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機械じかけの私とお父さん  作者: ブラックサレナ
姉妹1 宗教好き
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⑤ 召喚された「悪魔」


「彼」を召喚した。 それから私は目を見張る。


召喚された彼はなぜか鉄鎧の従者を一人従えていて

彼とその従者はあっと言う間に10人ばかしの護衛の帝国兵を片付けた。


帝国兵の放った魔法も従者には通じる事も無く、奴等は地面の土に顔を埋める。

そして彼は床に転がる奴等に止めとばかりに剣を突き刺した後


従者に命じたのだろう。

転がっている死骸を全てブチブチと引き千切らせ、それ等を穴に埋めさせた。


彼は人、なのだろう だが彼が行ったのは正に悪魔の所業だ。

慈悲など無かった。 彼は全てを殺し、全てを隠蔽したのだ。


しばらく彼は呆然と空を見上げた後ゆっくりとこちらを向き、気付いた。

私も彼を見る まず彼を見て思った事 大きい…


目の前でそびえ立つ「彼」は2「進」近くはあるだろう 

黒い髪 刺すような目 歳は取っているだろう 見た所30そこらだろうか


偉丈夫だ。見れば分かる 美しく、堂々とした男性だ。

彼の刺すような視線が私に突き刺さる。


彼が私に何かしら呟く 言葉は分からない。そして私も口を聞けない

もし彼が私を殺すのであれば、私はもはやそれまでだろう


手も足も無い 口も聞けない 私はどうにも出来ない


彼は私の体を欲するだろうか? 

こう見えても、里に居た頃はわりと持て囃されていた。


胸だって大き、いや… それは今気にする事ではないか


彼はジッと私を見る 私も同時に彼を見る

互いの細かい瞬きを確認出来るくらいに流れた時間


そして、ふと彼の目が優しくなった。 彼のその大きな手が私へと近づいて来る。


彼が私の髪をすく そして彼は言った。 意味は分からない。


「カワイソウニ コノコハ、テキニヤラレタンダナ」


優しい言葉だった。意味は分からない。 

だが久しぶりの優しいであろう言葉をかけられて、私は泣いた。


涙をすくう自身の手も既に存在しない 逃げ出す足も無い

全てを失った。 そしてそれを慰めてくれる家族も、無くした…


だが今、目の間で私を気遣い慰撫してくれる存在が居る。

それがただ無性に嬉しく、そして悲しかった。


彼の目が変わった瞬間に分かった。 彼は悪魔では無い。

悪魔を望んだ私は、無意識に違う物を思ったのだろう


分かるのだ… 彼は、ただの「人」だった。


泣く私の髪を優しくすきながら、彼は黙って私の傍に寄り添う。


私は素性の知れない者の運命を共に落としてしまったのだろう。

私が彼に謝罪しなければならない日は来る。


だが、今は彼のその優しさに触れていたかった。

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