魔王、隠居する
この世界には人族、エルフ族、ドワーフ族、獣人族そして魔族が存在する。それぞれの種族の中には様々な国が存在する。人族は種族の中でそれぞれ代表者を決め国を建てている
そのような世界で最も種族は魔族である、魔族は強靭な体を持ち、膨大な魔力を保有する。それに恐れた他の種族は協力し合い魔族を滅ぼそうと考えたのである
魔族VS種族連合軍と形式上そのような形にはなったがその指揮官は決まっていない、人、エルフ、ドワーフ、獣人が指揮官は我らこそふさわしいと言い合いになったのである
そのすきをついて魔族は連合軍に攻めかかる、連合軍にとって不意打ちを食らう羽目になってしまい瞬く間に潰走、大陸の1/4を支配する
魔王国
「ギャハハ!今日見たかよあいつらの顔をよ!」
「ああ、見たぜ!あれは笑い者だった」
「だよな〜、何が勇者だよそこに居なくちゃ意味ねーのに威張りやがってよ」
「そうそう、言葉だけでかてるとおもったのかねw」
その日人族の攻撃を受けるが容易く返り討ちにした魔族達がお祭り騒ぎになって居た。しかしその者達のなかでも険しい顔をしている者達がいた
「魔王さま、あの報告をお聞きに?」
「うむ、勇者の件か」
「はい」
魔王とその配下達が会議をしている
「人間どももまた面倒なことを」
「仕方があるまい欲望に塗れたものがやらかしたのであろう」
「だが、勇者にやられた者達も多くいるのだぞ!」
ガタイが大きい鬼の様な顔の魔族が声を上げる
それに机に肘をつけ話を聞いていた初老の魔族が
「だが殺されたわけではなかろう」
「ま、魔王さま!た、確かにそのとうりですが」
魔族達を束ねる魔族の王、魔王は尋ねる
「で、ですが捕まった者達はこちらに帰ってきてないのですぞ!あいつらが殺したに決まってる」
「……憶測で決めつけるのはいけないと思うんじゃが」
少し考える様に頭を抱え答える魔王、しかしその場にいる者達が魔将軍たちは納得していなかった
「お言葉を返すようですが魔王様、我々魔族がどう言おうが他の種族たちは取り合おうともしないのですよ。それなのに殺されていないと申すのですか」
一人の将軍が返すが魔王は
「……奴らとの和平は結べんのか…」
力なくその言葉を出す
「無理ですね」
一人の将軍の言葉に同意するように他の将軍が頷く
それを見た魔王は意を決したように机からを机から離し立ち上がり
「そうか、ならば仕方があるまい。和平派であるわしはここで降りるとしよう。そうでなければわだかまりができそうだしの」
それを聞きにその場にいた者たちは声には出さないが目を見開き驚く
「ま、魔王様一体何を言っておられるのですか」
「む?意味がわからなかったか、わしは降りると言っておるのじゃ、魔王をやめる」
「「「「「「「⁈⁉︎⁉︎」」」」」」
「そんな驚くことかの?」
周りの反応に戸惑う魔王
「あ、当たり前です!」
「魔王さま、あなたは他の種族たちを根絶やしにするのではなかったですか」
「誰がそんなことを言った?わしが魔王となったのは他種族どもが我ら魔族を殺そうとしたからで根絶やしにしようとはちっとも思っとらん」
そんなこんなで言い切った魔王
「わしの後は息子に任せる」
後継を決めその場を立ち去ろうとする魔王の前に執事姿の魔族が立ち塞がる
「どこに行こうというのですか魔王さま」
魔将軍の誰もが魔王を引き止めようとしているのだと考えた
「そこをどけ執事長」
「いいえ、退きませぬ」
「むむむむ…」
「………」
睨む魔王にどこ吹く風のように見る執事長
「退かぬなら力ずくでも」
「おお、それは困りましたね。私ではあなた様には構いませぬ」
「ならば!」
「ですが、よろしいのですか?あなた様はあまり土地勘がありませぬ、城から出れば犬死にですよ?それでもよろしいのですか」
「ぐぬ…」
図星を突かれ言い返せない魔王に執事長は追い討ちをする
「奥様はどうするのですか?ご子息のことは良しとしても何も言わず出て行くのですか?」
「ぐぬぬぬぬ…」
老執事の言葉に攻めに膝をつく魔王、周りのものは引き止めることを期待し手を出さなかった
「そういうわけですから、奥様と私はついて行きます。奥様にはすでに話は済ましてあります」
「「「「「は?」」」」
その場の者は全員唖然とした。引き止めようと話をしていた執事から「私もついて行く」という言葉を聞いたからだ
「お、お主何を言って」
「おっとこうしてはいられませんな、急いで支度をしてまいります」
そう言って執事はその場を離れて行った
「「「…………」」」
静寂、未だ状況に追いつかず呆然とする者たち
「……そういうわけだから、わしは魔王をやめるぞ?後継者は息子でよかろう?」
静寂を切った魔王の言葉を最後にその部屋から魔王いや元魔王は出て行ったのである
新たな魔王がつくと魔族と他種族との戦闘は激化した。初めは魔族が有利であったが人族が呼んだ勇者により形勢は逆転し、勢力図は最盛期の半分まで落ち込んだのであった