その名は炎龍4
また聞こえた声に、ハヤトは辺りを見渡してから下を見た。
そんなはずはないと思いつつも気になって視線を向ける。
座る時に置いてあったロボットが腕を組んで唸っていた。
冷汗を流しながら、ゆっくりと持ち上げて脳波を受け止めるアンテナを探す。
全身くまなく探してもそんなものは無い。
内蔵型なのかともっとよく探してみる。
「やめてくれないか?」
ロボットが怒った口調で言う。
やはりこれは、生きている。
何故かそう思い、膝の上に戻した。
誰にも見られていないか確認するとリノとユウキと目が合う。
更に冷汗を流してロボットを隠すも、腕を払いのけられて動揺した。
「なに、それ」
「わかんねぇ……」
「とりあえず、どこか人のいない場所に移動しよう」
ユウキの言葉にハヤトは頷き、席を立つ。
急いで誰もいなそうな通路を走って物置らしき所へ隠れる。
床にロボットを置くと、辺りを見渡して三人を見上げた。
「どうした、早く戻らないと陽炎を取り逃がしてしまう」
「いや、その前にさ……お前は何なんだ?」
今すぐにでも戻ろうとするロボットを制して質問をする。
少しの間だけ、無言になると自分の置かれている状況を理解したのか床に倒れて動かなくなった。
玩具のふりをしているのだろうが、遅い。
三人は苦笑いをしてもう一度質問をする。
「……私は、とある小さな星から来た戦士だ「スターソルジャー」と呼ばれている、訳があって地球に来たんだ」
「小さな星?」
スターソルジャーというロボットは言う。
冥王星で生まれた生命体である彼は、星を巡っての戦争をし地球を奪おうとする邪悪な生命体を追ってここまで来た。
しかし、有名なロボットバトルの存在を利用して邪悪な生命体はロボットの身体を借りて潜伏しているらしい。
彼も、動きやすいようにロボットの姿を借りているが戦いに向いた身体ではないせいで見ている事しか出来ないと話す。
もっと戦い向きのロボットのデータさえあればと悲し気に呟く。
ハヤトは話を聞いているうちに何かを思い出していた。
冥王星と戦争……どこかで聞いた事がある。
だが、思い出せない。
「ねぇ、設計図みたいなものがあったとしたらどうするつもりなの?」
「素体は手に入れたから、陽炎のように設計図のデータをスキャンすれば戦えるだろう」
「ハヤト君、設計図持ってる?」
ユウキに聞かれ、頷く。
暇な時にいじれるようにスマートフォンの中に入れてあると答えると彼は嬉しそうに見せて貰えるように言う。
直ぐにデータを出して見えるように床へ置くと両手を翳してスキャンを始めた。
姿が変わり、武器が装着された後で白を貴重とした赤いボディに変化する。
背中に背負った剣を抜くと何度か振って動きやすさを確かめた。
「これはいい、あとは戦いをサポートしてくれる人間が必要だ」
「サポートって、どうして?」
「陽炎は、人間の知恵を借りて戦っているんだ」
戦闘に詳しいパートナーがいなくては不利だろうと言われて、やっと思い出す。
夢であった少女の事を。