298日目 欠乏症
ダリア:リエラと一緒に育った仲間。今は孤児院で見習いシスターをしてる。
ディー:リエラの騎乗『魔獣』ウサギ。
アスラーダ:リエラの想い人。身分差が無ければなぁ……。
ルナ:リエラの親友で、スルトの奥さん。スルトにラブラブ。
スルト:リエラと一緒に育った仲間で、ルナちゃんの旦那様。思いの外デレデレ。
2017/1/28 誤字の修正・句読点の位置の修正を行いました。
結局、エルドランには2泊して、旧交を温めてからグラムナードに出発する事になった。
学校での友達と道端で偶然出会ったんだけど、その子のお腹が大きくなっていてびっくりした。
あっちはあっちで、私がアスラーダさんと居るのを見てもっと驚いてたんだけどね。
孤児院を出発する時、ディーの背中によじ登ろうとしている私にダリアが近付いてきて耳元で囁いた。
「早くアスラーダさん、捕まえちゃいなさいよね!」
「?!」
「みんな、じれったいなーって、ずっとやきもきしてるんだから。」
ビックリして彼女を見ると、バーン!と背中を強めに叩かれた。
「私達は、いつでもあんたの味方だからね!」
自らの胸を叩いてニヤリと笑うその姿は、随分と頼もしい。
彼女も、3年前から成長したんだなと感じて、自分も負けて居られないと思えた。
リエラの方が、ダリアよりも1歳年上だからね!
ちゃんと、自分の想いを成就させて見せるさぁ~!!
だから、胸を張って彼女にこう答えられた。
「ありがと。頑張るよ!」
私だって去年の、どうしたらいいか分からなくて泣いてただけのリエラではないんだから。
エルドランを出発した翌日の夕方にはもう、私達はグラムナードの外町に戻って来ていた。
初めてエルドランからここまで来た時は、荷馬車に揺られてだったとはいえ6日かかった筈なんだよね。
それなのに、その距離を1日半で走り抜けてピンピンしてるディー達は本当に凄い。
「なんだか、帰ってきたー!って感じがするわね。」
「何のかんので、里帰りしそこなってたもんなぁ…。」
「確かに……。」
「年に4回は帰る約束だったしな。」
「う……。」
アスラーダさんのツッコミに、つい胸を押さえて蹲ってしまう。
そう!
年に4回は必ず帰ると!!
セリスさんに!!!
約束してたんだよ……!!!!
「リエラん……。どんまい?」
「不可抗力だって。」
「一緒に謝ってやるから……。」
「うん……。大丈夫。」
みんなの掛けてくれる優しい言葉にお礼を言いつつ、気合いを入れ直す。
正直なところ、セリスさんは怒ってはいないとは思うんだよね。
寂しがってくれては居そうだけど。
セリスさんに会うのにあたって、何が怖いって……。
……泣かれる事なんだよね……。
ああ、想像しただけで、もう、胸がぎゅっとなる。
そうは言っても、ここまで来てアトモス村に引き返すわけにもいかないんだけどね!
リエラは深呼吸をすると、セリスさんと会う為に気持ちを引き締めた。
「…………リエラちゃん……!!」
「セリスさん、ただいま!」
「……リエラちゃん?本当に??幻じゃなく?!」
久しぶりに会ったセリスさんは、ちょっと症状が進んでる風だった。
え?なにのって??
リエラ欠乏症とか言う病気のだよ?
毎月送られてくる手紙でそんな感じの事を書いてたんだけど、半分冗談・半分本気っぽい雰囲気だったから、ちょっとだけ会うのに勇気が要った。
セリスさんは、ぽろぽろと涙を流しながらフラフラと私の方に手を伸ばしながらゆっくりと近づく。
そっと、確かめるように私の頬に指先を触れさせると、それまでの緩慢な動作をかなぐり捨てて、ガバッと凄い勢いで私を抱きしめた。
「……もー!!!リエラちゃん、年に4回帰ってくるっていう約束はどうしちゃったの?!」
「ごめんなさい。立て続けに色々とあったもので帰り損ねちゃいました……。」
そう言って、私の顔を覗き込んだセリスさんは、いつもの私の大好きなセリスさんに戻っている。
彼女の疑問に答えながらも、私の心の中は安堵の思いで一杯だった。
……良かった……!
本当に病んでたらどうしようかと、本気で心配してたよ……!




