第1録 壊れそうな自分の変わってゆく日常
私は、夢を見た。はっきりとは覚えていないがこれだけは覚えている。
心が暖かくなった。
救われた気分になれた。
そしてこの気持ちを与えてくれた男の子が居た。心の中を包まれてる感じがして、とても幸せだった。
そして私は夢の中のあの人を
好きになった。
ような気がする。
目が覚めた。朝だ。学校がある。
「(嫌だ。あ〜。学校…)」
中学二年生になった星名 咲 (ほしな さき)。心に沢山の傷を負っていた。コミュ障であり、話すのが苦手な彼女は人間関係にとても困っており、人の裏側が何よりトラウマで、そのトラウマが心に傷を作っている。
でも学校は学校なので支度する。
黒い透き通った腰まである髪の毛が太陽の光と交わり、美しく輝く。
着替えて
顔洗って
朝ごはん食べて
髪の毛セットして
眼鏡をかけて
教科書やらなんやら入った鞄を持って
「いってきまーす。」
と、家を出る。
登校する時はいつも二人のクラスメイトと一緒に行く。二人共毎回家から出てくるのが遅い。いつも、
「ごめんなさ〜いっ!」
と言ってる割に毎回遅い。
まぁ、夏休みまで頑張るしかないか…。今日はいつもより涼しくて過ごしやすい。そして学校へ着く。
「(今日は人来るの早いな。)」
そして時間は過ぎる。そして放課後になる。新しい心の傷が刻まれる。
運動会の係を引き受けた咲。人数は七人程の係。一人は学校をここ何日間体調不良で学校を休んでいる為六人で行っている。考えたり、何度もやり直したり、丁寧に行ったりもする作業なので気が立っていたのか、気のせいだといいのだが、一人の男子が自分に向かって
「嫌い」
と、言った気がした
もう…ろくな事が無いよ。気のせいならそれでいいけど、でも今日はもう終わりにして帰ろう。
帰り道……
私は一体何を見ているのだろうか…?道のド真ん中に白い服の紳士がぶっ倒れているではないか…。きっと何かの見間違いだろう。とりあえず気づかなかった振りをして通り過ぎようとする咲。すると
ガシッ!
と、足を掴まれた。
「ちょっ!ちょっと離して下さい!」
流石にここまで来ると見て見ぬ振りは出来ない。なんとかして離れようとするが、凄い力で掴まれているので無理だ。すると紳士が呟いた。
「な…何か…食べる…も…の…をぉ…持っていないか…?」
駄目だこの人。いつか飢え死にする。
これは流石にやばそうなのですぐ家近くだからそこまで案内するよと言った矢先、一瞬瞬きした直後目の前に自分の家があった。普通の家にいたはずなのに今、自分の家の前にいる。しかもこの紳士は飢え死にしそうなまま一緒にいる。
すぐ傍にいる。いや、それよりまず、
「何か食べるもの持ってこないと!!」
急いで家に入り一分後…
咲は飲み物とスナック菓子を持ってきて紳士に与えた。紳士は貪り食う様にガツガツと口の中にスナック菓子を入れる。
「いやぁ〜助かったよ。私が見える人間がいて本当によかった。」
「いえいえ。それで、最後の方に発した言葉の意味を今すぐ言ってください。」
その質問に快く気持ちいい笑顔でこう答える紳士。
「僕はリクトと言います。そして僕は異能力や魔法を使ってこの世界を壊そうとしている悪い輩からこの日本を守れと担当されてる、いわゆるヒーローの様な存在です。」
キラキラキラ〜とドヤ顔をするしん…リクト。
「なるほど、そして…何故にあの道でぶっ倒れていたのですか?」
「それはね…」
と、語り始めるリクト。
意外にも単純なものだった。
担当が異世界に変わるので自分の様な人間の事が見える人間を探しているついでに調査もしていたらお腹がすき過ぎて遂にあの道で力尽きたらしい。
なんて単純なんだ。
そして咲にこんな事を言った。
「日本を救うヒーローになってみない?」
と、その目は最初よりも真剣でまっすぐ咲を見ている。そして咲は快く、
「えぇ。是非とも私に出来ることならば謹んでお受けします。楽しそうだし、ストレスも発散出来そうですし。」
これが、星名 咲の異能力バトル記録の始まりだった。