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プロローグ

2016/11/17 誤字の訂正を行いました。

      適切でない表現が含まれていたので、訂正いたしました。

2016/11/20 話の都合上、曜日を『白月』から「翠月」へ変更しました。

2017/6/11 誤字の修正・一部文章の修正を行いました。

「おおおおおおおー!大きいです~!」

「あれが、王都?すごいねぇー!!!」

「あんなに大きいとは……!」


 駅馬車の窓をがっつり開いて歓声を上げるのは、リエラと一緒に王都で工房を開く為にやってきた兄弟弟子の3人だ。

 最初のが、アッシェ。

三つ目族の女の子。

真っ白な肌に黒いストレートヘア。大きめな紫色のお目々は、その名の通り3つだ。

ちょっぴり癖のある性格で、言葉遣いもちょっと特徴的だ。

 次のが、ポッシェ。

クマ耳族の男の子。

茶髪に青い目の、愛嬌がある男の子だ。でも、クマだけにでかい。

負けず嫌いな腕っ節自慢で、今回のメンバーの護衛役。

でも、喋り方はちょっとのんびり系。

後々には、工房に所属する探索者のリーダーになる事を期待されてるんだけど…。

可愛い女の子が大好きだから、逆に引き抜かれる気がして仕方がない。

 最後にコンカッセ。

いつも眠そうな、丸耳族の女の子。

ふんわりと白い肌に銀髪が綺麗でなんとなく神秘的なイメージの女の子だ。

今回のメンバーの中では一番魔力が多い期待の星。

ただ、興味のない事には本当に目を向けないマイペースさが困りものなんだよね。

 この3人は、エルドランの西にあるフレトゥムールの町にある孤児院の出身。

名前が似てるから、本人達を見ないとまるで兄弟みたいだよね。

アッシェはフレトゥムールの沖に見える島の出身じゃないかと言う話だけど、10歳の時に海辺で記憶喪失の状態で発見されたらしい。

それで、名前さえもわからなかったらしくて孤児院で名付けられたんだって。

ポッシェとコンカッセの二人は探索者崩れの女性が、産んだ後に名づける間もなく死んでしまって引き取り手も居なかったから孤児院で育ったそうだ。

同じ孤児院で育ったお仲間だから息もぴったりだからって事もあって、この3人が、今回工房を切り盛りする要員として連れてきたメンバーになる。


 なんと言うかね、見事にエルドランでリエラが見つけた人材がいない。

連れてくる予定だったエリザはセリスさんが…ね。

『リエラちゃんが行ってしまうのに、エリザちゃんまで居なくなってしまうなんて耐えられません…!』

って言って泣いちゃったので置いてくる事になったんだ。

エリザ本人は、『自分が2人いれば…』なんて呟いてたけど、2人居たら両方ともセリスさんが離さないだけだと思う。

リエラの事も送りだしたくなかったみたいだけど、『箱庭』を作れるのがリエラとアスタールさんだけだからと断腸の思いで送りだす決意をしたらしい。

アスタールさんは、長期間グラムナードを離れる訳にはいかないんだそうだ。

 ちなみに、エリザを置いてきた上で、年に4回はグラムナードに里帰りする事も約束させられた。

リエラもセリスさんに会いたいから、この約束はむしろご褒美なんだけどね!


 とりあえずは、この3人が定住予定者なだけで、新しい工房が軌道に乗るまでの間は工房担当の女の子二人はリエラが見る事になっていて、ポッシェはきちんとした仲間が見つけられるまではスルトとルナちゃんが一緒に行動してくれる事になっている。

最後に、アスラーダさんは相談役兼連絡役として一緒に来てくれているから、いきなり右も左も分からない場所に放り出される訳じゃなくて一安心。



 季節は春。

春の半月、最初の翠月だ。

旅をするのにはいい季節で、晴れの日も多くて外を歩くなら外套なんかはなくても良い位の気温だ。

そうは言っても、走ってる馬車でここまで大きく窓を開けてしまうと流石に寒いけどね。

リエラは目を輝かせてこちらを向いた3人組に返事をしようとして、大きなくしゃみをした。


 リエラが15歳になった今年、錬金術師としての能力もそれなりに磨けたと言う事で『師範』として王国に登録される事になった。

まだまだやれない事もあるし、沢山学ぶ事はあるんだけどね。

3年前に言われていた事を実際に行う時が来たから、対外的にきちんとした肩書きが必要になったと言うのが実際のところだと思う。

大体、『師範』なんて15歳の小娘にふさわしい称号だとは思えないしね。


 今、王都に向かっている目的は二つ。


その1  

王都近辺で売られている魔法薬の品質向上と、流通価格を適正額に収める事。


その2  

王都、もしくはその近辺に魔法薬の素材も採集できる『箱庭』を極秘で公開配置する事。

公開配置って事だから、個人的に楽しむ用途としての『箱庭』ではなく、危険もあるけど実入りも期待できる『迷宮』としての作成をしろって事だ。


 

 これは、王太后陛下からの要請だそうで、初期予算として1000万ミルを渡されている。

今回一緒に王都に向かっている全員のお給料も込みでの金額だから、のんびりしていると3カ月程度で無くなっちゃうんだよね。

だからで、ちゃっちゃと行動を開始しないといけない。

 まずは、王都内での魔法薬の値段や品質を確認した上で、方針を皆で話し合う事になる。

でも、今は初めての王都入りに、ただただみんなで胸を高鳴らせていた。

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