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2日目 確認

アッシェ:新工房の調薬担当(予定)。ちょっと変わった多眼族の女の子。

コンカッセ:新工房の魔法具担当(予定)。いつも眠そうなマイペースさんの丸耳族の女の子。

アスラーダ:みんなの『お父さん』面倒見が良くて優しい。

 応接室の暖炉に近い一番良い席にふんぞり返る様にして座っている、ラヴィーナさんに勧められて対面の席に腰かけた。

アスラーダさんは、斜め前になる位置に腰掛ける。


「さて、確認する内容なんだけど。

アスタールから、どういう仕事だと聞いて来ているかをまず教えてちょうだい?」


 そう言って、ラヴィーナさんはにっこりと笑った。

なんか、リエラ的には下手な事を言ってきたら、取って食うぞと言われてる様な気分になる物騒な笑顔だ。


「私達が聞いているのは、王都近辺の魔法薬の品質向上と、適正価格化。

それから、極秘での『箱庭』の配置の2点です。」


 その答えに、ラヴィーナさんは目を眇めた。


「概ね、私の希望は聞いてる形ね。」

「もっと詳細なご指示があるのでしょうか?」


 追加の条件があるのならと思って問うと、どこからともなく取り出した扇で自らに軽く風を送る仕草をしながら彼女は眼を閉じる。暫くそうしていてから、彼女は問いを返してきた。


「今日はどこにいってきたの?」

「商店と錬金術工房。それから市場での市場調査をしてきました。」

「なら、少しはどんな状態か分かっていると思って良いのかしら。」

「ある程度なら把握してるかと。」


 少し、ホッとした様子で扇を口元に当てアスラーダさんに視線を流すと、即座に返されたその答えに満足した様に頷いて言葉を続けた。


「見てきたなら、把握はできているとは思うけれど。王都に居る自称錬金術師では、『魔法薬』とは名ばかりの粗悪品しか作る事が出来ていない…と言うのが現状よ。」

「…手抜きとかじゃなくて、『作れない』方なんですか?」


 その質問にラヴィーナさんは頷いた。


「作れないのに、なんで『錬金術師』なのです?」

「原料の値段には気が付いた?」


 ラヴィーナさんはアッシェの質問には答えずに、逆に質問をしてきた。


「5倍位。きっちり乾燥処理した物だけ。」

「ですー。」

「そう。そんなものね。」


 コンカッセとアッシェの答えに頷きながら続ける。


「魔法薬の材料になっている植物は、この地では育たないの。」

「…『この地』では?」

「正確に言うなら、魔物の居るような場所の奥地でなら可能だとは思うけれども…。」


 途中まで言って肩をすくめる。

そんな、魔物が沢山居るようなところまで行って探してくる人間がごく少数なんだろう。

グラムナードで迷宮に潜ってる人達は採りに行かないんだろうか?

そう思いながら首をひねっていると、話しを続けてくれた。


「魔法薬の原料はこのあたりでは自生しない。そう思っていてくれればそれでいいわ。」

「わかりました。それで『箱庭』の設置が必要になると言う事ですね。」

「ご名答。」


 そこからラヴィーナさんは細々とした希望を話すだけ話すとお城に帰って行った。


「さて。今の話を整理しようか。」

「ですねー。」

「紙、用意する。」

「なら俺は、お茶のお代わりを淹れてこよう。」


 用意を済ませて整理した、王太后さまのご希望らしいものはこんな感じだった。


その1 箱庭の数と難易度


 箱庭は難易度別に最低でも3種類欲しい。

難易度は内部に生息する生物によって分ける。

王都近郊にいる動物は、そのままの姿形で使用せず箱庭独自の特色を組み込む事。


弱   ごく普通の動物のみ。草食よりも、肉食・雑食系を多く配分。

中   弱めの魔物のみ。草食系にも攻撃手段を持たせる。

強   ディナト大森林に出る魔物全般を配置。



その2 採集物


 魔法薬の材料になる物は必須。

 王都近郊で育てられている作物は不可。

 輸送が難しい為に流通していない他の地域の作物はごく少量ならば可。

 石材が採れると嬉しい。

 鉱石は光銅石以外は不可。

 キュウリはソウルフード。



その3 箱庭の配置場所の希望


 王都からディナト大森林方面へ向かう方向へ、徒歩1日以内で行ける場所が一番望ましい。

 遠くても馬車で1日以内の距離で収める事。

 


 とまぁ、この辺が先方の希望らしい。

これから、この希望に出来るだけ沿う形で『箱庭』を作りながら、工房の経営を行って行く事になる。

まずは、探索者組が帰ってくるまでに大まかな案を練って置く事にした。

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