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リエラと創ろう迷宮都市!  作者: 霧聖羅
騎獣の平原
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24日目 ハンモック

アスラーダ:アトモス支店の監督役?面倒見のいいお兄さん。


2017/6/11 加筆・修正を行いました。

「昨日はゆっくり休めましたか?」

「ああ。昨日はゆっくりさせて貰った。」



 そんな中での久しぶりに一緒の休日で、私は久しぶりに彼と一緒に箱庭を散歩していた。

今日だけは、ラヴィーナさんを巻き込んだおかげで何とかなるかもしれないけど、別の方向での不安が芽生えてしまった村の今後の事については横に置いて、彼にのんびり骨休めして貰おうと思ってる。

私の考え不足に巻きこんでしまってるからと言うのもあるけど…。

私も少し息抜きがしたいと言うのが本音かなぁ?

大急ぎで設置している外壁工事を始めて5日目で初めてのお休みだから、思い切りのんびりする為に森にハンモックを吊るしてある『夏』の気候を選んでみた。


 森を通り抜けてくる風が程良く涼しくて、ハンモックに乗るといい感じに揺れてすぐに眠くなっちゃうんだけど、疲れている時はそれがいい。

私も慣れない工事作業をしていたのもあって、大分くたびれてるからね。

ハンモックに揺られるのがちょっと楽しみだったりもする。

 アスラーダさんと工事の進捗具合やなんやらを話しながら歩いて行くとあっという間にハンモックのある場所までついてしまった。

内容は色気のかけらもないけど少しでも長くお話したくて、遠回りして来たんだけど中々思惑通りにはいかないものだなぁ……。


「今日はこちらで? 姫君。」

「うむ。くるしゅうない。」


 早く着き過ぎてしまった事に若干しょんぼりしていると、アスラーダさんがからかう様に声を掛けてくるので、精一杯のお姫様っぽい返事を返してみる。

一瞬の間をおいて、二人で殆ど同時に笑い声が漏れだした。


「それ、お前の『お姫さま』に対するイメージなのか?」

「ええー! それじゃ、どんなのがそれっぽいんですか!」


 くっくと笑いながらの言葉に、怒ったふりで応える。

でも、その怒ったふりも長くは続かなくて、また一緒になって笑ってしまう。

やっと笑いの発作がおさまると、彼は当然の様な顔をしてとんでもない事を言いだした。


「で、今日は抱き枕は?」

「ぶっぶー! ハンモックの定員は1名となっておりまーす。」


 私は両手で大きなバッテンを作って、その言葉を却下した。

アスラーダさんは肩を竦めて私を抱き上げると、そっとハンモックに乗せるついでとばかりにほっぺに口付ける。


「アスラーダさん!?」

「お前のほっぺたがスベスベプニプニなのがいけないんだ。」


 リエラがほっぺを押さえて抗議すると、彼は訳の分からない理由を口にしつつ舌を出した。


「もぉ……、訳が分かんないですよ。」


 押さえたほっぺはひどく熱くなっていて、今、きっと茹でたタコみたいに真っ赤になってるんだろうと思うとなんだかより恥ずかしい気分になる。

彼は素知らぬ顔で私のハンモックを揺らすと、自分も別のハンモックに横になった。


「昼までもうひと眠りするんだろう?」

「そうしたいな……」

「午後は『秋』の森で果物狩りというのは?」

「いいですねぇ……。みんな喜びそ……」


 吹き抜けていく風と、ハンモックがゆらゆらと揺れるのが気持ちよくって、アスラーダさんが近くに居ると言う安心感も手伝ってか、あっという間に私は眠りに落ちていた。





 『秋』の回収所の森の中を歩きながら、食べごろだと思われる果物を見つけて収穫する。

ただそれだけのことなのに、一人より二人の方がなんだか楽しいのが不思議。

お客さんから言われた言葉を聞いてどんな風に思ったとか、そう言った話しをしながらいい感じに育っているキノコを採る。


「そういえば、お店の売り上げ的には有難い事なんですけど……。相変わらず毎日買いに来てる人もいるんだって。」

「うん?」

「治療薬もそれなりのお値段がするから、毎日何本も買ってたらお財布がピンチになるんじゃないかとちょっと心配だと思って。」


 実際、毎日何本も買って行ってくれる人もいるんだよね……。

大森林への狩りだけじゃなく、今は騎獣の平原に行く人もいるらしくって留守にしてる人が沢山いるのにも関わらず売り上げはそんなに悪くもないらしい。

狩人のお仕事って、そんなに収入があるものなのかがとても不思議だ。

そう思いながら唇を尖らす私を見て、彼は苦笑を浮かべた。


「今はまだ、例の魔獣事件で普段よりも実入りがあったのもあるんだろうが……。それよりも別の目的があるんだろう?」

「?」

「ここは、夫婦ものは殆どいなくて、独身男性が住民の多くを占めてるそうだからな。」

「……アッシェとコンカッセがお目当てかぁ……!」


 納得してポンと手を打つ。



それならあるかもしれない。二人とも可愛いからね。



「……アスラーダさん、なんでそこで笑うんですか。」

「いや、別に……?」


 そう言って横を向いた彼の方は細かく震えてる。

どう見たって笑ってる様にしか見えないよ?

ぷーっと膨れてテシテシとキノコで攻撃すると、彼は笑いながら逃げ出した。


「もー!!! 笑われる様な事、なにも言ってないじゃないですか~!」

「悪かった悪かった。」

「口元をひくつかせながらの謝罪は謝罪じゃないです。」


 腰に手を当てて睨んでやると、彼の眉尻が少し下がった。


「罰として……」

「罰として?」

「膝枕の刑です!」

「……どっちがする側なんだ?」


 私の言葉に、困惑した様子で彼は首を傾げる。



ふっふっふ。

困ってる困ってる。

ちなみに、却下されなかった私も今、めちゃくちゃ困ってる!



 咄嗟に変な言葉が口から出てしまったと、内心で焦っているとアスラーダさんがニヤリとちょっと悪い笑みを浮かべた。


「なら、川辺で夕方まで俺が膝枕をするのが罰、と言う事でいいな。」

「いやいやいやいや?!」


 慌てて手を振って、取り消しを求めたものの結局その後は彼の膝枕で何とも落ち着かない時間を過ごす事になった。

……その状態でまた寝てしまったので、更にアスラーダさんに「お前は良く寝るな。」と笑われてしまったのはまた別の話……と言う事にしておく。

なんだろう、膝枕……。

やってもやられても、私に対する罰にしかならない様な気がするのは……。

気のせい……なんだろうか……?

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