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リエラと創ろう迷宮都市!  作者: 霧聖羅
騎獣の平原
33/200

12日目 箱庭1号作成

アッシェ:新工房の調薬担当。ちょっと変わった多眼族の女の子。

コンカッセ:新工房の魔法具担当。いつも眠そうなマイペースさんの女の子。

ラヴィーナ:王太后。アスラーダさんの叔母さん。ソウルフードはきゅうり。

アスラーダ:魔物退治中。お疲れだから無事に帰って来て欲しい。


2016/12/19 誤字の修正を行いました。

2017/6/11 誤字の修正を行いました。

 今日は予定外にラヴィーナさんへの講義をする時間をとってしまったものの、お昼までは予定通りに在庫の作成作業に入る事にする。


「そろそろ、日常業務に入ろうか。」

「はいですー。」

「了解。」


 コンカッセは言うが早いか、家庭用デラックスの準備に取りかかっている。

開店記念という事で今は無料で配っているけど、試供品として配るのは今日までの予定。

明日からはこれも商品として並ぶから、補充はきちんとしてないといけない。

彼女は植物系に魔力を含ませるのが苦手なんだけど、家庭用デラックスは魔力水さえあれば誰でも作れるので在庫が減ってきたら作って貰う事になっている。

家庭用デラックスの在庫に余裕がある時には、消耗品型の魔法具や、魔法薬の容器を作るのが彼女のメインのお仕事だ。


 アッシェもさっさと服を着替えると、大きなすり鉢を用意して必要な薬草を放り込んで行く。

彼女は魔法薬をメインに作って行く事になる。

ゆくゆくはセリスさんみたいに服も作ってみたいらしいけど、中々難しいかな…。

主に時間的な問題で。

彼女がメイン商品になっている治療薬を作り始めたので、私もそっちを手伝う事にする。

お昼まで補充作業を続けて、午前中の作業は終了。

流石にその頃にはラヴィーナさんもこっちの世界に帰って来ていて、作業を楽しそうに見ていた。


「午後からも、また色々と作るのかしら?」


 と、自分も作りたいと言う空気を醸し出すラヴィーナさんには申し訳ないけど、午後はお茶の時間まで、私以外の二人で薬草採集に充てる事になってる。


「午後からは、アッシェとコンカッセは村の外で薬草集めなのです。」

「素材集め大事。」

「確かに材料がないと何も作れないわね。……リエラちゃんは行かないの?」

「私はそろそろ迷宮の準備を始めます。」


 午後の予定を告げると、彼女はすこし考える素振りをした後、私の方に残ると宣言した。

まぁ、拒否権は無いなと思い、二人を送り出してから最初の迷宮用にある程度育ててある賢者の石を取り出す。


「ふふ。これを見るのも久しぶりねぇ……。」

「作ってるのは見た事があるんですか?」


 なにやら嬉しそうに手元を覗き込む彼女に、相槌がわりに聞いてみる。

大まかな内容はもう決めてあるから、雑談する位は問題ない。

箱庭の映像を展開させると、メモを見ながら配置を設定していく。


「子供の頃に、お父様が作っているのを膝の上でよく見ていたわ。」

「ああ……。初代様ですっけ。」

「ええ。優しすぎて統治者に向かない人だったけど、父としては最高だったわ。」


 ……なんか、似たような言葉を聞いた気がする。

同じ言葉じゃないけど、同じ様に解釈しようもあるいい方で。


「優秀な魔法使いで、錬金術師だったと聞いてます。」

「そうねぇ。そうだったかもしれない。でも、私には泣き虫で、過保護なお父様だったわ。」


 ああ、アスラーダさんの言葉だ。確か『王としてはどうだったか』的な言い方だっけ?

あれは、『優しすぎて王に向かない』って方向だったのか。


「ところで、今作ってるのってまるっきり草原だけなの?」

「ええ。まるっと一面草原ですよ。水場も点々と散らばせて……と」

「この辺となんだか似てるわね。」

「似ていると言うか、似せてます。」

「ふぅん……」


 彼女の言葉通り、今作っている箱庭は一面平原になっている。

水場の側には土の色が見える場所もあるものの、殆どのっぺりと草が生えている平坦な土地。

9平方kmの広さのその平原の周りは切り立った岩山に囲まれて、他とは隔絶している。

極々稀に、大人の腰丈位の食用にできる実の生る小さな木が生えてるのが彩りと言えなくもない。

草と言っても、大半が主力商品の治療薬の材料に使える薬草で、その他にはこの辺では珍しいものの余所では高級でもない普通の野菜と、魔法薬を作る素材の薬草になる。


……うーん。

ただ、真四角なんじゃ面白くもなんともないから、少し歪な楕円形に変える事にしようかな?

変形変形…よし、こんなもんかな。

弄り終わってみたら、歪なひょうたん形になった。


 形を弄り終わると次の作業だ。


 そこに配置するのは、ウサギ・走り鳥・水牛・イタチ・オオカミの5種類。

これを最低10頭づつは常に発生している様に設定を行ってから、毎日繁殖してほしい数を決定する。

ウサギ・走り鳥・水牛は毎日100頭づつ。

イタチは200匹、オオカミは300頭増えて貰えば、少しは維持がマシになる…予定。

……放置した場合、足りない魔力は約7万。

これは、他の方法も考えないとまずいかもしれないけど、一旦保留しておこう。

 ここから、種毎に個別設定を行う。

これは、賢者の石を育てていったら出来る様になった機能だ。

元々、サイズの大小は設定する事が出来たんだけど、それに追加で性質や骨格、毛並みや毛色なんかの設定も出来る程度にこの賢者の石は育ててある。

ひたすら毎日、魔ウサギ狩りを敢行してくれたアスラーダさんに感謝。

彼の頑張りがなければ、この機能を使うのに随分な時間が必要でした。

この機能を使って、ラヴィーナさんのご希望の『王都近郊にいる動物は、そのままの姿形で使用せず箱庭独自の特色を組み込む事。』という項目の条件を満たす予定だ。


「終了です。」

「早いのねぇ……。」


 決めてあった通りにせっせと設定して、展開していたモノをとじると彼女は目を丸くした。


「お父様はもっと長い間いじってたから、びっくり。」

「最初にお会いした直後から、設計を始めてたからこんなものですよ。」

「もう、中には入れるの?」


 いかにも、今から入ろうと言いたげな様子に苦笑が漏れる。

同じ100歳越えでも、ラエル先生とは随分違うなと無意識に比較してしまう。

あんまりにも、その在り方が違いすぎて。

ラヴィーナさんは、随分と甘やかされて育ったんだろうなと、コンカッセじゃないけどそう思う。

 

「入る事は出来ますけど、私は一人で入っちゃいけない事になってるので二人が帰って来てからですね。」

「私が居るじゃない。」


うーん……。

いいのかな?

確かにこの人は強いらしいし、良いのかもしれないけど……。


 私の方を、待てをされてる犬の様に期待に満ちた目で見上げている姿に、なんとなく良いかな?という気分になる。


「って、何でわざわざしゃがみこんで見上げてるんですか!」

「おねだり成功率が高いのよ?」

「二人が帰ってくるまで『待て』です。」


 作戦失敗―とむくれる彼女に、思わず脱力する。


なんか、こう。

調子狂うなぁ……。


 結局、二人が戻ってくるのと同時にお客さんが入り始めたのもあって、箱庭に入ってみるのは明日の休憩時間という事になった。

ラヴィーナさんは残念そうな声を上げていたけど……。

まぁ、仕方ないと諦めてくれたから、思ったよりも物分かりがよくてほっとした。



箱庭データ


ひょうたん型の岩山に囲まれた平原。

あちこちに水場があり、草食動物がたむろしている。


平地内の配置割合

ハーブ類 3割

魔法薬素材1割

水場   3割

低木   1割

残りは雑草・野菜など。


生物配置

ウサギ 10羽 繁殖100羽

走り鳥 10羽 繁殖100羽

水牛  10頭 繁殖100頭

イタチ 10匹 繁殖200匹

オオカミ10頭 繁殖300頭

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