2 勇者と少年の邂逅②
勇者が村長宅に招かねている時、少年は日ごろの日課を行い自宅に帰り寝る準備をしていた
少年の自宅には何もなくあるものは藁にぼろい布、形が歪な水瓶、少年が作ったであろう干物
明かりはなく外も中も暗闇である
村では明かりなどがあるが少年の自宅は村から歩いて20分ほどあるボロ小屋のため村の明かりも届くこともなく月明りなどの自然の明かりしかない
「”ライト”」
少年がそう唱えると明かりが現れ部屋の中の様子がわかるようにはなった
「今日あたりにでも俺が例の魔物に襲われて俺が死んだのを勇者の責任にして金でも巻き上げるつもりかな。あのクソ村長は」
そう少年の家は村から20分も離れ例の魔物が湧いた方角がまさに少年の家の方角だからだ
「だから、いつも俺が狩った獲物のほとんど奪ってく癖に今日は俺の獲物を奪わず、むしろ獲物を渡してきたのか」
少年がもらったものは血がこびりつきにおいが残りやすいものを渡されていた
「これで今日の寝ている間に魔物に喰われて邪魔者の処理に勇者から金を巻き上げる口実をゲットってわけか...」
(ちくしょう!ちくしょう!俺がなにしたってんだよ!ふざけんなよ!なんなんだよ...ほんと俺がなにしたっていうんだだよ...)
少年は地面に拳を叩きつけ泣いた
「はははっ...くそ...くそ...」
今まで村人たちは少年に対し何も売らず、奪い、暴力を振るい、誰もが少年に対し敵意しか向けなかった
その理由は彼の特徴にある黒髪黒目
これは過去に魔王と呼ばれる存在が現れた時その魔王の容姿は黒髪黒目のものがほとんどであり、そこから黒髪黒目のものに対し敵意が向けられるようになった
通常であれば黒髪黒目の者は一般的な人より身体能力など全体的に上回っておりそこから黒髪黒目のものにはかかわらず放置といったものがほとんどだった
だが少年は身体能力どころか何ひとつ一般人より上のものがなく魔法の適性もなく無能の烙印を押された
そんな明らかに格下の相手ならばと今まで溜まっていたものを吐き出すかのように少年にぶつけていた
「せめて一回くらいあのクソな村の連中をあっと言わせたかったな...」
そうつぶやくと
「なら言わせてやろうぜ」
そこには勇者がいた