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真子はスタスタと歩いてベッドに腰掛け、周りを見渡す。
「いやー、この部屋、懐かしー、変わってないねー」
ルンルン気分の真子とは対照的に、暗く冷たい目で真実は見ていた。
「戻ってきたのか・・・・修行は終わったのか?」
「うん、終わったよん♪ 修行の成果はバッチリだ」
真子は親指を突き立てる
「そうか・・・・ それはなによりだ・・・・」
そう言って顔を下に向ける。
真子は真実の声が聞こえていた。
【おまえはいいな・・・・】
【俺はダメダメだ・・・・】
真子は自身の纏っていた空気を変える。
「まこと・・心・・聞こえるようになったんでしょ?」
真子の声色が激変したことに真実は何か張り詰めた空気を察したのか顔を上げて真子を見た。
真子はニコリとした顔をしている。
「さっき私は扉の前で声を出してない」
「開けろって念じたの」
「心の声が聞こえてないとあけれないよね」
真子の言葉に真実はようやく理解者が来てくれたのだと安堵する。
「そうだな・・・・」
「どれくらい聞こえるの?」
「試したことはない・・けど・・四方八方の隣家の声が聞こえてくる」
真実の返答に真子は驚愕する。
(やばっ、私の時より広範囲・・)
(よく今まで正気でいられたわね)
――次の瞬間。
【正気じゃねーよ、見りゃわかるだろ?】
(普通の人ならこんな状態で1年も居られないって・・、なんで連絡して来なかったのよ)
【しようとしたさ・・でも・・なんか・・悪いなと思って・・】
真子はため息をつく
「まあ、連絡くれてもスマホの電源切ってたから繋がらなかったけどね」
真実は驚愕の顔をする。
「繋がらなかったんかい」
少し場の空気が緩んだように感じた真子は核心に迫る。
「まこと、去年何があったの?」
「口に出さなくていい、辛いかもしれないけど頭の中で思い浮かべて」
真実は何も言わずに目を瞑って下を向いた。




