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『妖転覇道(ようてんはどう)』  作者: パーカー
第一章 北の霊脈制圧編

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第八話 海を継ぐ者(宮城 後編)

宮城編後編です。

荒ぶる海の守り手・鰐鮫。

今回は真正面からの撃破ではなく、

“守護を継ぐ”という形での決着になります。

それでは、宮城決戦の結末です。

海が、空を覆っていた。

 巨大な波が何重にも重なり、渦となって唸る。

 沖合いで対峙する俺と鰐鮫。

 その巨体が月光を遮る。

『陸の者よ。退け』

 低く、深い声。

 怒りではない。

 責務の声だ。

「退かない」

 俺は立ち上がる。

 足場は海坊主の水柱。

 いつ崩れてもおかしくない。

「お前は守ってるだけだろ」

『当然だ』

「なら俺も同じだ」

 鰐鮫の目が揺れる。

 背後では町の灯が小さく揺れている。

 漁船。家族。生活。

 この海が荒れれば、全部飲まれる。

「俺は通る。でも町は守る」

『両立は出来ぬ』

「やってみせる」

 その瞬間、鰐鮫が咆哮。

 渦が一気に収束する。

 巨大な水槍となって降り注ぐ。

「ヒグマ!」

 怨念咆哮で水槍を相殺。

「雪女!」

 一瞬だけ表層を凍らせる。

 だが鰐鮫は止まらない。

 尾が海を裂く。

 直撃すれば即沈。

「座敷童子!」

 小さな光が爆ぜる。

 因果反転。

 尾の軌道がわずかに逸れる。

 それでも衝撃は来る。

 影が支える。

「主よ、今だ!」

 ぬらりひょんの声。

 鰐鮫の視界が一瞬だけ暗くなる。

 海坊主が水流を制御。

 流れが止まる。

 海が静止する。

 その“隙間”が生まれた。

 俺は跳ぶ。

 鰐鮫の額へ。

 蒼い鱗が迫る。

 牙が閉じる。

 だが間に合う。

 額の奥、蒼く脈打つ光。

「見つけた」

『触れるな』

「触れる」

 拳を叩き込む。

 鱗が砕ける。

 蒼い核を掴む。

 瞬間、海の記憶が流れ込む。

 嵐。

 沈没。

 漁師の祈り。

 祠への供え物。

 守られてきた時間。

 鰐鮫はただの怪物ではない。

 守護そのものだ。

「……強いな」

 俺は呟く。

『守ることは重い』

「分かる」

 青森で知った。

 死を受け入れる重さ。

 岩手で知った。

 因果を抱える重さ。

 そして今。

「守りたいって思う気持ちは、悪くない」

 力を込める。

 蒼い核が震える。

 鰐鮫が咆哮する。

 だがその声は怒りではない。

『継げるか』

「継ぐ」

 蒼い光が弾ける。

 海が一瞬、凪ぐ。

 渦が消える。

 巨大な体がゆっくりと沈む。

 海面に残ったのは、蒼い勾玉。

 それが俺の胸へ吸い込まれる。

【鰐鮫:加入】

能力: ・海流支配

・蒼牙衝撃

・守護領域展開(広域防衛)

 沖は静かだった。

 町にも被害はない。

 海風が穏やかに吹く。

 九尾が尾を揺らす。

「宮城、制圧完了」

 海坊主が低く頷く。

「主よ、海を荒らすな」

「分かってる」

 雪女が淡く微笑む。

「仲間が増えましたね」

 ヒグマが唸り声を上げる。

 座敷童子が小さく笑う。

 仲間が、確実に増えている。

 俺は海を見つめる。

 死んだはずの俺が、今は守る側に立っている。

 九尾が問いかける。

「天へ帰る気はあるか?」

 また、その問い。

 すぐには答えられない。

「……まだ、分からない」

 九尾は微笑む。

「それでいい」

 俺は深呼吸する。

「次は?」

「秋田」

 九尾の目が細まる。

「鬼の地だ」

 北の霊脈は、まだ続く。

宮城編、完結です。

今回は完全連携戦。

これで仲間は7体。

戦闘スケールもかなり広がってきました。

北海道:物理

青森:精神

岩手:因果

宮城:守護

とテーマを分けています。

次回、秋田編。

登場は――なまはげ。

善と悪、その境界の鬼。

第一章はいよいよ終盤に入ります。

読んでくださり、ありがとうございます。

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