[13]
『高峰山ー、高峰山ー、ご乗車ありがとうございましたー』
自宅から乗り継ぎを繰り返すこと3時間、ようやく最寄りの駅に着いた2人。お日様は真上に陣取っていた。
駅を出て、真子はググッと背伸びをする。
「ふーっ、やっとタカミーについたー」
横目で真実を見ると、グッタリとしてキャリーバッグに寄りかかっている。真子の姿を見て冷めた目をしてくる。
「もーっ、まことー、テンションひーくーいーっ」
そう言って真実の頬を指でつんつんする。
しかし、仕方ない。
電車に揺られること2時間、ほぼ訓練に費やしていた。乗り継ぎで歩いている時も訓練である。精神をずっと使っている状態だ、疲れるのも当たり前である。
そんな状態の真実に真子は斜め上を指差し。更に衝撃の情報を投げつけるのである。
「さーっ!まことー、ここからあそこに向かって歩くよー」
真実は指差す方向を見て青ざめる
「は? マジか・・・・、どれくらいかかるんだ?」
真子は歩く気満々で屈伸をしている。
「うーん、2時間くらいかなー」
真実は絶望を感じながら周りを見渡す。
「バスとか、タクシーとかないのか?」
「あるわけないじゃーん、今から山登りだよ」
心が折れている真実を横目に真子は軽快に歩き始めるのだった。
「まこと、早くしないと日が暮れちゃうよー」
真実はずっしり重い体をゆっくりと動かし、ズリ歩く。
ーーーー
1時間後、まだまだ軽快に登り坂を歩く真子に対して、真実はギブアップ寸前だった。
真子はそんな真実を見て立ち止まる。
「ちょっと休憩しようか」
真実は汚れもお構いなしで、その場に座り込んでペットボトルの水を飲み干す。
そんな姿を見て、真子は一瞬不安な表情を浮かべる。
「まこ・・・・死ぬんじゃないかって思うな、失礼だぞ」
真実は息絶え絶え反論する。
「あっ、思ったこと伝わった? 大丈夫?もう、あと少しとか思ってるけど、まだ半分以上あるよ」
「半分以上・・だと・・・・」
真実はその場で大文字になって寝転ぶ
「まこと・・ちょっと体力無さすぎだよ」
「仕方ねーだろ・・1年も引きこもってたんだぞ」
「それ・・自慢にならないから・・」
完全にノックダウン状態の姿を見て、真子は肩を竦めるのだった。
(これは、到着が夕方になるな・・・・)
真子は、到着が大幅に遅れる覚悟を決めた。




