目覚め7
何が起きたのか理解出来ない中、陽炎は折れた刀を見つめていた。
ゼノンの姿は無くマサヤは我に返って陽炎に戻るよう言う。
「逃げたのか?」
「結構、手練れの仲間がいたらしい……」
破損個所を端末で調べるマサヤは、先程まで無かった場所に傷があるのを見つけて何が起きたのかと考える。
ゼノンを回収するだけでなく、攻撃までも与えていた相手に炎龍は興味を示した。
「でもさ、シンクロ出来たって事はさお互いを信じれたって事だろ?マサヤもこれで迷いなく仲間になれるな」
白い歯を見せて笑うハヤトにマサヤは頷く。
炎龍も陽炎を評価すると恥ずかしそうに俯かれた。
「あぁ、そうか……君は……」
重大な秘密でもあるのかと二人は陽炎を見つめる。
向けられている複数の視線に思わずマサヤの足元に隠れ、顔を隠す。
一体どうしたのだろうか、生唾を呑み込むハヤトとマサヤ。
炎龍は静かに告げる。
「極度の恥ずかしがりやだったな」
顔を真っ赤にして身を隠す。
ガックリと肩を落とすハヤト。
そんな事は知っていると言わんばかりの表情でマサヤは頷く。
先程の勢いは何だったのかとツッコミを入れかけて止めた。
「ゼノンって奴、戦うのが目的だと思うか?」
「いや、戦いの途中で明らかに本気の命乞いを始めた事を考えるとそれだけではなさそうだ」
「まさかと思うが、負のエネルギーを集めていたんじゃないか?」
「その可能性は同意出来る」
マサヤの服から出て来た水銀のような物、あれを使って集めていたのではないかと陽炎は言う。
エネルギーを集めるだけが目的だったとしたら逃がしてしまった事が一番、相手を有利に立たせてしまっただろうと炎龍の言葉に絶句する。
「そもそも、負のエネルギーは仲間を作り出すだけでなく強大な力を生み出す事にも使われる」
「……また、奴が目覚めるのか?」
「分からない、アイツが目を覚ましてしまったら悠長に協力してしまった人間を探している場合では無くなる」
炎龍と陽炎の会話についていけない二人は分かるように説明をするように求めた。
冥王星での戦争の話になると炎龍は答え、皆に連絡するように頼む。
バトルだけで収まらなくなりそうな現実に焦りを見せる。
想像出来るのは、勝利だけの結果では無いという事。
「ハヤト達のように、悪のチームが出来るだろうな」
そんなことになってしまったら、負のエネルギーは計り知れないくらいに集まってしまう。
その前に手を打たなくてはとリノとユウキにメッセージを送る。
陽炎は黙って先程の事を思い出す。
一瞬だけ見えた、鳥を象った頭部パーツ。
いとも簡単に折られた刀。
敵は、ゼノン以上に強い者がいる。
「炎龍、セリナに連絡出来るか?」
「どうかしたのか?」
調べて欲しい事があると告げる表情は真剣なものだった。
それ以上は何も聞かず取れるかどうかやってみるとだけ伝えて交信をする。




