリカさんには幸せになって欲しいんだ、私をこの世界で大切にしてくれる、大事な人だから。
「毎度あり、じゃあ、その人と仲良くね!」
「ありがとうございました」
ユイはおばさんに手を振って背を向けた
ビンテージ物のような色をしたそれはネックレスだった
ユイはそれを大事に手に握りながら家に向かった
「ただ今戻りました〜!」
「おかえりユイ、……なんだい、ずいぶん嬉しそうだね……初めての依頼は上手くいったのかい」
ユーリカさんは私を見て少し笑いながらそういった
「えへへ……あの、これ、ユーリカさんに!」
ユイは後ろ手に隠していたネックレスをユーリカに差し出した
「ユイ……こ、れ……あんた……」
ユーリカさんは私が想像してたのとは違う反応をした
私は、もっと、喜んでくれるかな〜?とか思ってたんだけど、目の前のユーリカさんは私の手を見て目を見開いてる
なにかダメだったのかな……
「ユーリカ、さん……?」
ユイは心配になって手を引っ込めようと思ったが、それはユーリカによって遮られた
「あ、いや、なんでもないよ……ありがとね、嬉しいよ……本当に、うれしい……っ」
そして、私の手首を持ったユーリカさんの手は震えていて、
「ユーリカさん……っ、なんで、泣いてるの……?」
ユーリカさんは泣いていた
次はユーリカさんの過去の話です