第8話 『死』
坤は勢い良くゴーレムの目の前に飛び出した。後ろではファングがスタンバイしている。
(頼むぞ・・・・・・・・・坤ッ!)
煙を出しながら、炎の塊を口の中で転がす。
(悪ぃな、ゴーレム。だがやるしかねぇんだ!)
坤は両手を突き上げた。
次の瞬間――――何を考えたのか、踊りだした。
「らんらららんらんハイキングぅぅらんらららんらんヤギさんもぉぉメェーメェー・・・」
一気に肩の力が抜けた。ファングも固まってしまった。しかし、勿論これも坤の作戦のうちだ。
段々とゴーレムもストレスが溜まり、拳を振り上げた。
「やれ、ファングッ!」
その坤の声と共に、ファングは炎を吹き出した。
「グォ・・・!」
称狼の言った通り、後ろのガードは弱かった。バリアを突き破り、ゴーレムに当たった。だがゴーレムも一度当たっただけで易々と倒れるほどヤワではない。
「ちっ・・・」
やむなくファングは火力をあげた。火力はファング自身が自由に変えられる。今回は最大出力だ。勿論火力によってファングの体力も減っていくが、そのくらいのリスクは仕方が無かった。
燃え盛る炎の中、ゴーレムが悲鳴をあげている。ゴーレムと仲が良かったファングと坤は、それが耐えられなかった。今すぐにでも炎を止めてやりたかったが、そうすると今度はこっちが攻撃される。
――――殺らなければ殺られるのだ。
じきに、ゴーレムは火だるまとなった。もうこれ以上炎を吹く必要は無いだろう。
「ウ・・・グッ・・・オオオオオオッッ!」
転がりながら悲鳴をあげる。その時、ゴーレムは自分の胸の四角いボタンを押した。坤にはそれが何なのかすぐにわかった。
自爆ボタンだ―――。




