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リエラと創ろう迷宮都市!  作者: 霧聖羅
お客様にも色々あります
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109日目 団体様

アッシェ:工房の調薬担当。黒髪紫瞳の3つ目の多眼族の女の子。

コンカッセ:工房の魔法具・雑貨担当。銀髪水色の瞳の丸耳族の女の子。いつも眠そう。

アスラーダ:グラムナードの時期領主様。新規工房の出店のお目付け役。黒髪金目の長耳族のお兄さん。

 中々の個性を見せつけてくれた、スフィーダからのお客様と言う方が来た後は、堰を切ったかのように同じ様な要件だと思われるお客様が相次いで訪れるようになった。

と言っても、彼が来たのはまだ昨日の話なんだけどね…。

午前中だけで4人も来たら十分だと思う。

ただ、あんまり強硬な態度をとる人がいなかったから、される質問に誠実にお答えするだけで納得して帰ってくれたのでとても助かる。

でも、午前中の人達みたいなのは続かない…と思っておいた方がいいだろうなと、ちょっぴり憂鬱になってしまう。


「最初のお客様みたいなキラリと光るモノをお持ちのお客様は、中々来ないですー。」


 休憩時間にお茶を飲みながら、アッシェが残念そうにぼやいた。


「私も見ておくんだった…。ザンネン。」

「アレはねぇ…。」


 コンカッセの心底残念そうな顔に苦笑を浮かべる。

彼女は、めんどくさそうな客が来たと思ってさっさと奥に引っ込んだから、クルクル回ったりしてるおじさんの姿はみてないんだよね。

アッシェに面白かったと聞いて、「失敗した」としょんぼりしてた。


「アレは、ただの詐欺師だけどな。」

「結局、スフィーダからのお客さまじゃなかったです?」

「老けて見えるが、一応俺の同級生だった。まさか犯罪に手を染めてるとは思わなかったが…。」


 一緒に卓を囲んで、お菓子を摘まみながらアスラーダさんが教えてくれた事実に、思わず3人で黙り込んでしまった。

同級生と聞いて、銀髪に鼻眼鏡のおじさんを思い返してみたものの、どう見ても40代より上にだとしか思えない。


「どうみても、おじちゃんだったですよ??」


 アッシェが唇に人差し指を当てて、コテンと首を傾げた。

なんか可愛く見えたから、私も真似をしてみると、コンカッセもお菓子をモグモグしながら真似をした。


「3人揃ってうっとおしい。」


 彼はそう言うと、私達のおでこを次々とつついた。

 

「あう」

「はう」

「何で私だけほっぺもなんですか…。」


 何故か私は、ほっぺもつつかれた。同じ事をしてたのに、なんだか不公平だと膨れると、今度は両手で膨らましたほっぺを挟んでつぶして揉みまくられる。


「アイツは、入学が遅かったから10歳年上なんだ。」

「あー、なら納得ですー。」

「あずらーだざん、はだぢで?」

「リア充滅びろ」


 私の懇願の声を無視してムニムニと私のほっぺを揉み続けていた彼の手を止めたのは、コンカッセの呟きだった。


コンカッセ、その言葉ほんとに怖いからやめようよ…。




 今日の午後からの『お客様』は、団体さんだった。

スフィーダから来たと言っていたおじさんが来てから、ちらほらと来始めていたのと同じ『迷惑』なタイプのお客さんなんだけど、今回のは10人と言う大所帯だった。

アスラーダさんはこの集団が口を開くのと同時に、巡回している警備兵を呼ぶ為に外に出て行った。

ラヴィーナさんがやってきた事により王国からも警備兵が派遣されてきていて、村の中を巡回してくれている。たまに、粗暴な探索者さんが他のお店でも暴れたりすることがあるから結構忙しいらしい。

ちなみに、先日来た銀髪のおじさんは詐欺の常習犯で手配されていたから、既に捕まって王都に送られたんだそうだ。


「この店が出来てから…」

「…グラムナードだなどと嘘ばかり…」

「こんな小娘に魔法薬など…」

「魔法薬でもないものを偽って売りつけてるんだろう」


 余分な事を考えてる間にも、騒ぎが大きくなっている。

ただ、大勢でワイワイガヤガヤと同時に喋るせいできちんと聞きとれなくて困った。

少し落ち着いてる時に聞いたところによると彼等は、王都の工房街からわざわざ馬車を乗り継ぎ2日掛けてはるばるここまでやってきたらしい。

文句を言う為にここまで来ると言う熱意には恐れ入る。

その行動力を他に使う事ができないのかというのが、個人的には残念だとは思うんだけど他に思いつかなかったんだろうな…。

今のところの主張はこんなところなんだと思うんだけど…。


その1

この店ができてから、自分達の魔法薬が売れなくなった。

もしくは売れる量が激減した。


その2

グラムナード錬金術工房が支店を作ることなどあり得ないから、店の名前を詐称してるのではないか?


その3

自分達が費やしたのと同じだけの時間学んだと思えない女子供が魔法薬を作れるわけがない。

だからこの店で売っているのは魔法薬ではないだろう。


 となると、言葉は違えど言っている内容を纏めると、『お前達は詐欺師だ』って言う事になるのかな。

ひどい冤罪だけど、そう思いたいのだろうからこちらが何を言っても聞いて貰えないんだよね…。

小さく、諦めのため息を漏らしたところで、彼等が口を揃えて要望を口にした。


「「「「「「「「「「こちらの受けた損害をどうしてくれる?!」」」」」」」」」」


…ですよねー。

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