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機械じかけの私とお父さん  作者: ブラックサレナ
姉妹1 宗教好き
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② 正義の番人

単刀直入に言えば、私は解放された。

なんでも私が敵として葬った彼の親類が、私の潔癖を証明してくれたらしい


やはり私は何も悪くなかった。 正義は実行されたのだ。


だが私はそれからしばらく名誉の負傷で入院し

やや口調や仕草が異なる者達が通う病院へと保護された。


「ああ、白銀さん… また、貴方ですか…」


そこの病院の院長である老齢の紳士が私に悲しそうな顔でそう呟く。

私はそれを申し訳なく思った。 だが、同時に誇らしく思った。


自分という存在が敵を倒し、世界を一つ良くした事で

この哀れな老紳士もまた救われたのだ。


私は彼に最大限の敬意と礼を尽くし、彼の病院でしばらく世話になる事になる。


施設の職員である白衣の天使達は呟く


「なんであんな紳士的で良い人がここに…」

「あんなにかっこいいのに…」

「可哀想に… 奥さん子供を亡くして… それから」


彼女達が呟く言葉は、常に自分を案じてくれる言葉


それは当たり前だろう。

私という存在は常に正しく 私は常に正しいのだから


そして私は病院に居る間、彼女達にも最大限の礼を尽くす

やや歳若い彼女達の一部は、私の笑みを見て顔を赤らめ


「あの… 元気になって… これから、頑張ってくださいね」


などと優しい言葉をかけて、私の手を握って来たりする。

私はその言葉に答え、いつも「ありがとう」と笑顔で礼を言うのだ。


良好なコミュニケーションが支配する世界

私は職員だけでなく、また患者達にも信頼され


その中でも女性達からは全幅の信頼を得ていた。

自分という存在は、有体に言えばモテるのだ。


同じ天使としての職に付いていた娘にも良く言われた事だ。


「お父さんは美形だから自慢だけど、浮気とかしちゃ駄目だよ」


なんて… 


しかし今ではその言葉を聞く事も出来ない。

私はそれからしばらくして退院した。


院長だった老紳士が言う。 「もう、来ちゃ駄目ですよ… 白銀さん…」


私はその言葉に答える。 笑顔で


「この世に正義がある限り、私はいつだって皆さんに会いに来ます」


紳士の顔は悲しそうな顔で歪む

だが、それは正しい事であるのかもしれない。


正義は常に正義であるが、理解されるとは限らないからだ。

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