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リエラと創ろう迷宮都市!  作者: 霧聖羅
お客様にも色々あります
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111日目 採集ツアー 中

 『騎獣の平原』への入り口は、南門から東に少し歩いた場所にある。

隣は石材組合の作業場で、迷宮から切りだしてきた石材がうず高く積まれているのでそれを目指して歩いて行くのが一番分かり易いかな。

王都への街道がまだ通っていないので、この石材は村に新しい建築物を作るのに使われている。

昔からある建物は木造で、最近建ったものは石造りと造られた時期が面白い位分かりやすいよね。

トーラスさんは、建造物の素材が統一されてないのが落ち付かないんだとぼやいていたけど、これはこれでいいんじゃないかなぁと個人的には思う。


 『騎獣の平原』の入り口が近い南門は王都寄りの門は、まだ道の整備が終わっていないから使われてはいない状態なものの、迷宮に入る探索者や石材の掘削を行う工夫さん達がいるので思いの外賑わってる。

お昼が近くなったこんな時間になんで探索者がうろうろしてるのかと思ったんだけど、狩った獲物が持ちきれなくならないうちに迷宮の目の前にある探索者協会で換金する為らしい。

換金できる場所が近いと、そう言う事も出来るんだなーと関心してしまった。

 石材の運搬を見込んで大きく造られた道も今は、一旦獲物を買い取って貰った探索者が座り込んで怪我の手当てをしたり、ちょっと早い昼食を食べたりするのに使われている。

街道が通るまではきっとこの状態が続くんだろうと思いながら、その脇を通り抜けた。


「ご苦労様です」

「リエラか、珍しいな。」

「今日はちょっと野暮用で20人で入ります。」

「随分な多人数だな。気をつけてな。」

「ありがとうございます。」


 『騎獣の平原』の入り口で一応は門番的な事をやっている馴染みのおじさんに挨拶をして門を通して貰う。今は無料で迷宮を利用できるんだけど、その内入場料を取る予定で居るらしい。

確かに、重要な財源になるだろうなとそれを聞いて感心してしまった。

 迷宮へは、私の腰の高さ位の大きさしかない小さな石碑に触れれば入る事が出来る。

今はその周りに石工協会が造った石造りの柱に囲まれて上は屋根に覆って、中にはかがり火を焚いて荘厳な雰囲気を演出している。

これも、入場料を取る為の演出なんだろうか。

ほんの数か月前まで野ざらしだったというのがなんだか懐かしい気分だ。

この柱で囲んだ場所は、一度に30人も入ったら人が溢れてしまう程度の広さになっている。

中の人が出てくるのは、隣の空き地になっている部分になっていて、入る為の門にしか番の人はいないから出る時は自由に出ていける。


「それじゃあ、皆さん。迷宮に入る為に、こちらの石碑に触れて下さい。」


 先にアッシェ・ポッシェ・コンカッセを送り出してから参加者に呼び掛けると、恐る恐る石碑に触れて迷宮に入って行ってくれた。


「アスラーダさん、彼等に『魔力視』教えても大丈夫かな?」

「問題ないだろう?」


 念の為にと訊ねてみたら、不思議そうな返答が返ってきた。

問題ないならさっさと教えちゃう事にしよう。

最初にやる事を確定させたので、とっとと石碑に触れると皆の後を追った。




 迷宮の中に入ると、先に入った人達が色んな声を上げながら周りをきょろきょろ眺め回していた。

石碑から半径10mの範囲は、獣や魔物が襲ってこない安全地帯になっているからと、アッシェ達がその範囲をうろつく許可を出したらしい。

また喧嘩をしてたらどうしようかとちょっとだけ思ってたんだけど、杞憂で良かった。


「皆さん、集合して下さい!」


 少し声を張り上げると、うろついていた参加者が私の側に戻ってきた。

中には踏みつぶされた赤薬草を悲しそうに手にしてる人もいる。


後で、ちゃんと使えるのを摘ませてあげるから待っててね。


 心の中でそう声をかけつつ、次の言葉を待っている集団に軽い説明を行い始めた。


「先に、石碑から半径10mの範囲は安全地帯だという説明を聞いて頂いた事だと思います。

奥に向かって採集を行う前に、皆さんは『魔力視』と言うモノをご存じでしょうか?」

「『魔力視』?」

「10年位前から、魔法学院でも教えているそうですが…。」

「出鱈目を言ってるんじゃないだろうな?」

「本当の事ですよ。」


 疑いの声に答えたのは、一人『魔力視』を使えている様に見えた男性だった。


「僕はタンプの町の錬金術師で、ジョエルと申します。

かくいう僕も魔法学院の出身なのですが…。

『魔力視』と言うのは丁度15年前に、グラムナード出身の後輩が学院に広めてくれた技術です。

幸いな事に僕の代はなんとかそれを習得する事が出来たのですが、それ以前にご卒業された先輩方が知らないのは無理もない事です。」


 彼はそう言って残念そうに眉尻を下げて見せると、一転して明るい表情になって周りを見回してから私の視線を捉えると、優雅に一礼した。


「この機会に、『魔力視』のご指導を頂けるという事でしょうか?」

「皆さんのご希望があるようでしたら。」


無理に教えても仕方ないからね。


 と心の中で付け足す。

逡巡していた周りの人達は、彼が「視える世界が劇的に変わりますよ」と請けあうと、積極的に指導を請ける気持ちになって行った。

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