12日目 特産品
トーラス=アトモス村の村長さん。熊人。美人の兎耳族の奥さんが居る。
2016/12/20 現在の資産の内訳がごっそり抜けていた為追加しました。
夕方の開店時間が終わる頃、村長のトーラスさんがやってきた。
「住民票を貰いに来たんだが、用意はできてるか?」
「はい。出来てますよ。」
彼が来たときの為に用意しておいた書類をカウンターに並べる。
提出するのは、元居た町で発行して貰ったもので、
これを持っていないと正式な住民として認めて貰う事ができないと言う重要書類でもある。
「1・2・3…6枚。あれ、7人じゃなかったか?」
「ああ、アスラーダさんは時期領主さんですからお引っ越しは出来ないんですよ。」
「へぇ。お貴族さんだったのか。」
「トーラスさんは違うんですか?」
一応、町や村の長は貴族がやってるはずだから不思議に思って訊ねると、意外な返事が返ってきた。
「俺は貴族じゃないな。」
「村長さんって、下流貴族だって聞いてたんですけどそうじゃない事もあるんですか。」
「5年くらい前にな、大森林のすぐそばを開拓出来た場合に限って、平民でもその開拓地の代表を村長として下流貴族にとりたててくれるって事にはなったんだ。」
「へぇ…。」
「それで、ここ以外にも何箇所か開拓しようとした奴等はいたんだが…。」
そこで言葉を区切ると、首を横に振る。
他の開拓地は、何らかの事情で存続出来ていないらしい。
「それにしても、本当にグラムナードから来たんだなぁ…。」
話を逸らす様に彼は書類を流し読みしながら、しみじみと呟いた。
「店の名映えを見た時にはびっくりなんてもんじゃなかったんだがなぁ…。」
「『グラムナード錬金術工房』って、そんなに有名なんですか。」
私は就職が決まってから知った位だったんだけど、学生だったからなのかと思って聞いてみた。
「うーん…。探索者と、一部の商人の中では…だな。」
「まぁ、探索者さんは実際に使う立場ですし、商人さんは…転売目的ですかね?」
「探索者の中では、魔法薬はグラムナード製以外はダメだってヤツが多いらしいな。
実際、お前さん達の薬を使ってみたらその言葉が良く分かる。」
実際に私達の扱ってる物と比べると、魔力の含有量が随分と少ないからそうだろうな、とは思う。
「商人は、支店を作る事を勧めてものれんに腕押し。仕入れを申し入れても契約のテーブルにすらついて貰えない…と。そんな感じの話しか。」
「ああ…。最近はお弟子さんをとるようになったから、支店を出す余裕が出来たんですよ。」
それを聞いて「うちは運が良かったんだなぁ。」とトーラスさんは呟いた。
「立地の方がもっと凄いですよ。」
「大森林が近過ぎるって?」
「いやいやいや。凄い特産品がありますよ!」
「そんなもんあったか??」
「今すぐに売れるものでもないかもしれないですけど、特産品になりうるもの。といった方が正確かもしれないですね。」
そう前置きをしてから不思議そうな顔をしている彼に、目の前の湖が秘めていた宝物について話を始めた。全部聞き終えたトーラスさんは、少し困惑した顔で首を捻った。
「ふーむ。今の話を聞いた感じだと、確かに今すぐに売れるものではなさそうだな。」
「まぁ、ゆくゆくは…ってところですね。」
迷宮を解放すればそんなに時間が掛かる事は無いんじゃないかな、とは思うけどその辺は話せないから黙っておく。その時が来たら慌てる事になるかもしれないけれど、あまりにも熱心に準備を勧めるのも不審すぎるからこの辺にしておいた。
書類を揃えて帰る準備を始めたトーラスさんを手伝うと、外までお見送りした。
空を見上げると、沈んで行く夕陽が空を赤く染め上げ、近づいてきた夜の色と混ざり合っている。
それを見ているとなんだか無性に寂しい気分になってきて、それを振り払うように夜の冷気を含み始めた空気を肺いっぱいに取り込んだ。
「よし、明日もがんばるぞー!」
小さな声で気合いを入れると、お店の看板をひっくり返して『閉店』にして店じまいを終らせた。
現在の資産
8.107.000 → 8.388.400
収入内訳
治療薬 198本× 1000ミル=198.000ミル
高速治療薬 8本× 9000ミル= 27.000ミル
治療丸 8粒× 3600ミル= 10.800ミル
治療薬一式 5式×13600ミル= 68.000ミル
支出内訳
パン 2400ミル




