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その名は炎龍10

モノレールに乗り、会場だった場所を窓から眺めると炎龍が顔を出して不思議そうに言う。


「空を飛んでいるのか?」


「天井にレールがあってそれを使って移動しているんだ、って出て来るなって」


「地球とは不思議な場所だ、あんなに乗り物が通っているのにぶつかったりしない……それに私のように固くない」


自身の身体を叩いて不思議だと呟いた。

冥王星ではどんな生活だったのか知りたくなり、質問をする。

炎龍が言うには、生まれた頃にはもう戦争をしていた。

戦う事を学ばされて親だろうと破壊することを強要されていたらしい。


「陽炎は、唯一の友人だったが……」


生きる為には戦うしかない人生に嫌気が差し、心身ともに衰弱して行った陽炎は急に姿をくらまし帰って来た頃には、冥王星を手に入れようという意思を持っていた。

戦いの無い世界へと願う陽炎だが、それを仄めかした存在は陽炎の願う世界を求めていた訳でなく宇宙全てを手に入れる駒を集めていたと炎龍は話す。

地球に向かった友人を追いかけて来た所、ハヤトと出会い陽炎を捕まえる事が出来た。


「他にも、ダークソルジャーは存在し私の仲間がやがて集まるだろう、その為には人間というパートナーが必要なんだ」


陽炎がスターソルジャーとして復活し、ダークソルジャーと戦う事を決めればパートナーが必要となる。

炎龍達、スターソルジャーだけでは戦えない。

そう言って鞄の中に身を隠す。

停車した駅で降りると、ハヤトの家に向かう。

戦いの最中に起こった炎龍と一つになった事も気になる。

色々聞くことはありそうだ。


「私達、ハヤトの家に行くのって初めてなのよ」


リノの言葉にユウキが頷く。

そう言えば、そうだと気付き変に緊張をしてしまう。

ユウキなら同性なのでまだしも、異性であるリノを連れて来たら母親はなんというだろうか。

抽選で当たった集合住宅への道に入ると空色の壁の二階建ての家に近づく。

母親の育てている花を見てリノが口を開く。


「へぇー、ハヤトのお母さんって水仙が好きなんだね」


「うん、ま、まぁな」


玄関を開けて帰って来た事と友達が来た事を言い階段を上がって自分の部屋に入る。

中には、ロボットの玩具が並んだカラーボックスがあり、散らかった学習机の下に鞄を置くと友人が来た時用の小さなテーブルとクッションを出す。


「男の子って部屋ね」


「当たり前だろ」


「すごい数のロボットだ、あっ、ロボット育成ゲーム「ロボッチ」がある」


「あんま触んなよ?」


学習机の引き出しからロボットバトル用のリペア装置を出してパソコンに繋ぐ。

カプセル型の装置が青く光り炎龍を入れた。

デスクトップに破損個所が表示され、自動でリペアを始める。

自分のロボットを作るときにと用意していた物が役に立つ時が来るとはと思いつつ、椅子に座った。

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