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endless battle  作者:
34/69

第34話 『ラング』2

 全員入ったところで、三人は椅子に座った。ファングとユキは別の部屋で遊ばせている。

「で。本来の目的は?」

「・・・・・・雪山のとこで「三日待ってくれ」って言ってたじゃないですか?」

「うん」

「でもすっかり忘れてて・・・」

「忘れてたんかぃ!」

「タク、つっこみはいいから」

「はい」

「ぐーすか寝てろとか言ってからでホンット悪いんですけど・・・ボスの所に一緒に来てください」

「あぁん?」

「楓、女だろ!足広げないの!しかもその言葉使い!」

「はい」

 片方の頬を膨らませて足を閉じ直し、改めて称狼を見た。

「行く前にさ、「ボス」って一体誰?どういう奴?」

「名前はラング」

「ラングッ?」

 楓は眉をしかめた。その横で、拓羅は驚いた表情を見せている。

「ラング・・・ってセルヴォが言ってたよな・・・?」

「うん」

「セルヴォ?・・・ああ。そんなんも居ましたね」

「って事はもう居ないの?」

「ボス曰く「辞めた」らしいですよ」

「・・・・・・へえ・・・」

 その時、玄関からコツン、と音がした。皆音のした方を見る。

「・・・今の・・・何だ?」

 拓羅はそう言うとゆっくりドアの方へ歩き出した。恐る恐るドアを開けてみる―――。

 しかし何も無い。外に出て辺りを見回す――――足に何かがぶつかった。

「お・・・っと」

 自分の足元を見下ろした拓羅の顔から、一気に血の気が引いていった。

「・・・・・・・・・!」

 彼の目に映ったもの。それは生首だった。しかもその顔には見覚えがある。

(こ、こいつ・・・)

 歯がガチガチと音を立てている。そんな拓羅を変に思い、楓もそばに来た。

「・・・!これ・・・セルヴォ・・・?」

「ああ・・・誰がこんなの・・・」

「辞めたって殺したって事・・・?」

「みてえだな・・・」

 突然、一人の男が急ぎ足で階段を下り、踊り場の隙間から外へ飛び出した。いかにも怪しい下り方だ。二人は怪訝(けげん)そうな顔をしてから、同時に飛び出した。男は怪我もせず道を走っていく。やっと二人が階段を下りた時には、その男は遠くに居た。かろうじて姿が見えるくらいだ。

 楓は舌打ちすると、直線の道を走った。人がそれほど通っていなかったため、楽だった。だが男の足も速く、どんどんと距離が開いていく。

「速ぇぞあの二人っ・・・」

 拓羅は遥か後ろからついてきていた。しかし途中で力尽き、膝に手を置いて荒く息をした。止まった途端、汗がダラダラと出てくる。ゆっくりと顔を起こし、前を見ると、二人の姿はもうどこにも無かった。

「・・・あれ・・・?」

 ゼーゼー言いながら辺りを見回す。ジャンプをしてより遠くを見てみたりもした。だが姿はない。どこかの角で曲がったのだろう。仕方なく歩き出した。



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