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リエラと創ろう迷宮都市!  作者: 霧聖羅
騎獣の平原
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19日目 迷宮はまだナイショ

 『騎獣の平原』を迷宮として設置してから、ラヴィーナさんを連れてトーラスさんの元に報告に向かった。

悩む時間が長かったせいで夕方になってしまったものの、最初の予定よりも町の近くにしたのもあって非常識な時間の訪問にはならずに済んだ。


「今日はこんな時間にどうしたんだ?」


 そうは言っても、約束もなしに訊ねる事はそうない話だから彼は不思議そうにしながら中へ招いてくれた。

ミーシャさんが淹れてくれたお茶を置いて席をはずすと、アスラーダさんが口を開いた。

ラヴィーナさんは早速お茶に口をつけている。


「実は今日、この村のすぐ近くで迷宮を発見した。」


 お茶に手を伸ばしかけていたトーラスさんの手が止まる。

たっぷり10秒はそのまま時間が過ぎた…と思う。

やっと彼が動き出したと思ったら、大音量で叫び声が上がった。


「ミーシャ!!アランと、モーランと、ステラを呼んで来てくれ!!!」


 遠くでミーシャさんの返事が聞こえると、パタパタと走りだして行く音が聞こえてきた。


「悪いが、3人が来てから詳しい話を頼みたい。」


 そう言ったトーラスさんは、いつもの気の良いクマのおじさんとはちょっと違って見えた。




「今までその辺りに行ってたヤツもいるはずだがなぁ…。」

「迷宮って、急に発生する事があるのかい?」


 集まった3人の人は、この村を作った立役者なんだそうだ。

アランさんは解体所の代表で、モーランさんとステラさんは宿屋のおじさんとおばさんだ。

そう言えば、まだ村の人達全員の名前を全部覚えてなかったなぁとこっそり反省。


「迷宮が発生する原因は分かっていませんから、こう言う事もあるのではないかと。」

「そうね。グラムナードの『練武の迷宮』も100年くらい前に突然発生した迷宮なのよ。」


 アスラーダさんが答えると、それにラヴィーナさんが補足を入れた。

『練武の迷宮』って自然発生だったんだっけ?

後で確認しておこう…。


「迷宮が出来たと言う事は、国に報告しないとまずいのかい?」

「そうねぇ…。トーラスは貴族じゃないから…」


 ステラさんの質問に答えかけたラヴィーナさんが、ハッとした様子でアスラーダさんを見た。


「…もう!嫌な子ねぇ…!」


 言われたアスラーダさん以外は、キョトンとした顔で首を傾げる。


「…いいわ。私にとっても悪くない気がするし…。責任はとってあげるから、方針を決めて頂戴。」

「ありがとうございます。叔母上。」

「「「「叔母上?!」」」」


 トーラスさん達の驚きの声が、綺麗に揃った。



 ラヴィーナさんが責任をとってくれると明言してくれたお陰で、その後の話し合いは割とスムーズに進んだ。…引っかかった部分は、「叔母上」発言とその後に続く『王太后』だって事を信じて貰うのに時間がかかったせいだ。

原因は、ラヴィーナさんが前々からこの村に滞在して魔獣狩りに行っていたせいで、やたらと村の人に馴染んでるなーと、お店で手伝ってくれてる時から思ったのは気のせいじゃなかったらしい…。

 トーラスさんが貴族じゃないから、やっぱり他の貴族の横槍が入る確率が高いらしい。

そこで、ラヴィーナさんの出番だそうだ。

迷宮があると周囲に認知される前に、ラヴィーナさんの隠居先としての離宮的なモノを作ってしまえば他の貴族が手を出して来づらくなるらしい。

本人は、「離宮じゃなくて狩猟館がいいわ。」と言ってたけど、住んでくれれば何でもいいと思う。

実際に治めるのは現地の村長に任せる事になるだろうと言ってたけど、どう考えてもそう言った事を面倒事と思っていそうだからじゃないかな、と思う。

どうも彼女は貴族の間では……らしくて、彼女がいるだけでも虫よけ替わりになるんじゃないかと言うのがアスラーダさんの見立てらしい。本人は不服そうに膨れてたけど、多分事実なんだろう。




 話し合いの結果、1カ月後に迷宮の事を対外的に発表すると言う事になった。

そこまでの間は、その下準備。

具体的に言うなら迷宮の入り口までを囲う外壁を作って、更に村人を誘致する事。

 ラヴィーナさんは離宮だか狩猟館だかを作る準備をさせる為、竜人さんにお願いして予定より早いものの一旦王宮に帰って行った。そんなに簡単に、希望が通るのかがとても不思議だけど、本人が通ると思っているんだからきっと押し通すんだろう…。

交渉することになる人に、こっそりと手を合わせておいた。


 私とアスラーダさんは、二人で迷宮から石材を切り出して迷宮のちょっと先まで囲い込むようにして外壁を造る事になった。

これに関しては、王都から工夫さんを呼ばないとダメかと言う話が出たので、私の方から申し出てみた。

1カ月の間は、迷宮の事を内緒にしておきたい訳だから割とすんなりと引き受ける事ができた。

前にうっかり店の改装をトーラスさんに目撃されていたのも、「やれます」っていう言葉に説得力を持たせたのかもしれない。

 急ぎの仕事なのもあって、地面は取り敢えず草原のままだけど魔法を惜しみなく使ったお陰もあって、以前にあった様な魔獣の襲撃があっても耐えられるように作って行こうと思う。

出来れば、造成の前に薬草は採集しておきたいなぁと言う個人的な欲求はあるけど時間がなぁ…。

 それから、外壁の作成と並行作業で一部は造成工事も行わないといけない。

ラヴィーナさんが工事の人夫さんを連れてきた時に、建設予定地がきちんとしてないとまずいと言うのと、人口を増やす予定なのに住居がないのはあんまりだからだ。

 石材の運び出しには『しまう君』が大活躍したんだけど、他の人に見せる訳にはいかないから皆が寝てからの作業になる。なので、その作業の間私はお店をお休みさせて貰う事になった。

今のところ、お店は二人で切り盛りできる状態だからと、二人には安心して頑張る様にとのお言葉まで貰ってしまった。必要ないと言うのも、それはそれで寂しい。


 村人の誘致に関しては伝手があるらしく、鍛冶屋さん夫婦があちこちの町に村人を連れて連日飛び出して行っている。鍛冶屋さんはそのお陰で休業中。

その送り迎えの合間合間に、何故か『アスラーダさん成分』を補給に来る旦那さんが物凄く謎だ。

何で毎回抱きついていくのか??

あんなに可愛い奥さんが居るのに…???

なにはともあれ、アスラーダさんが凄く迷惑そうなので止めてあげてほしい…。


 これからこの村の様相が随分と変わって行ってしまうのが、なんだか残念な様な楽しみの様な…。

そんな事を思いつつも、忙しなく日々が過ぎて行った。

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