[10]
真子はバームクーヘンをひと切れ口に入れてモグモグさせながら、真弓をじっと観察している。
(だいぶん衝撃を与えたからなー・・・・)
(落ち着いてくれるまで少し待つか・・)
真弓は只今、混乱状態である。
【えっ?なぜ、あの子にそんな能力が?】
【ということは、今まで私の思ってた事は全部筒抜け?】
【やだ、恥ずかしい、どうしましょ】
【落ち着け、わたし、今はまこちゃんの話を聞かないと】
【落ち着けー、落ち着けー】
真子はお茶をずずっと飲みながら心のツッコミを入れる。
(真弓さん、全部聞こえてますよー)
湯呑みをコトっと置いて本題を切り出す。
「真弓さん、今のまことの状態は私が中学2年の時と同じで、制御できず、あちこちの方向から無差別に、声が流れ込んできています」
「あちこち・・・・?」
「中学2年から・・?」
真弓は自分で口にした言葉を思い返しハッとする
【まさかっ、まことの部屋を盗み聞きしようとしてて、扉を開けたのも・・・・】
「はい、真弓さんのイラやらしい声が漏れてました」
【いやーーっ!・・・・えっ? そしたら康成が好きって思ってたのも?】
「はい、知ってます」
【いやーーっ!もう、恥ずかしいんですけどー】
真子は真弓が少し昔のような、元気な姿に戻ってきたような感じがしていた。
「真弓さん・・話を戻していいですか?」
真子の真剣な声に真弓は現実に引き戻されたかのように、再び姿勢を正して真子を見る。
「私は歌山県で修行する事でこの能力をスイッチのようにON、OFFが自在に出来るようになり、今、ここに居ます」
真弓はうんうんと頷く
「まこともそこで修行をさせて、私のように制御できるようにした方がいいと思ってるんですが、如何ですか?」
真弓からすると真子の助言は救いの手であった。
真実がなぜ今に至ったかは、全て分かった訳ではないが、原因と対策は教えてもらった。
コレは乗るしかないと思った。
「まこちゃん、ありがとう、私は決めたけど、あと、秀ちゃんに・・あっ、お父さんね、相談して決めるわ」
真弓の中にあるモヤが晴れているのを見定めて真子は頷く。
(これでまことの件は大丈夫そうね)
(あとは、あれか・・・・)
「あと、真弓さん、ここだけの話なんですが・・・・」
「ここだけの話?まことには聞こえてないの?」
「あっ、大丈夫です。彼は今、眠ってますから」
「あら、そうなのね」
「実は、私・・・・」
・・・・・・・・
真子と真弓は和やかに会話を続けていた。




