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リエラと創ろう迷宮都市!  作者: 霧聖羅
大きくなる村と迷宮
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135日目 商工会議

アッシェ:調薬担当。喋り方が特徴的な三つ目族の少女。

コンカッセ:魔法具・雑貨担当。いつもねむそうで、めんどくさがりやな丸耳族の少女。

アスラーダ:一緒に歩いていきたい人。今はまだ本人には言わない。


2017/6/11 加筆・修正を行いました。

 秋になって王都への直通の街道が繋がると、一気に人が増えた。

移住してくる人もさることながら、迷宮の産出品を扱う商人がぐんと増えた。

王都とスフィーダと言う、国内でも大きな町二つとの大きなパイプが通ったのだから、当然と言えば当然の話かもしれない。

 新しく店を出したいという問い合わせも沢山来ているらしくて、今日は商工会の会議を行う事になっている。

今回の会議は、『新規店舗許可について』だそうで、迷宮を発表する前に店舗を構えていた人を集めてどの業種を何軒まで許可するか。

と、言う事を話し合うらしい。


「てきとーにお店の許可を出す訳じゃないのですねー」

「店やってる立場としては助かる。」

「店を出したい人としてはたまったもんじゃないですー」

「確かに」


 アッシェとコンカッセの話を聞きながら後を付いていく。

今日の話し合いに参加するのはこの二人で、私とアスラーダさんは付き添いだけの予定だ。

彼にふと視線をやると、目が合った。

嬉しそうに目を細める彼に、半笑いで返しながら内心で反省する。



膝枕は、やるべきじゃなかったのかもしれない。



 アレ以来、彼は凄く上機嫌なのだ。

現状維持を願う身としては、申し訳なくて仕方がない……。

でも……アレは、私にとってもとても幸せな一時だったから反省はするけど、後悔はしない事にしておいた。


 トーラスさんの家はお引っ越しをして、前に住んでいた家を改装して商工会議所として使っている。今、彼等が住んでいるのは前よりも豪華な作りの邸宅だ。

順調に村が育っている事もあって、彼は年末に下流貴族になる事が決定したと言う事で、今までの素朴すぎる木造住宅に住んでいる訳にも行かなくなっちゃったらしい。

なんでもこのお引っ越しに関しては、ラヴィーナさんの指示によるもので『余所の連中に舐められない為よ』だそうだ。

貴族と言うのも、色々見栄を張らなきゃいけないらしくて大変だなぁと、それを聞いて思ってしまった。


 商工会議所に着くと2階に上がる様にと張り紙がされていて、2階の会議室に入るとミーシャさんがお茶を配ってくれた。

久しぶりに彼女の顔を見てテンションが上がる私と、耳がたらーんと垂れるアスラーダさん。

アスラーダさん、色々分かり易すぎです…。

ソコが可愛いんだけど。

 全員が揃うと早速会議が始まった。

皆忙しい時間を縫って来ているから、無駄な話に逸れる事無くスピーディに話が決まって行く。

絶対的に足りてないのは、飲食店と宿の2種類だという事で意見の一致を見た。

 やって来ている探索者達は、今ある三軒の宿から溢れる事もあって、そう言う人達がどうするかと言うと空き地に勝手にテントを張ってしまうのだ。

そうするとご飯も、そのテントのそばで自炊する。

これは村の景観的にも、治安的にもあんまりよろしくない状態なのだ。

 とはいえ、宿を緊急で増やすのは少し難しいので、建物の増築をしながら新しい経営者を探すという事になった。

建物の建設が急ピッチで進められているとはいえ、宿が出来る様なモノは建ててないからね。

飲食店の方は、当座は屋台の許可を出して行く方向で落ち付いた。

 次に決まったのは、衣類や生活雑貨を扱うお店。

これはウチの工房でも扱えるモノだからか、誘致していいものかと打診があった。


「それだけを専門に扱える訳じゃないですし、服屋さんの種類が増えるのは良い事だと思うので問題ないですー」

「魔法具メインで雑貨を作ればいい。問題なし。」


 という、コンカッセの言葉はある意味自信の裏返しともいえるかな。

彼女の、こだわりは半端じゃないからそう言う風に言えるんだと思う。

アッシェの方は、自分の作る服へのこだわりもあるものの、色んな人の作るモノを見るのも楽しいんだと前に言っていたから、殆ど本音をダダ漏れにしてるんじゃないかな。

 鍛冶屋さんにも同じ様に打診が入って、当座は1~2軒なら。

と言う事で、新しい鍛冶屋さんが増える事になった。

探索者さんの武器のメンテナンスに、暴走する旦那さんのお守もしなくちゃいけない彼女は、中々新しい武器を作る時間が取れないらしい。

他の店が増えてくれると、少し気が楽になるとホッとした顔をしていた。

他にも皮革類の加工職人さんを増やす事になったりと色々と決めて行き、最後に錬金術師からの出店の希望についての打診が入った。


「んー……。今の倍のお客さんが来ても、何の問題もないですですー」

「現状、うちの店だけで十分賄える。」


 二人はそう答えたモノの、今の倍のお客さんに対応するとなると……それは二人が全力で商品を補充した場合の話になる。

現状は問題ないにしても、他のお店があるに越した事は無いんじゃないかな、と思っていると意見を窺うようにチラッと視線を向けてきたので首を横に振って見せると、ボソボソと二人で話し合いを始めた。

暫くして彼女達の出した結論は、こうだ。


「住人が1000人を超えたところで1軒。その後はその工房の許容量を見ながら決める方向でお願いしたいですー」

「余力はあるから、急いで決めないでいい。」


 二人に余力が常にある状態にしておかないと、何かがあったときに困った事になるからね。

もう少し条件を緩めても良い気がするんだけど……今はこんなところかもしれない。

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