442日目 寝耳に水です
アッシェ:調薬担当の三つ目族。甘えた口調で毒を吐く。結構腹黒??
コンカッセ:ぶつ切り口調の魔法具担当。いつも眠そう。アッシェと仲良し。
アルン:エデュラーン公の孫娘。調薬の勉強中。オヤジスキーだと言う事が判明した。
フィフィ:リエラと同じ孤児院出身。コンカッセから魔法具作成を学び始めてる。
2017/2/20 セリフを一部修正いたしました。
ワイワイと酒杯を空けながら盛り上がっている、4人の女子を眺めつつ、私は現実逃避を試みていた。
今は丁度、アッシェ・コンカッセ・フィフィと続いたコイバナの最後の仕上げとばかりに、私の事を根掘り葉をほじくり返す勢いで聞きだされてしまったところだ。
もう、恥ずかしくて死にそう……。
そもそも、今日はアスラーダさんが帰って来る日だからって事で急いで帰って来たのに……。
一体どうしてこんな事になってるんだろう??
帰ってきたアスラーダさんは、居間で大騒ぎをしてる私達から離れて食堂で待機していたポッシェと一緒に出掛けて行ったみたい。
ポッシェは、「女の子同士で話したい事があるですぅー」とアッシェが言うと、快く外食しに行く事を了解してくれてしまった。
「たまには、そう言う日もあるよねぇ~。」
なーんて、随分と物分かりのいい事を言いながらホワンと笑うんだもの。
正直、ゴネてくれたらお流れになるんじゃないかと思ってたのに、アテが外れてしまい私はがっくりと肩を落とした。
「アスラーダさんが帰ってきたら、2人で外で食事してくるよ。」
そして彼は、その言葉をきっちり実行に移したと言う訳だ。
週に1度しか会えないのに、あんまりだと思う。
今日じゃなくてさ、別の日に開催でもいいじゃない?
なので、私は不貞腐れながらアッシェの用意してくれた、果物を漬けこんだワインをチビチビ呑んでいた。
コレ、呑みすぎちゃいそうでマズイな……。
少し、ぼんやりしてきた頭でそう考える。
甘過ぎず、柑橘類の爽やかな酸味がアルコールを誤魔化してて呑み口が凄く良い。
それでいて喉を通る時には、少し熱い感じがするのだ。
呑みやすい割に、アルコール分が高いらしい。
そう思いつつもまた、おかわりを注いでしまってるんだけど、まさかの常習性があったりとか……。
その時、アルコールが回ってきて支離滅裂になってきた思考に、アルンの声が割り込んできた。
「だいたいですねぇ~! おじいさまはひどい!!!」
「うんうん。ひどいですねぇ。」
「ししょーのかれし、ぜんぜんわたしのこのみとちがうんですの~!!!!!」
そう言って、わっと泣き出した彼女にハンカチを差し出しながら、アッシェは冷静に相槌を打つ。
私と同じ物を呑んでるアルンと違って、アッシェは蒸留酒に氷を浮かべたものを呑んでいる。
それも結構なペースで。
「確かに、渋味走ったおじさんではないですぅ~」
「筋肉質でもない。」
「へぇ。アルン様って、おじ様好きなんだ~? 筋肉、イイよねー!」
「せなかにただよぅあいしゅぅのにあうぅしぶぅ~いオジサマのぉ~キンニクさいこーですのー!!!」
一緒に呑んでるコンカッセとフィフィも、結構出来上がっていて頬が赤く染まってる。
ぼんやりと『アッシェはお酒強いなぁ』と思っていると、アルンは中年男性の良さについて熱く語りだした。ああ、昼間話したのはまだまだ萌えポイントとやらの一部だったのか。
みんなでウンウンと頷きながら、アルンが語るのに耳を傾けた。
「そもそもれすねぇ~! おぢーさまは、おねーたまでしっぱいしたときぃ~! すっぱりあきらめるべきらったんれすよぉ~」
「あやや。お姉さんも、アスラーダさんにちょっかい掛けさせられたんです?」
「おぢーたまはそのつもりぃーらったみたいなんれすけろぉ……。」
アルンはそこまで言ったところで、撃沈した。
随分呑んでたし、良くここまでもったんじゃないかなぁ……。
私は流石に途中でマズイと気が付いて、お酒は止めてお茶に切り替えたお陰もあってなんとか酩酊状態は脱出できたけど、アルンはずっとお酒しか呑んでなかったから……。
明日は、二日酔いにいいご飯を用意してあげよう。
「良いところで落ちちゃったですぅ。」
「……アッシェ、調子に乗って呑ませ過ぎだよ。」
「確かにアルン様、随分呑んでたねぇ。」
残念そうにぼやくアッシェにやんわりと注意していると、フィフィはそう言ってケラケラと笑った。
「あ姉さまとやらも、師兄にあてがおうとした?」
「ソレっぽい感じですぅ~。」
「ねーねー。師兄って、アスラーダさんでしょぉ? なんでそんなにアルン様のおじい様とやらはあの人に固執するの~?」
事情を知らないフィフィが、好奇心丸出しで訊ねてきた。
そういえば、彼女はアスラーダさんが貴族だとかって事すら知らないんだっけ。
ディーナやエイダにも、話した記憶がないかも。
少し悩んだ物の、誤魔化しても仕方ないと開き直る事にして、問題ない部分だけ話す事にした。
まぁ、アスラーダさんが貴族だって事と、アルンの家とは貴族同士で色々あるらしいよって程度だけど。
それでも、ソレを聞いたフィフィは目を輝かせた。
「うわぁ~! リエラ、それってば超・玉の輿じゃん!!!」
そう言うと、感極まって私に抱きついてきた。
くる・苦しい!
ワタワタと逃れようとしていたら、アッシェがさり気なく手を貸してくれて無事脱出。
助かった。お礼を言うと、目元だけで笑って返される。
「アッシェ、ありがと。」
「いいえです~。」
「その玉の輿、身分差があるからいろいろ面倒。」
コンカッセの言葉に、フィフィは不思議そうに首を傾げた。
そうして、彼女の口から寝耳に水な言葉が飛び出すのだ。
「でも、リエラはもうすぐ村長の養女になるんでしょ? そしたら、同じ貴族になるんだし何の問題もないじゃない! ほんと、リエラってばウチの孤児院一の出世頭だよね~♪」
「ほえ?」
「初耳。」
「ええ~? 結構みんな話してるよ~!」
ニパッと悩みの無さそうな笑顔で言い放つフィフィに、私は戸惑いを隠せなかった。
アッシェとコンカッセも聞いた事のない話らしく、目を丸くしている。
トーラスさんの養女???
一体全体、なんの話ですか?????




