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終幕、あるいは幕間 求めたものは、既になく

 平日の昼間となると、電車は混んではいない。

 空いた席に座り、ぼんやりといろんな事を考える。

 強制送還と言っていたけど、狐子はどうなってしまうのだろう。

 何かひどいことをされるとしたら、小夏さんはどうなってしまうのだろう。

 狐子と、小夏さん。どちらも、僕の日常になりつつあったのに……。

 それらが頭の中をぐるぐると回り、ふと気が付いた時には近衛坂駅についていた。

 そして、扉が開くより先に、一つの異変に気が付く。

 あたりが、妙に騒がしくないか?


「――爆発――で――」


 爆発? 断片的に聞こえた言葉に、耳をすます。しかし、扉が開くと同時に、騒ぎが奔流となって耳に押し寄せる。


「爆発って本当?」

「なんか、八大で爆発あったっぽい。電車の運行には関係ないけど、けが人とか、行方不明者とか出たらしい……」


 慌てて耳を普段の状態に戻すと、そんな言葉が聞こえてきた。

 そして、僕は何かを考える前に脚を強化して、人間ではありえないほどの速さで走り出した。

 だって、八大には、今の僕の日常が、その象徴となる人がいるのだから――!


 最短経路を通るために、家を飛び越えていくうちに、パトカーや救急車のサイレンが聞こえだす。

 それも当然だろう。大学で爆発が起きたのだから、当然のことだ。

 だけど、それは同時に中への立ち入りが規制されている可能性もあるということだ。普通の手段では、中に入れないかもしれない。

 そこで、僕は大学を囲む高い壁を飛び越えて中に入ることにした。

 僕が真っ先に向かうのは、当然考世学部の教室。


「……なに、これ」


 教室の近くにたどり着くと、その変わりように呆然とした。

 壁は、内側から爆ぜたように砕かれ、その中が良く見える。

 やはりがれきだらけのそこでは、血まみれの四人が倒れていた。

 礼尾。

 双葉。

 凛香先輩。

 須藤教授。

 …………なんで?

 どうして、この四人が倒れていて、里奈さんだけがいないんだ?


「みんな! いったい何があったの!? 里奈さんは無事なの!?」


 そう叫ぶも、誰も目を覚まさず……。


 こうして、僕の求めていた、帰るはずだった日常は、脆くも崩れ去った。


改訂隣の憑神さま弐 了

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