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リエラと創ろう迷宮都市!  作者: 霧聖羅
逃走植物と虫の森
92/200

436日目~442日目 大人になりたい

麗臥:リエラの天敵。アスラーダさんに会うとやたらと抱きつく竜人。妻帯者。

ラエル:リエラの心のお爺ちゃん。いつも頼りきりで申し訳ない……。


2017/2/16 誤字の修正を行いました。

 グラムナードに着いた後は、麗臥さんの事はお泊まりの手配だけして放置する事にした。

私と一緒に居ても、彼にはやる事もないし暇なだけだからね。

元々そのつもりで送迎を請け負ってくれたらしい彼は、翌日から迷宮に通い始めた。


「緋炎ちゃんに、お土産持って帰らないとな~♪」



はい。ラブラブですね。

ご馳走様です。



 コンカッセが居たら、『リア充爆散しろ』って呟くところだなと、苦笑する。

まぁ、同行者は放置できると言う事を納得したところで、翌日からグラムナードでのお勤めを粛々とこなしていく。

 グラムナードでのお勤めは、各氏族の元を訪れてそこで所有している箱庭の維持管理を行うのが主要なお仕事だ。そのお仕事をしながら、そこの代表とお茶をしながらお話をして親睦を深めていくと言うのも、地味に大事。今回の訪問で、3回目になるお陰もあってか随分と打ち解けた会話が出来るようになってきた様に思える。

 ただ……。

なんて言うんだろう?

何故かみんな、私の事をたまにしか遊びに来ない孫的な扱いをしている様な気がして仕方が無い。

もしかして、本当にコンカッセの言う様に私って『年上キラー』なんだろうか……。

最後に訪問した先の長から貰ったお土産片手に、なんとなく釈然としない物を感じてしまった。



また、大量にお菓子が入ってる。

……そんなに、子供っぽかなぁ……。


 

 お土産の中身が、子供に人気のお菓子だと確認してちょっと肩を落とす。

もう、私も16歳。

大人の仲間入りをして1年経ったのに、とついつい思っちゃうんだよね。

早く名実ともに、『頼りになる大人』になりたいものだ。





「成程。君の新弟子の件は、アスラーダが何とかしてくれる事になったんだね。」


 ゆったりとソファに腰掛けて、お茶の香りを楽しみながらラエルさんは頷いた。

今は、魔力操作を上手く扱えないアルンの事で相談に乗って貰っていたラエルさんに、その後の事を話しながら一緒にお茶を飲んでいるところだ。



ラエルさんも、小さいのに立派な大人に見えるよなぁ……。

リエラとどこがどう違うんだろう??



 見た目だけでいうなら、12~13歳位にしか見えないラエルさんを見ながら首を傾げる。

背丈は、小人族にしては高くて私とさほど変わらない。

そうなると、纏っている雰囲気だろうか?


「どうかした?」


 まじまじと見つめているのを感じてか、どことなく面白そうに彼に問われてしまった。


「ラエルさんはちゃんと大人なのに、リエラはまだまだ子供扱いされてばっかりだなぁと思って……。」

「……大人だ子供だ、なんて言っている間は子供扱いのままだろうね。」

「おおう……。」


 ばっさり切り捨てられた。

でも、確かにそうなのかもしれないなぁ……。

そう思いつつ、お茶を啜る。

大人になりたいと思っている間はなれないモノなのかも。


「子供でいられる時間は、君が思っているよりもずっと短くて、とても貴重なものだ。」


 暫く沈黙が落ちた後で、ラエルさんが落ち着いた口調でそう付け足した。


「子供でいさせて貰えるうちは、周囲に思いきり甘えた方がいい。君の場合は特に。」

「甘える……ですか。」


 言われて、改めて自分やその周囲に居る人達の事を思い返すと、知らず口元に笑みが浮かんだ。

エルドランの孤児院での事、基礎学校でのあれこれ。

グラムナードに来てからの素敵な家族に、アトモス村にいる大事な仲間達。

対応に困っちゃう人もいたけれど、それでも彼等の事を心に思い浮かべるだけで、なんでも頑張っていける様な気持になる。

みんな、私が途方に暮れる様な事があった時には、力を惜しまず手助けてくれる人達ばっかりで、だからこそ彼等の力になれるようになりたいと思わずには居られない。

そんな相手ばっかりだ。


「私、ずーっと甘やかされっぱなしなんですけど、いいんでしょうか?」

「いいんじゃない?」

「そっかぁ……。」

「君は、もう少し自分を甘やかしても良いと思うけどね……。」


 ラエルさんのその言葉に、思わず苦笑を浮かべてしまう。

自分では、結構甘々だと思うんだけど……。

彼から見るとそうじゃないんだろうか?

首を傾げつつ彼を見ていると、彼はその可愛らしい口を皮肉げに歪めた。


「君は、一体どこまでいく心算なのかな……。」


 その時は分からなかったその言葉の意味が分かるのは、随分後の事だったけど。

自分でも、その時点ではあそこまで自分が手を広げる事になるとは思ってもみなかった。

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