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リエラと創ろう迷宮都市!  作者: 霧聖羅
遠方からの訪問者
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456日目 何故?

トーラス:リエラを養女にする予定らしい、アトモス村の熊人村長。

アスラーダ:リエラの恋人……。

フーガ:アスラーダの父親でグラムナード領主。

アッシェ:三つ目族の調薬担当。

コンカッセ:丸耳族の魔法具担当。

 いつの間にか着実に埋められつつある外堀が判明した今日この頃ですが、皆様どうお過ごしでしょうか?

リエラは元気に現実逃避中です。


 ……って、現実逃避してる場合じゃない!

一度首を振ると、話し続けているトーラスさんに注意を戻す。

ちょっと考えただけでも、さっき彼が口にした『アイツ』がアスラーダさんじゃないのは分かりそうなもんなのに、一瞬でも疑うなんて私もどうかしてる。

『アイツ』って言うのは、私とも仲良くしてる誰か、だ。

全然心当たりないけどね……!!


「グラムナード公への話も、アイツに段取りを任せておいたらすんなりといってなぁ……。」



フーガさんと面識のある人?

グラムナード公としてのあの人との面会を取り付けるとしたら、それなりの立場か身分が必要なはずだ。



「やっぱり、歴史があると違うもんだと思ったんだが、アスラーダの親父さんがまた話の分かる人でな?」



歴史がある??

全く記憶にない。

そんな人がいたら流石にすぐにわかる筈なのに。



「アイツはいつもお前さんの事を気に掛けててなぁ……」



アッシェ?コンカッセ??

違う。

あの二人だったら、こんなやり方はしないし、やる方法もない。

ルナちゃん?

彼女は割と直情型で、裏から手を回す様な事は不得手だ。

ラヴィーナさん?

一番怪しいのは彼女かもしれないけど……歴史ってキーワードに当てはまらない気がするし、彼女だったとしたら『兄妹』だとって言い回しになりそうなものだ。

それに、私の事はアスラーダさんのついで程度だろう。

有り得ない。



「俺もな、最初は変だと思ったんだよ……」



そんな変な人の立てる作戦に、簡単に乗らないでください!



「でも、聞くも涙語るも涙なあんな話されちまったらなぁ……」



ああ、トーラスさんは情に訴えられてほだされたのか。

そう言うのに弱いもんなぁ……。



 思い出したのか、目元を拭う彼にハンカチを差し出す。

それを見ながら、私はどうしても理解も想像もできない疑問を口にした。


「それで、その可哀相な昔話の主であるところの『アイツ』さんは、トーラスさんが私を養女にして、私がアスラーダさんに嫁ぐ事になった場合、どんな利益が得られるんですか?」


 ソレが無いのに、こんな事をする理由が無い。

トーラスさんだってそうだ。

私を養女に出来れば、どんな形であれグラムナードとの繋がりが出来るという事が理由に含まれていると言う事を否定してない。


「……本人に還って来る物は、何もないだろうな。」

「信じられませんね。」

「そう言ってやるなよ……。」

「その人が誰だか想像もつきません。誰かも分からない相手の善意なんて、悪意も同然です。」

「アイツに限って、お前さんに悪意を向ける訳がないんだが……。」


 彼は困り顔で呟いたけど、それでも強くソレを主張はしなかった。

されても困ってしまうんだけど……。

グラムナード公が承諾していると言うのなら、悪い話ではないのだと思う。表向きは。

でも、この事でアスラーダさんの足を引っ張る様な事はしたくない。


「暫く、考えさせて下さい。」


 膝の上の自分の手に視線を落としながら、やっと、そう答えた。

これが、トーラスさんだけの意向での話だったら、きっと私は喜んで彼に利用されただろう思う。

この村がどこの誰とも知れない人に乗っ取られる可能性を考えたら、アスラーダさんに涙を呑んで貰う事にしたかもしれない。出来る限り彼の負担にならない様にするつもりではあるけど、だ。


「分かった。期限は、年末までに頼む。」

「? 年末までですか?」

「ああ。年末になったら、中級貴族に格上げになることが決まってな……。お前さんを養女に迎えるための条件が厳しくなるんだ。」

「分かりました。」


 私が席を立つと、トーラスさんも立ち上がった。


「ミーシャのヤツに、アルンが連れて行かれた事を話さないとなぁ……。」

「そういえば彼女が王都に向かったのって、ついさっきの事でしたねぇ……。」

「おいおい。本人が聞いたら泣くぞ?」

「じゃ、内緒の話でお願いします。」


 さっきまでの少し重い雰囲気を払拭する為に、軽口を叩きながら階段を降りると丁度誰かが工房の扉を叩いているところだ。応対に出ようと作業を中断しかけていたコンカッセを手で制して扉を開けると、そこには通い弟子の1人のマロウさんと、長い黒髪を結いあげた美青年が立っていた。


「リエラ先生、こちらの方がどうやらアッシェさんを探してらしたようなんですよ。」



うん。

間違いなく関係者だね。



 彼の額には、色こそ違う物のアッシェと同じ種族である事を示す三つ目の瞳が煌めいていた。

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