292日目 新薬の流通
ルナ:リエラの親友で、スルトの奥さん。
スルト:リエラの幼馴染のネコ耳族。
アスラーダ:うっかり告白モドキをしたせいで顔が見れない…。
ディー:リエラの騎乗『魔獣』ウサギ。
2017/1/27 誤字の修正を行いました。
その日は、7時間を移動と道中の村や集落で、どの程度新薬が流通しているかを確認する為費やした。
私が最初の集落でダウンした事もあり、ウサギの走る速度に慣れる為にアスラーダさんのウサギに同乗させて貰い速度に慣れさせて貰う事になったんだけど……。
その道中、隣を走りながら私の方を悲しそうに見ているディーの視線が痛くて仕方なかった。
ある程度速度に慣れたと太鼓判を押して貰ってからは、一人で騎乗する事を許して貰えたんだけど……。
ちょっとだけ、アスラーダさんと一緒に乗っててもいいかなぁと思ってしまったのは内緒だ。
今まで一人で騎乗した事がなかったから、一人だとちょっと不安なだけだよ?
自分の背中に私が戻った事で、少しいじけているみたいだったディーも機嫌良く走って(跳ねて?)くれた。
「それにしても、この子たちは凄いわねー!」
「だなぁ。駅馬車の倍の距離走って、まだ元気だもんな。」
思ったよりも進めたので今日は、駅馬車の止まる町の隣にある少し大きめの村に宿を取った。
この辺りは王都とジェルボア湖の北にある町を繋いでいる主街道沿いだから、道も広くて人や物資の流通も盛んだ。そのお陰もあって、宿場として栄えている村も多くて泊まる場所の選択肢も割と広かった。
今日の宿は少しお高めのところだからか、ウサギたちの受け入れもしてくれた。
他の宿は、馬以外はダメだと断られちゃったので、明日からはもう少し進めそうでも大きめの町で宿泊する事にした方がいいかもしれない。
ちなみに今は、部屋で休む前に一生懸命走ってくれたウサギたちを労う為に、皆でブラッシングをしているところだ。
冬で寒いから、ウサギたちは毛足の長い冬毛だから丁寧にやってあげないとすぐに絡んじゃうんだよね。
せっせと梳いて、彼等が満足する頃には早めの夕飯を食べても良い位の時間になっていた。
「ね。もうご飯食べちゃおうか?」
「いいねー。結構、ブラッシングも重労働だし私もお腹空いちゃった!」
「さんせー!」
「なら、先に食事にしよう。」
意見の一致を見たところで、スルトの鼻に任せてお店を探しだす。
獣耳族の鼻は獣人族の鼻に次ぐ性能だから、こう言う時は必ずスルトかポッシェがお店を探す事になるのでスルトも慣れたものだ。何軒か目でお店を決めると、早速皆で中に入った。
メニューも、漂っている匂いから良さそうなものをスルトがチョイスした物に野菜料理を追加した物になる。スルトだけに頼ませると、どうしても肉や魚ばっかりになっちゃうからね。
栄養のバランスが崩れるのは良くない。
次々と運ばれてくる料理に舌包みを打ちつつ、道中の感想を交わし合う。
「スフィーダまではやっぱりまだまだ、って感じだったわね。」
「まぁ、必要最低限は揃ってるけどな。」
「トーラスさんのところで弾かれたお店も結構あったみたいだよ。」
「へぇ? そうなん?」
「お店の名前に見覚えがあるのがあったから…。」
「でも、錬金術工房の類はなかったわね。」
「確かに。雑貨屋さんには大体、家庭用デラックスが置いてあったよね。」
「あったわね。治療薬の方はそんなに無かったけど。」
「やっぱ値段だろうなー。」
ウンウンと頷きながら話し続ける2人に相槌を打ちながら、道中を思い返してみる。
アトモス村を出た後のスフィーダまでの道中、私達が最初に通った時よりも広く整備されなおした街道には、宿場町として開拓され始めたばかりの集落が6か所あった。
大体、規模は似たような物で、どれもアトモス村に向かう探索者や、迷宮からの採集品を運ぶ商人を対象にしているらしい事が窺われるものだ。
雑貨屋には大体家庭用デラックスが置かれていて、採集品を運ぶ商人達が小遣い稼ぎに運び賃だけを取って、帰り道に運搬してきてくれるらしい。
スフィーダ寄りの集落はおろか、その先の村でも暫くはそうだったからもしかしたらスフィーダではレシピを導入していないのかもしれない。
ちなみにここの4つ前の村から、仕入先がジョエル錬金術工房に変わった。
それで、ジョエルさんの前に居た町が近いのかと思っていたら、案の定スフィーダの次に駅馬車が止まる町にあった。お邪魔させて貰うと思っていたよりも大規模なお店で、随分と大規模に商売をやっているんだと感心してしまった。
「家庭用デラックスが一番人気が出るのは、大体予想の範囲内だよ。」
「そうなのか?」
「だって、家にちょっと置いておくのが気軽な値段だし。」
なんで家庭用デラックスばっかり置いてあるのかとスルトが言いだしたので、想定の範囲内だと伝えると凄く不思議そうな顔をされた。
「前に、スルトにあげてた失敗作と同レベルの治癒能力なんだよ?」
「まぁなぁ…。でも、やっぱりいざという時には足りないだろ?」
「スルトん、一般家庭でちょっとした擦り傷に塗るのには十分な性能だよー?」
「そういうもんか~?」
「そういうもん、そういうもん。」
ルナちゃんの説明で、やっとスルトは半分位納得したらしかった。
やっぱり、可愛い奥さんの言う事だと違うのかなぁ…。
ルナちゃんの言う事には割と素直に頷くスルトを見ていると、ちょっとだけ心の中がモヤッとした。




