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『妖転覇道(ようてんはどう)』  作者: パーカー
第一章 北の霊脈制圧編

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第九話 悪い子はいねが(秋田 前編)

宮城を越え、次の地は秋田。

秋田といえば――なまはげ。

「悪い子はいねが」と家々を巡る鬼。

今回は“裁き”がテーマです。

守護でも怨念でもない。

これは――審判。

それではどうぞ。

雪が、静かに降っている。

 北海道の荒雪とは違う。

 重く、湿った雪。

「寒いな……」

 秋田の山里は静まり返っていた。

 灯りのついた家が、ぽつぽつと点在する。

「この地の主級は“鬼”だ」

 九尾が告げる。

「ただの暴鬼ではない。裁きの鬼」

「なまはげ、か」

 俺の言葉に、ぬらりひょんが頷く。

「人を喰らう鬼ではなく、怠け者や悪童を戒める存在」

「なら、敵じゃないんじゃ?」

 その瞬間――

 戸を叩く音が響いた。

 ドン、ドン、ドン。

 遠くの家から。

 そして、低い声。

「悪い子はいねがァ……」

 背筋が凍る。

 雪の中、赤い影が動いた。

なまはげ(秋田主級妖怪)

 巨大な体。

 藁蓑。

 赤鬼の面。

 包丁のような刃物を持つ。

 目が、こちらを向いた。

「……外から来た者か」

 声は低く、重い。

「この地で何をする」

「旅だ」

 俺は答える。

「通るだけじゃ済まないな?」

 空気が変わる。

 雪が横殴りに吹き荒れる。

「鬼は裁く」

 なまはげが一歩踏み出す。

「怠惰、虚偽、弱さ」

 その目が俺を貫く。

「お前は何を抱えている」

 胸が、ざわつく。

 青森で向き合った死。

 岩手で救った因果。

 宮城で継いだ守護。

 でも――

 俺は本当に強くなっているのか?

「主、気をつけろ」

 九尾が低く言う。

「鬼は心を見抜く」

 なまはげが地を踏む。

 衝撃が走る。

 地面が割れる。

 ヒグマが前に出る。

 だが鬼の一撃で吹き飛ばされる。

「強い……!」

 雪女の氷壁も砕ける。

 海坊主の水流も弾かれる。

「主級でも上位だ」

 ぬらりひょんが唸る。

 なまはげが俺の前に立つ。

「お前は死を理由に戦っている」

 図星だ。

「それは逃げではないか?」

「違う!」

 叫ぶ。

 だが拳が震える。

「俺は――」

 答えが詰まる。

 なまはげの拳が振り下ろされる。

 影で受ける。

 だが押し切られる。

 地面に叩きつけられる。

 雪が舞う。

「裁く」

 刃が振り下ろされる。

 その瞬間――

 座敷童子の光が弾ける。

 因果反転。

 刃がわずかに逸れる。

「主、立て!」

 九尾の声。

 俺は歯を食いしばる。

「逃げてない」

 立ち上がる。

「俺は天国に戻るために戦ってる」

「それは誰のためだ」

 鋭い問い。

 言葉が止まる。

 俺のため?

 家族のため?

 仲間のため?

 ……まだ曖昧だ。

 なまはげの目が光る。

「ならば試す」

 鬼気が爆発する。

 雪嵐が巻き上がる。

 家々の灯りが消えかける。

「主、次で決まるぞ!」

 九尾が叫ぶ。

 なまはげが両腕を広げる。

 裁きの一撃が、振り下ろされようとしていた。

 秋田決戦、後半へ。

秋田前編でした。

なまはげは単なる鬼ではなく、

「問いかける存在」

として描いています。

今回のテーマは

・覚悟

・目的の曖昧さ

・裁き

主人公は力だけでなく、

精神的にも試されています。

後編では、

・悠真の答え

・なまはげの真意

・契約の形

が描かれます。

第一章も残り少し。

読んでくださりありがとうございます。

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