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7日目 アトモス村5

アッシェ:新工房の調薬担当(予定)。ちょっと変わった多眼族の女の子。

コンカッセ:新工房の魔法具担当(予定)。いつも眠そうなマイペースさんの丸耳族の女の子。

アスラーダ:王都以外に拠点を構える事になってなんだか嬉しそう。

トーラス:アトモス村の村長。熊人。

ミーシャ:村長の奥さん。可愛い兎耳族。

 最終的に、謝礼のお話は一旦保留にさせて貰う事にした。

代わりに、村中とその周辺を案内してくれる人を貸して貰う事になった。

白羽の矢が立ったのはミーシャさん。

彼女は大層張り切った様子で先頭に立って案内し始めた。


「ここが、皆の憩いの場の広場です!」

「昨日、お葬式もしたですね。」

「焼き肉…。」


 最初に案内されたのは、村の真ん中にある広場。

確かに昨日、お葬式的なものと一緒にバーベキュー的な物をやった記憶が新しい。


「ここは、今は里帰り中の我が村一の鍛冶屋さんのお店兼、お家です!」

「鍛冶屋さん、何軒かあるですか?」

「う…。一軒だけです…。」


 次に案内されたのは、お留守にしていると言う最高戦力のご夫妻の営んでいると言う鍛冶屋さん。

鍛冶屋さんが最高戦力って、狩りが主な産業だと言うこの村の在り方にちょっとだけ疑問を感じる。

その後は、狩ってきた獲物を捌くのに使っている建物を覗いたり、宿屋を覗いたり。

宿屋はやっぱりその1軒だけで、これまた1軒だけの酒場を兼ねているらしい。

全部で200人位の村だから仕方ないんだろうと思う。

 聞くと生活用品は、紅月と翠月に肉と皮を買いに来る商人が持ち込んだ物を使っているらしい。

雑貨屋さん的なものは無くて、彼女が熱心に出店を希望するのが分かるような気がした。


「こ、ここから湖に降りていけるんですよ。」

「おおー!ぜっけーですー」


 村の中から行ける場所で、最後に連れて来られたのはジェルボア湖へと下る為に切られた長い階段。

階段の上からでも、その大きな湖の全景を見る事はできないものの、日の光を反射する様は思わず声が漏れるほどに美しい。

岩肌に手で掘ったという階段は、高さが不揃いで少し歩き辛い。

ただ、湖に近い方にはきちんと手すりが作られていて安全対策はばっちりだ。


「湖でなにする?」

「生活用水は井戸から汲めますが、お魚を釣るのに使ってるんですよ。

あとは、憩いの場的な!」


 今日の目的は、お魚釣りじゃないだろうから、間近で湖を見せるのが目的だろう。

この村は、なんだか憩いの場が多いみたいだけど、第3の憩いの場はミーシャさんだと言っておく。

異論は認めない。

アホな事を考えつつも、目的地に近付くにつれ『視』えてくる物に鼓動が速くなって行くのを感じる。

そっと、手を伸ばすと指にアスラーダさんの手が触れた。


「アスラーダさん、『視』えてます?」

「ああ。」

「天然物は、初めてです。」

「そうだな。」


 階段を降り切ると、そこそこの広さの草地が広がっている。

念の為、その下の土も確認してみると他の土地よりも遥かに多い魔力が含まれていた。

目の前の湖は静かに神秘的とも言える光を放っている。

この湖は大量の『魔力水』を湛えていた。


「アッシェ、コンカッセ。ちゃんと『視』た?」

「ほえ?」

「!?」


 言われて初めて『魔力視』を使ったコンカッセが息を飲む。

アッシェも遅れて『視』ると、こちらを笑顔で振り返る。


「りえらせんぱいの実験、ここでなら成果をだせそうですね♪」

「実験??」


 キョトンとするミーシャさんには申し訳ないけど、アッシェの言葉通り。

ここは私にとって良い実験場になるにちがいない。

幸いな事に、アッシェにもコンカッセにも、見る限りでは異論は無さそうだ。

3人で頷き合うと、今からやる事を指示する。


「アッシェとコンカッセは範囲の確定作業。」

「了解です。」

「了。師範は?」

「村の外を確認してくるよ。」

「了。条件交渉は?」

「確認終了後かな。じゃあ、後はよろしくね。」

「ほいほーい!」

「じゃあ、ミーシャさん。外の案内もお願いします!」


 急にやる気になった私達に戸惑うミーシャさんの背中を押して、来た道を戻る。

ノリノリで階段をのぼりはじめたのは良いものの、村の中に戻った時には足ががくがく笑ってた。

アスラーダさん、運動不足と笑わないで…。

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