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2日目 お客様

アッシェ:新工房の調薬担当(予定)。ちょっと変わった多眼族の女の子。

コンカッセ:新工房の魔法具担当(予定)。いつも眠そうなマイペースさんの丸耳族の女の子。

アスラーダ:みんなの『お父さん』面倒見が良くて優しい。


2016/11/24 誤字の修正を行いました

2017/6/11 一部修正を行いました。

 食材の仕入れを済ませてお屋敷の離れに帰ると、お客様がいた。

外套を置きに部屋に行く前に、歩き疲れたから少し応接間で寛ごうかと向かった応接間のソファーに、どーんとふんぞり返って。


「あら、遅かったわね。」

「……。」


 咄嗟に、ドアを閉めてしまった。

無言ですぐ後ろに居たアスラーダさんを見上げる。

アッシェとコンカッセもアスラーダさんを見て口を開く。


「何か居たです。」

「居た。フレンドリーな感じの何か。」

「……叔母上だ。」


 アスラーダさんは嘆息して天を仰いだ。

アスラーダさんの叔母様というと、一人しか心当たりがない。

この国の王太后さまだ。

何と言うか、見知らぬ人が我が物顔で座ってるのを見てつい、ドアを締め直しちゃったけど、まずい事をしちゃったかな……?

まぁ、やっちゃった事は仕方ないと開き直る事にした。女は度胸だ。


「それで、どうしましょう?」

「俺から紹介するから、任せてくれ。」


 対処を問うと、アスラーダさんはちょっと疲れた顔をしてため息混じりにそう言うと、前に出て扉を開け、中の人物に対する文句を口にした。


「叔母上。いらっしゃる時は先触れを頂けないと困ります。」


 暖炉の前の一番良い席に陣取る彼女は真っ直ぐで艶やかな黒髪に真っ白な肌には大きめな琥珀色の瞳。

と、間違いなくアスラーダさんの血縁だと納得できる整った顔立ちの女性だった。

アスラーダさんよりも、妹のアストールちゃんに似てるかもしれない。

綺麗と言うよりは可愛いの方がしっくりくる。


「あら。だってたまたま今日時間が取れたんだもの。それに、先触れなんかしたら相手の驚く顔が見れないでしょう?」


 彼女はアスラーダさんの文句に対して、小首を傾げて悪戯が成功した子供の様な表情になりながらそう答えた。



いやいや、そういうサプライズは全くもって要りませんから!!!



 楽しそうにコロコロ笑うその女性に心の中で突っ込みを入れる。

目の端に、ツッコミの形に手が動くのが見えたから、コンカッセも同じ突っ込みを入れたらしい。


「そんな悪趣味に付き合わされるのは御免ですね。」

「あら、ツレナイ。」


 苦虫を噛み潰したような顔で言い捨てるアスラーダさんを前に、さも楽しそうな笑い声を上げる。

随分と機嫌が良いみたいだ。

そう言えば、アスラーダさんはこの人に育てられた様な話をしていた事を思い出す。

この上機嫌は、可愛がっていた子供に久しぶりに会えたからだと考えると納得も出来る……?

かもしれない。


「俺だけで来てる訳じゃないですから、次は控えて下さい。」

「はいはい。仕方ないわねー。」


 アスラーダさんにうるさそうに手を振ると、こっちに目を向けた。


「お小言はそれ位で…紹介してくれるのでしょう?」

「では、続きはまた後で。」


 アスラーダさんが振り返ると、叔母様がやれやれとばかりに両手を上げた。

彼はその気配を感じたのかわずかに眉が下がる。

……お疲れ様です……。


「では、叔母上。左から紹介します。

彼女はリエラ。今年『錬金術師師範』として認められこちらに派遣される事になりました。」

「赤毛の子がリエラね。『箱庭』はその子?」

「そうなりますね。

真ん中がアッシェ。魔法薬作成担当で『調薬師上級徒弟』としてリエラに同行しています。」

「複眼族の3眼族の女の子なんて珍しいわね…。」

「最後の右はコンカッセ。魔法具制作担当で『魔法具師上級徒弟』としてリエラに同行しています。」

「丸耳族にしては魔力が多そうね。」


 アスラーダさんが自分を紹介する時には一歩前に出て、紹介が終るとお辞儀をして下がるのをそれぞれが行う。

その度に叔母様は頷きながら一言入れる。

その時の目は、真剣そのものでさっきのアスラーダさんとの遣り取りが嘘の様だ。

全員の紹介が終ったところで不思議そうに小首を傾げた。


「ところで、年齢層が随分と若く見えるのはわざと?」

「叔母上がせっつくからですね。能力順に選んだ結果、こうなりました。」

「あら、私のせい?」


 きょとんとした顔で問い返した叔母様はすぐに納得した顔で頷いた。


「少し苦労が増えるかもしれないけど、大差ないかもしれないわね。」

「……そうですね。」

「ところで、私の紹介がない様だけど?」

「必要ないかと思いました。」

「してよ。寂しいじゃない。」


 叔母様がちょっと拗ねたような顔になってそう言うと、アスラーダさんはしれっとした表情でリエラ達に面倒臭そうに棒読みで紹介を始めた。


「こちらにいらっしゃるのが、先王の奥方のラヴィーナ様であらせられる。皆の物、頭が高い。」

「もう。ラディってば嫌味な子ね……。」

 

 叔母様がふくれっ面になって愛称っぽいモノで呼ぶと、アスラーダさんはまた渋面になった。

その顔を見て、溜飲が下がったらしい叔母様が改めて自己紹介をする。


「アスラーダの叔母のラヴィーナよ。好きに呼んでいいけど、肩書きや『様』付けは勘弁して頂戴。」


 3人で了解の返事を返すと、叔母様……ラヴィーナさんは満足そうに頷いて用件を切り出した。


「自己紹介も終った事だし、今回のお仕事について、お互いに確認しあいましょうか。」

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