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リエラと創ろう迷宮都市!  作者: 霧聖羅
グラムナード
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305日目 年末準備におおわらわ

セリス:リエラの女神さま。新薬開発部長に就任中。

アスラーダ:リエラの好きな人。最近、物思いにふけることが多くてなんだか不安。

アスタール:リエラの師匠。一人で部屋にこもるのが好き。

ルナ:リエラの親友。セリスさん・レイさん・テミスちゃんと兄弟。

スルト:リエラの幼馴染。最近、ほぼ兄妹だよねと認め合ってる。

ラエル:リエラのおじいちゃんみたいな小人族の先生。傍目からは弟に見られる事も。

 毎日午前には顔合わせ兼箱庭の維持管理、午後からはセリスさん達との新薬の運用方法の検討会と、みっちり充実した日々を過ごしていたら、あっという間に年越しの日が来てしまった。

時間が経つのが早すぎて、正直びっくりしてしまう。

グラムナード内だと、アトモス村では常に一緒に居るアスラーダさんが側に居ない事が多くてちょっと寂しい。だけど、これは工房の中から殆ど出ないのも理由の一端かも知れないと、里帰り中の行動を振りかえってみて気が付いた。

護衛を兼ねて一緒に居てくれる事が多いからと考えると、仕方ない……のかな。

でも、それで寂しいと思うなんて、私は随分とアスラーダさんに甘えっ切りなんだなぁと我ながら呆れてしまった。これじゃぁ、周りに私の気持ちもダダ漏れだというのも当たり前ねぇ……。


 それはともかく、今年も今日で最終日。

この日ばかりは流石にお仕事の事は忘れて、どの家も夜のお祭りや祝い膳の準備をする。

私がここに来た時と違って今は結構な大所帯だから、祝い膳の準備も大仕事だ。

セリスさんの号令に従って、工房に居る男性陣は材料調達の為に外町の迷宮へ。

女性陣は、全員厨房で祝い膳の準備に取り掛かった。


「台所仕事も久しぶりだわ。」

「ふふ。普段の食事は通いの方にお願いしてしまってますものね。」


 弟子が増えて、セリスさんのお仕事が格段に増えてしまったので、今は毎日の食事は通いの料理人さんがきて作ってくれている。お掃除は、工房や教室までは弟子達が、師範部屋より上はセリスさんが行う事で仕事量の調整をしたんだけど、流石に食事までは難しいからね。

ただ年始の為の祝い膳は、工房内の全員で用意するのが慣例になっている。

通いの料理人さんがこの日はお休みなのもあるけど、全員で用意する事によって仲間意識を強化するという目的もあるらしい。

 だから午後になると、追加の食材を持ってきた男性陣も混ざって、一緒になって歌いながら下ごしらえをしていった。イモ洗いの歌とか誰が作ったのかと不思議に思いつつ、みんなで合唱しながら野菜を『洗浄』したり、皮むきの歌と一緒に皮を剥いたり。


いや、本当に誰が作曲したの?!

去年まで、こんな歌歌ってなかったよね??




 困惑する事もあったものの、楽しく祝い膳を用意した後はそれぞれが夜のお祭りの為の準備をする為に部屋にひきあげて行く。準備と言っても、大体の人は夜着て行く晴れ着の用意は終っているモノなので、夜更かしの為のお昼寝をする人が殆どだ。

私とセリスさんは、その晴れ着の調整がまだ残ってるんだけど……。


「リエラちゃん、今日の為の衣装できてるわよ。」

「わ! ありがとう、セリスさん!」

「最後の調整をするから来て貰えるかしら?」

「じゃあ、私が作った服を取ってくるね。」


 今回、年越しのお祭りで着る用の服はセリスさんと交換こする事になっている。

毎日、夜寝る前の時間を使ってせっせと作ったんだけど、喜んで貰えるかなぁ。

私はその衣装を持って彼女の部屋の扉を叩いた。

セリスさんが作ってくれたのはどんなのだろうとドキドキしながら部屋に入ると、真っ先にスクウェアネックの若草色のドレスと、それよりも少し濃い色合いの上着をまとったトルソーが目に入る。

ウェスト付近から両脇に深く入ったスリットから、覗くレースのスカートと、端々に施された刺繍がアクセントになっいて、思わず感嘆の声をあげてしまった。


「ふふ。喜んでもらえたみたいで嬉しいわ。」

「セリスさん、凄すぎです!!!」

「リエラちゃんのも見せて。」

「なんか、セリスさんのを見た後だと気後れしちゃうなぁ……。」


 そう言いながらも、彼女に自分の作って来たドレスを差し出した。

私が作ったのは、セリスさん自身の体型に多分に頼る事になるタイプなんだよね……。

スタンドカラーのぴったりとした上着部分に、袖口に向かってふんわり膨らませつつ手首の付近でキュッと絞りこみ、スカート部分はどっさりと襞を寄せたマキシ丈のドレスになっている。

いわゆる、足先がギリギリ見える位の超ロング丈だ。

割とシンプルなデザインなんだけど、代わりに生地は紺から裾に向かって空色へのグラデーションカラーになる様に、色付けしたから華やかさはあるはず。

この色は、私にとってのセリスさんのイメージカラーだ。

スカート部分は重くなり過ぎないように、生地の厚さも変えてみたから見た目よりは重くない筈。

 ドキドキしながら彼女の反応を見守っていると、それを広げた彼女はとても嬉しそうな笑顔を浮かべた。


「ステキ!」

「良かった~!」


 それから2人で互いの服の試着をして多少の手直しをしつつ、今夜はどんな髪型にするかと話しあって夕方までの時間を過ごした。




 夕飯を食べ終わると、みんな慌ただしく晴れ着に着替える為に自室にガヤガヤと話しながら引き上げていく。意中の相手がいる子のどうやって相手を誘えばいいかと仲間に相談していたりする声が、私のところまで聞こえてきて、思わずニヤニヤしてしまう。


「若いっていいなぁ。」

「ほんとにねぇ。」

「「なんて、まだそんな年齢でもないんだけどね~!」」


 ルナちゃんとお茶を呑みながら、そう言って笑いあう。

今は、出入り口が込み合ってるから、私達は一服してから部屋に向かう予定なんだよね。

ルナちゃんの隣では、スルトがフーフーとまだお茶を冷ましてる。

猫舌は大変だ。

 食堂の他の場所に目をやると、ラエルさんが一緒にグラムナードにやってきた魔法具の先生のルセニウムさんと一緒にアスラーダさんに何か話しているところだった。

ルセニウムさんは、アスラーダさんと同い年の女性と見まがう位綺麗な男の人で、見た目を裏切らない優しい指導が人気の先生だ。アスラーダさんと学校が一緒だったせいもあってか仲がイイらしい。

 アスタールさんはぼんやりしながらお茶を呑んでる。これはいつものことだな。

アストールちゃんはその横で、炎麗ちゃんの尻尾にリボンを結んであげようと四苦八苦していてめちゃくちゃ可愛い。もう、4歳だからそう言う事も出来るようになったんだなぁと思うと、随分と時間が経つのが早いものだと思ってしまう。初めて来た時って、1歳だったんだよ?

 レイさんは工房の女の子からの猛烈アタックを受けてる真っ最中。うん、これもいつもの事だ。

それはそうと、レイさんが女の子に囲まれている姿を見るたびにいつも思うんだけど、レイさんって実は女の子が苦手なんじゃないかな?優しく笑顔を返してはいるものの、その笑顔っていつも作り笑いみたいなんだよね……。女兄弟に男が1人だからかもしれない。


「レイ兄さまは、テミスと先にお約束してるんですー!」


 ちょっと困ってそうなレイさんに助け船を出そうかと悩んでいたら、末妹のテミスちゃんが彼を助け出した。彼女が他の子達から妥協案を引き出してるのを見て、手出しはしなくて良さそうだとホッと胸を撫で下ろす。あの輪に入るのは怖すぎる。


「レイ兄って、何で人気あるんだろうなぁ……。」

「セリスさんによく似た美人さんで、女の子に優しくて気が利くから?」

「え―……。リエラん、レイ兄みたいなのタイプ?」


 『えー』って、実のお兄ちゃんにひどい言い草だなぁと思いつつ苦笑してしまう。

兄弟の良いところとかって、分かっていても中々他の人の前では言い辛かったりするもんね。

なんか、照れ臭くってさ。

ルナちゃんも、こんな言い方しててもレイさんの事が大好きなんだよね……。


「好みとしては、表情豊かで可愛いタイプがいいかなぁ。」

「師匠と随分違くないか?」

「いや、ほぼ理想そのものだけど……。」


 ルナちゃんとの遣り取りに、小声でスルトのツッコミが入った。


アスラーダさんが他の人の前でどんな態度をとってるかは置いといて、私の前ではそうなんだよ?

可愛いんだから。


 と、心の中で付け加える。


「まぁ、気を許した相手の前だと違ったりするからねぇ。」


 ルナちゃんがそう言いながら、意味深な視線を向けるとスルトが慌てだした。


「お・俺は別にかわんねーだろ?!」

「ん。誰もスルトんが、だなんて言ってないよ~?」


 そこからいちゃいちゃし始めた2人を置いて、私は先に席を立った。

混雑具合も落ち着いてきたから、そろそろ準備を始めよう。

アスラーダさん達の方を見てみると、ちょっと難しい顔をしているからまだ暫く話しているつもりかも。

彼に今夜どうするのかと聞きたかったものの、話に割り込む様な無作法はできないなと諦めて身支度の為に部屋へと引き返す事にした。

今日はいつもと違う髪型にする予定で、セリスさんと髪のセットをしあう事になっていてあまりのんびりしている訳にもいかなかったんだけど……。

 アスラーダさんの表情の何かが私の心に引っかかる。


……なんで、こんなに不安になるんだろう?

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