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その名は炎龍11

「二人に聞いて欲しい事があるんだ」


ハヤトは夢の事を話す。

最初はただの夢かと思ったが、ここまで偶然が重なったらもう夢ではない。

リノも、その意見に同意をする。

あとは、少女がどうしてハヤトに話しかけたかと炎龍の話を聞くだけだと思っているとリペア完了音が鳴り取り出してテーブルの上に立たせた。

鞄から出し忘れたスマートフォンを出そうと取り出して手を止める。

陽炎をどうするか。

設計図が無いとリペアは出来ない。

帰る時にマサヤから貰ったアドレスに設計図を送ってもらえるように頼む文章を送って何気なしに机の上にある人形用のソファーに座らせた。


「早速だが、セリナの話を聞いて欲しい」

炎龍は、胸にある石に手を翳す。

淡く光った石から少女の姿が現れる。

目を開き、辺りを見渡して三人の姿を見つけると笑みを浮かべた。


―協力してくれてありがとう、ハヤトのお陰で闇の力を抑えることができました。


笑顔でお礼を言われてハヤトは照れたように鼻の頭を掻く。

リノが面白くないといった顔で小突くと咳払いをして話を進める。

闇の戦士ダークソルジャーは完全にいなくなったわけではない。

必ず新しい侵略者が来るだろうと言われ、三人は真剣な表情で聞く。


―私は、スターソルジャーを通じて話をする事が出来ませんが、代わりに浄化する力を託します……このプログラムさえあれば闇の力を消し去れます。


リペア装置に触れ、一瞬光ったかと思うと少女は手を放す。

浄化プログラムを付けた装置に陽炎を入れると同時にマサヤから設計図が届いた。

試しにと起動させると、見たこともない光が陽炎を包む。

黒を基調としたカラーリングは消え、破損個所が修復される。

しかし、目は覚まさない。

それだけ深い闇に落とされていたのだろう。


―今、地球は私達では守りきることは出来ないのです……リノとユウキも心から力になりたいと思えるソルジャーがいたら力になってあげてください……私は冥王星の闇を防ぐ作業に戻ります、何かありましたらいつでも呼んでください。


少女セリナは消えた。

ハヤトは陽炎をソファーに戻すと深く溜息を吐く。

思い出した、地球を守るのは自分達人間が行動しなければならないといわれたことを。

ユウキもリノも力になりたいと協力することを炎龍に約束をする。

一方、学校の近くの裏山に小さなロボットが落ちた。

傷付いた身体を引き摺って必死に誰かに呼びかけようと通信を開くも故障しているのか通じない。

済んだ青空を見上げて悔しそうに力尽きる。


「仲間……は、何処に……」


小さく呟くも返事は無い。

このまま朽ち果てるのかと考えるだけで恐怖に襲われる。

死にたくない、ここで終わりなんて嫌だと空に乞う。

深い闇に意識は落ちて行った。

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