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2日目 衝撃のその価格

アッシェ:新工房の調薬担当(予定)。ちょっと変わった多眼族の女の子。

ポッシェ:新工房の採集担当(予定)。女の子が大好きなクマ耳族の男の子。

コンカッセ:新工房の魔法具担当(予定)。いつも眠そうなマイペースさんの丸耳族の女の子。

スルト:リエラの幼馴染のネコ耳族。ルナちゃんと結婚した。

ルナ:リエラの友達。スルトをきっちり捕まえた。

アスラーダ:みんなの『お父さん』面倒見が良くて優しい。



2016/11/22 誤字の修正を行いました。

 大盛況だった夕飯の後は、それぞれの部屋に分れて好きに過ごすことになった。

一人一部屋という、久しぶりのプライベートな環境にみんなで喜びの声を上げた。

この1週間、一人でいる時間が本当になかったから少しほっとした。

 それぞれの部屋には、グラムナードでの自室と同じ様にトイレと小さめではあるものの浴室が付いていて感動のあまり胸がいっぱいになってしまった。

グラムナードを出てから、濡れタオルで体を拭くか『洗浄』の魔法で誤魔化すのがせいぜいだったから、きちんとお湯に浸かれるのは本当に嬉しい…。

早速、お風呂にお湯を張って体を湯船に沈めると、思わず大きなため息が出た。

お風呂はやっぱり、気持ちいい…!



 翌日は朝食を食べ終わると、二組に別れて王都探索することにした。

お昼は各組で食べる事になったから、シカ肉の赤ワイン煮込みは夕飯までお預けだ。

組み分けは、工房組のリエラ・アッシェ・コンカッセに引率の先生的にアスラーダさんで4人。

もう片方は、探索者組のルナちゃん・スルト・ポッシェの3人。

工房組は、王都での色んな物の相場調査をメインとしつつ、食材の購入をする。

探索者組は、王都の探索者組合でのお仕事状況確認をしながら、狩りをしてくる予定になってる。




「これは…。」

「なんともはや…。」

「……。」


 そんな訳で今、魔法薬を扱っているお店巡りをしているんだけど、その値段と質を見て衝撃を受けていた。


「グラムナード産の『高速治療薬』が1万ミルを超えてるですよ。」

「このあたりで作ったみたいなのは5千ミルだけど、質が…。」

「ここのは安い方だな。」

「えええ…。」


 そう、外町で1200ミルで売ってる高速治療薬が10倍近い値段で売ってたのだ。

しかも消費期限間近なモノはまだいい方で、期限切れになっていて効力が落ちてる物の方がどちらかと言うと多いと言う状態。

衝撃を受けつつ、ひそひそと話すアッシェとコンカッセに対するアスラーダさんの言葉に、どう反応したらいいのか分からなくなった。

 ひそひそと話している姿が気になったのか、かっちりした制服を纏った店員さんに声を掛けられた。


「お客様、そちらの商品に何かございましたか?」

「この『高速治療薬』とこちらの『高速治療薬』って、どこが違うんですか?」


 とっさにとはいえ、その場をごまかそうとして工房組にとっては一目瞭然な事を聞いてしまった。

店員さんは笑顔で頷くと、滔々と説明し出した。


「こちらの『高速治療薬』は迷宮都市として有名なグラムナードにある、『グラムナード錬金術工房』で作られた物で、『高速治療薬』としては最高の性能を持った物になります。

光に透かして見ると濁りもなく透明感のあるルビーの様な色合いである事がお分かり頂けるでしょう?

これが、グラムナード産の特徴なのです。

 もう一方の『高速治療薬』ですが、こちらは王都内では最高の調薬師が作成したものになります。

いかんせん、こうして光に透かしてみますと残念な事に少し濁りがございまして…。

肝心の治療能力がどうしても劣るものになってしまっております。」

「なるほど。この透明感が大事なんですね。」

「左様で御座います。」


 その後も、どうやって仕入れただのあーだらこーだらと話し続ける店員さんに、適当に相槌をうちながらもなんだか押し切られる様にして、『高速治療薬』を1本づつ購入した。

というか、『高速治療薬』に美容効果なんてないよ。

ついでに言うなら、この透明感とやらはカサ増しに使った水のせいだと思うよ!

なんというか、凄い適当な事を言っていてビックリしすぎて声も出なかった…。


「お嬢様方、またのご来店をお待ちしております。」


 出口まで、『高速治療薬』の入った包みを持ってお見送りしてくれた店員さんに軽く頭を下げて逃げる様に店を離れた。どうも、店に入った時から目を付けられてたっぽい。

若い女の子3人連れで、セリスさん謹製の仕立ての良い服を着てる事から良いカモが来たとでも思われていたらしい。世間知らずのお嬢さん達が物珍しさからやって来たとでも思ったんだろう。

高級店を気取った雰囲気なお店だったけど、なんだかなーって感じだ。

角を曲がって、店の人が見えなくなったところで二人に詰め寄られた。


「なんで、買ったですか?」

「そんなゴミにもったいない…。」

「他の店も同じようなものか見てみようと思ってさ…。」

「まさか、他のお店でも買うですか?」

「うん。それに関しては私個人で買う予定だよ。」

「それでも、ゴミにお金を出すのはもったいない…。」


 二人に文句を言われつつ、その後も何軒かのお店に入ってみた。

グラムナード産の『高速治療薬は』どこにいっても1万ミル以上の値段がついていて、置いているお店もそれなりの規模の商店ばかりだった。

 仕入れに行くにしても、グラムナードまでは少し遠いから多少高くなるのは仕方ない部分もあるのかなとは思ったものの、流石にこれは高すぎる…。

目的の一つではあるけれど、これは早急に何とかしなくては。

 アスラーダさんのお薦めのお店でお昼御飯を食べると、今度は工房街へと向かった。

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