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リエラと創ろう迷宮都市!  作者: 霧聖羅
ホラー君襲来
114/200

547日目~548日目 棚作り

トーラス:アトモス村村長の熊人。リエラの養父。

ミーシャ:トーラスさんの妻。兎耳族。リエラの養母。

ジュリアンヌ:スフィーダ公の奥方様。作法の先生として滞在中。

アルン:エルドラン公の孫娘。リエラの弟子。

アスラーダ:リエラの恋人。


2017/3/10 誤字の修正を行いました。

 研究室として貰った部屋に置く物は、大体が『しまう君』の中に入っているんだけど……。

何もないところから出すのも変だよねぇ……。

使いなれた物だから、出来ればコレを使いたいけど、どうしたものかなぁ?

大きい物は、新規で買って貰う事にして、小さめな物は手荷物に入っていた事にしようか。

方針を決めた私は、購入物のリストを頭の中で作り始めた。


 必要な品物は、翌日には揃った。

必要な物と言っても、部屋のサイズだけじゃなくて私の背にも合わせた物を作って貰うと手間ばかりかかっちゃうから、自作するつもりで素材になる木材と石材だけを運んで貰っただけだからあっという間に揃ったらしい。

 素材さえあれば、いくらでも好きなものが作れるから、私としては逆にこっちの方が有難いんだけど、トーラスさんは頻りに、「これでほんとうにいいのか?」と不安そうだ。


「それじゃあ作業台を作る作業、お養父様もご覧になりますか?」

「ああ。力仕事なら任せてくれ!」


 トーラスさんは大喜びで、胸をドンと叩いた。


「じゃあ、私もみていいかしら?」

「私も拝見したいですわ。」

「ふふ。ジュリアンヌ様とお養母様もみてらっしゃるのでは、張り切らないといけませんね。」


 言葉遣い、大丈夫かな?とチラリとジュリアンヌさんを見ると、微かに頷き返された。

一応オッケーらしい。

彼女が居る時は、言葉遣いに気を使うんだよね……。

今までみたいな話し方を、他所の人に見せちゃいけないのです……。

うう。舌噛みそう。

アスラーダさんなんか、私が今みたいな話し方してるとそっぽむいて口元押さえるしさ……。

似合わないとは私も思うけど、あんまりだよね。

 

 ソレは置いとくとして、研究室の作業台と棚の作成の見学者が3人もいるから気合いを入れますか。


「それでは、始めますね。」


 まずは、機材を保管する用の棚からかな。

壁と同じ素材の石に触れると、魔力を通す。

ふんわりとオレンジ色の魔力に包まれた石は、その場から壁際までうにうにと移動を始める。

ソレと一緒に、部屋に入ると適当な場所に同化させていく。


「「え。」」

「……グラムナードでは、そのようにして棚を作られるのですか?」

「魔法具師はそうですが、他の工房でどうしているのかは見た事が無いので……。」

「そうなのですね……。」


 あれ、ジュリアンヌさんの目が研究者っぽい感じになってる?


「ジュリアンヌ様も、ご興味が御有りなのですか?」

「ええ。私も、スフィーダの学院で教鞭をとらせて頂いてましたのよ。娘のリアーナが産まれる前の話ですが……。」

「ジュリアンヌ先生だったんですね……。」


 って、あれ?そう言えば、アスラーダさんがポロっと『先生』って言ってた気もする。

そっか、アスラーダさんはジュリアンヌさんの元で学んだことがあるのか。

なんだか、彼女の事を良く知ってそうだった事が腑に落ちた。


「もしかして、アスラーダさんも……」

「私の授業に参加してらした事がありましたわね。」

「……学生時代のアスラーダさんって、どんな感じだったんですか?」


 若い頃のアスラーダさんってどんなだったのか興味があって、ちょっとわくわくしながら訊ねてみる。

トーラスさんとミーシャさんも、ニヨニヨワクワクと言った雰囲気で彼女に注目。


「そうですわね……。よく、エデュラーン家のご息女と一緒に居ましたわ。」


 アルンのお姉さんか。


「恋人同士なんじゃないかと周りは思っていたようですけれど、私の目から見ると『悪友』と言った感じで、一緒に居ても剣の修練をしたり、魔法に関する議論をしたり。色っぽいお話は無かった様ですわね。授業中に教師と対立する事もあって当時は問題児扱いだったのですけれど、彼が在籍していなかったら、スフィーダでの魔法の扱いはもっと遅れていたのではないかと思いますわ。」

「教師と対立……ですか。」

「ふふふ。魔法の呪文について学ぶよりも前に、魔力の流れを視認できるようになるべきだ。でしたかしら?当時は、魔力を視るなんて、考えもしなかったものですから……。」

「グラムナードでは、子供の内に自然と覚えるそうです。」

「ええ。彼からそう聞いて驚きましたの。それから、まずは彼の指導の元、自身がその技術を身につけさせていただいた上で、魔力視を身につける指導を始めたんですの。」


 そう言って、彼女は一息つくと、私が話を聞きながら行っている棚の生成を指し示した。

うにうにうねうねと蠢きながら、順調に棚らしい形になってきてる。

うん。普通…………じゃないか。

自分で作る時の通常モードだったから、普通の事だと思ってたけど良く考えたら違ったね……。


「そのお陰もあって、大分、グラムナードの技に近付いているのではないかと思っていたのですけれども……。我々の元に、このような加工が出来る者は残念ながら一人もおりませんの。まだまだ、頂きは遠いのですわね。」


 私の棚作りを眺めながらのその言葉は、やる気の漲る好戦的な頬笑みと共に呟かれた。

お姉さまになら、喜んで指導させて頂きますけど、いかがでしょう?

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