419日目 どうやって?
アッシェ:3つ目族の女の子。甘え口調で毒を吐く。いたずら好きでお節介かも。
ラエル:魔力操作専門に研究している小人族の先生。リエラにとっておじいちゃんみたいな人。
アスラーダ:年末に一応想いを通じ合わせた、リエラの想い人。
久しぶりに見たアスラーダさんの姿に我を忘れて大騒ぎしてしまったせいで、まだ寝ていなかったらしいアッシェがやってきてしまって、2人で抱き合ってるのをがっつり見られてしまった。
「……ごゆっくりですぅ」
ニヨニヨしながら、彼女はさっさと退散したので今は2人きりなんだけど……。
アッシェに見られてしまったことで頭が冷えてしまった私には、なんというか、今の状態はなんとも恥ずかしい……。
そーっと、床に視線固定したまま彼から離れようと試みると、ヒョイと横抱きに抱えあげられてしまった。
「にゃぁぁああ?!」
「他のは寝ている時間だろう?」
思わず上げてしまった奇声に彼は肩を震わせながら、小声で私の声の大きさを窘めた。
口調から、からかっているのは分かったものの、あんまりだと一応抗議を試みる。
「そんなの、アスラーダさんのせいでしょう? いきなり抱き上げたりなんかするから変な声がでちゃうんだよぉ……。」
「悪かった悪かった。」
「そう言いながら、口元が緩んでいたんじゃ誠意が感じられません。」
抗議をした上で、頬を膨らませて睨みつけて見たものの、本気で怒ってる訳じゃないと分かっているらしくてアスラーダさんは堪えた様子もない。怒っているふりも馬鹿らしくなってきて、彼に運ばれるまま、2人して居間のソファに落ち着いた。
「膝から降りる権利を主張します。」
「却下。」
「この体勢じゃ、落ち着いてお話ができないよ?」
お願いの言葉は聞こえなかった事にされたらしく、彼は私を膝の上に抱えたまま降ろしてくれる気配は無い。久しぶりに会えたと思ったら、リエラをクッション代わりにされるのかと思いつつ、ため息混じりに諦めることにした。
アスラーダさん。
いくら久しぶりとはいえ、ちょっと距離が近過ぎるよ……?
「それで、ため息の理由は?」
私の髪に顔を埋めながらの質問に、どう答えたものかと悩んだ物の、結局ラエルさんにしたのと同じ内容を話す事にした。ちょっと話が長くなるけど、明日は休日だから夜更かしになってもいいだろう。
と、そこまで考えて、ふと気が付く。
「それより、アスラーダさんはどうやってこんな時間にここまで来たんですか。」
「え?」
「それに、さっき一緒に居た男の子はどこにいったの?」
「炎麗の事か?」
「…………アスラーダさん。やっぱり、こういうのはきちんと互いの情報を交換してからにさせていただけませんか?」
「仕方ないな……。」
改まった口調でそう要求すると、渋々とではあるもののやっと彼の手が私から離れた。
膝から降りて正面に座り直すと、なんだかむくれている。
子供じゃないんだからと吹き出しそうなのを堪えるのに苦労した。
「さて、順番を追ってお伺いしたいんですが……。」
「ああ。」
「王宮にお勤めした筈のアスラーダさんが、今ここに居られる理由と……いつまで居られるか、からお願いします。」
「王宮での部署が本決まりになって休みが確定したから、炎麗にここまで飛んで貰って来た。
明日は休みだから、夕方までは居られる。」
はて?
炎麗ちゃんって、アスラーダさんと一緒に飛べる程大きくなかったよね?
少なくとも、3か月前は肩乗りサイズだったはず。
首を傾げると、アスラーダさんはふてくされたふりをするのをやめて説明を追加してくれた。
「先月、炎麗の1次成長が来たんだ。」
「1次成長ですか?」
「ああ。大人になる1歩前なんだそうだが、そのせいで急に大きくなった上に人型もとれるようになったんだ。」
そう言って、さも当たり前のことのように説明してくれたけど、前に説明聞いた事があったっけ……。
まぁ、忘れたのかもしれないな。
正直なところ、竜人の生態に興味はあんまりないし。
「なにはともあれ、配属先が決定して良かったです。随分とお仕事が忙しいみたいだったから、心配してたんだ。」
王宮にお勤めを始めたばかりの頃、騎乗ウサギを届けた時に王都のお屋敷に泊まった時にも殆ど会えなかった事を思い出しつつそう口にすると、少し彼の目元が和んだ。
「配属先によっては、激務の部署もあるからな。新任でいきなりそういう部署からだったから、結構きつかった。」
「朝しか会えませんでしたものねぇ……。」
互いに、その時の事を思い出して苦笑を交わす。
それから、彼は表情を引き締めて私の方の近況を訊ねてきた。
「実は……。」
彼に対して隠す様な事は特にないと判断した私は、グラムナードから戻った後にあった事を、出来るだけ簡潔に説明し始めた。




