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第2録 ヒーロー

リクトは咲の返事に凄く喜んだ。


「そう言ってもらえると思っていたよ!!じゃあこの飴を…その前に確認だけしておくか。それに説明も色々…」


リクトの声の調子が変わると同時に咲は息を呑む。リクトは人差し指を立ててこう言った。


「ヒーロー。つまりは戦士?その戦士になったら沢山戦うし、痛い目に合うことになる。僕はね腹に結構深い傷を負っちゃってさぁ〜今でも痕が残ってるんだよね。」


「承知はしてます。んーと、つまりは良くて深い切り傷を負うくらいで済むが悪い場合腕や脚を無くしかねない。って事?」


「おぉ!察しが宜しいっ。」


私は察しの良さには自信がある。まぁそんな事は置いといて、でも例え腕や脚を片方だけ無くなるとは言いきれない。両方失う可能性もある。という事になってしまう。


「だから再生能力を持っていれば戦いで失った腕や脚を治すのは簡単で深い傷も同じ様に簡単に元通りに治せちゃう!!」


だが、リクトが言うにはその再生能力は実力を上げないと手に入らない能力の一つらしい。戦士になったばかりでも多少の治癒能力はあるがその治癒能力では治しきれない程になるらしい。腕や脚が無くなる…ポロってとれるって事になるのかな…。血がぷしゃぁーって。いやいや。恐ろしい。それで、リクトが言う再生能力。通称 "リピートヒール"…まんまじゃん…そういうのは置いといて、その"リピートヒール"は深い傷も勿論の事で取れてしまった腕や脚を再生する事が出来る。でも"リピートヒール"は習得するのにとても困難なものとされてるらしいから"リピートヒール"を習得するまでは常に気を張っていなければならない。


「だったら気をつければいいって話じゃないの?」


「それはちょっと違うんだよ。気をつけていたとしても必ず傷は負うもの。でも本当に僕が言いたいのはここから。」


今までの優しい目を強い眼差しに変えたリクトは真剣に見えた。


「もしも、再生能力を持っていない状態で深い傷を負ったとするよ?再生能力を持ち始めたのは半年後だとしたらその傷はもう治せない。」


腕を組んでその言葉の意味を考えた咲は察しの良さが働いて、


「って事は深い傷や取れた腕や脚は半年以内に再生能力を使って治さないと半年以上経った後に治そうとしてももう二度と治らない。って捉えていいのかな?」


「おぉ!流石!!僕の下手な説明でも良く理解してくれるね!!」


グダグダのやり取りを続ける事三十分。結局私はリクトからルールブックのような厚いマニュアル本を受け取り、連絡用機器も受け取った後、儀式を行い能力を手に入れた。普通に飴舐めるぐらいだけだったけど…。リクトは異世界へと戻り、咲はこれからに備えてマニュアル本を読み、しっかりと睡眠をとった。





……翌日

カーテンの隙間から太陽の光が差し込み、じんわりと夏に近い暑さがあるのを感じる朝。普段眼鏡をかけている咲は寝る時などで眼鏡を外す為、いつもと違った印象がある。鳴り響く目覚まし時計を止めて起き上がる咲は伸びをする。ベッドの横に置いてあるマニュアル本を見て、


「(あ。私、能力手に入れたんだっけ…。早速今日戦うことになるのかな…。)」


と思いながらも制服に着替えて髪をセットし、顔を洗う。朝ご飯を食べて学校に行く準備も済ませ、「行ってきます。」と言い、家を出た。勿論マニュアル本等、昨日リクトから貰ったものは全て持ってきた。今日は余り教科書も多くないので丁度良かった。心のヒビが染みつつも、友達と一緒に学校へと向かう。


が、しかし投稿中に奴が現れた。


グリータ組織したっぱNo.17 人種 レベル2


通称「輩(下)」 炎、草系で主に攻撃


攻撃の種類名 まだ不明


今回は一人だけではあるが咲はまだ一度も能力を使った事が無い。言うとたら弱能知(駆け出し)になる。しかも今は友達の山口結衣と瀧澤凜と一緒にいる。二人は不安そうな顔をしている。流石に初日にバレるわけにはいかない。あ、そういえば私。第二の名前を貰ってたんだ…「HISANA」か。


「あの。そこ、どいてもらえないでしょうか?」


「先に行けないんですけど…」


一向に三人の前から動こうとしない「輩(下)」。


「わたしはHISANAに用がアル。」


「HISANA」という単語に疑問符を浮かべる結衣と凜。だが、咲が何か関係しているのは二人にはなんとなく分かったらしい。通行人もそろそろおかしいと感じ始めているのかチラチラと咲達の方を見てくる。咲はこの状況をどうするものかと考える時間は無い。咲は溜息をついて、結衣と凜に自分の荷物を持ってもらい、「しょうがないか。」と嫌々な顔をした。


「えーと、とりま荷物はよろしく。先に学校に行っててくれる?」


「えっ。咲はどうするの?こんな不審者相手にしても意味無いって。」


「やっと戦う気にナッタカ?」


「はいはい。輩はまだ待っててもらえる?二人はお願いだから先に行ってて。」


「でも…。」


「はーい。じゃあ後でね。能力使いたくなかったんだけどな…」


咲は手をスっと結衣と凜の方に出して、「テレポートッ」と言った。瞬間に結衣と凜の姿は消えた。通行人がまだ結構いるのが厄介だが早くでも戦って倒さないと軽く半径100m以内の家や公共施設が消える可能性があるものだとマニュアル本に書いてあるのを昨日見た記憶がある。

咲はまず自分の所有能力と魔法を確認する。

そして戦闘用服に変身し、


「じゃあ、もっと広い場所に行こうか?」


咲と輩が一瞬まばたきして、目を開いた先には…。



広い 広い



草原が広がっていた。

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