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『妖転覇道(ようてんはどう)』  作者: パーカー
第二章 関東霊都編

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第二十三話 海神を縛る糸

千葉編後編。

暴走する大蛸。

増え続ける地獄の糸。

今回のテーマは――

「操られる守護」と「見えない本体」。

それではどうぞ。

九十九里の沖。

 黒雲が渦を巻く。

 巨大な大蛸が暴れ、海が悲鳴を上げる。

 俺は頭頂部に立っていた。

 紫の核。

 絡みつく黒い糸。

 それは沖の彼方へ伸びている。

「主!」

 九尾が叫ぶ。

「糸が増えている!」

 見ると、一本ではない。

 三本、五本、さらに増える。

 海底から、空から、別方向から。

 地獄は一本釣りではない。

 “網”だ。

 大蛸が絶叫。

 触腕が暴れ、氷壁が砕ける。

 ヒグマが吹き飛ぶ。

 天狗が風で体勢を戻す。

「切れぬ!」

 なまはげが鬼気で糸を叩くが、弾かれる。

 糸は霊でも物質でもない。

「契約糸だ」

 ぬらりひょんが言う。

「本体と媒介を繋ぐ“約定”」

 俺は核を掴む。

 冷たい。

 だが、その奥に――

 別の温もり。

 海神信仰の光。

 漁師たちの祈り。

 嵐を鎮めた歴史。

「……まだ残ってる」

 守護の意思が。

「ならば」

 俺は深く息を吸う。

 《霊脈統合・深層展開》。

 千葉の海神信仰。

 灯台の祈り。

 船出の願い。

 それらを集める。

 糸を切るのではない。

 “上書き”する。

 地獄との契約を、地域の信仰で包む。

 大蛸が震える。

 紫の核が揺らぐ。

 黒い糸が軋む。

 その瞬間――

 空間が裂けた。

 沖合いの海上。

 闇の裂け目。

 そこから、巨大な影。

 腕だけが出る。

 赤黒い、無数の鎖を巻いた腕。

「……!」

 九尾が尾を逆立てる。

「本体が覗いたか」

 低い声が響く。

「まだ未熟」

 直接、頭に。

「均衡の王よ」

 海が凍るように静まる。

 仲間たちの動きが一瞬止まる。

「もっと集めよ」

 黒い腕が糸を引く。

 大蛸の核が裂けそうになる。

「させるか!」

 俺は叫ぶ。

 霊脈をさらに深く引き出す。

 北海道から福島。

 東京、神奈川。

 これまで整えた流れを、一本の線にする。

 《霊脈統合・列島接続》。

 白い光が走る。

 糸を包み込む。

 黒と白が拮抗。

 海が二色に分かれる。

「……ほう」

 闇の声がわずかに楽しげ。

 だが、今は押している。

 白い光が糸を侵食。

 契約が軋む。

「ここは、地上だ!」

 核を握り潰す勢いで押し込む。

 黒い糸が、弾けた。

 裂け目が閉じる。

 巨大な腕が引っ込む。

 闇が消える。

 大蛸の体が崩れ、縮小する。

 巨大な怪は消え、

 浜辺に、小さな赤い蛸が転がる。

【大蛸:正気回復】

能力: ・海流制御

・潮位操作

・境界感知

※仲間化ではなく“海域守護協定”

 小さな蛸が、俺を見上げる。

 敵意はない。

 静かな海の目。

「……戻れ」

 俺は海へ返す。

 蛸は波に消える。

 海が穏やかになる。

 黒雲が晴れる。

 静かな朝日。

 九尾が俺を見つめる。

「見られたな」

「ああ」

 地獄の本体。

 まだ姿は曖昧だが、

 確実に、こちらを認識している。

「利用されるなよ」

「分かってる」

 だが。

 あの声は楽しそうだった。

 俺が強くなるほど、向こうも動く。

 千葉はひとまず安定。

 だが、地獄は近づいている。

「次は?」

 雪女が問う。

 九尾が答える。

「茨城」

 東のさらに先。

「古い神と軍神の地だ」

 俺は空を見上げる。

 均衡は保った。

 だが戦いは、確実に“世界規模”へ向かっている。

第二十三話でした。

千葉編完結。

今回は

・仲間化ではなく協定

・地獄本体の一部顕現

・列島接続統合の初使用

黒幕は「待っている」だけでなく、

“釣り上げようとしている”ことが明確になりました。

第二章は中盤へ。

次は茨城。

テーマは

・古代神格

・武神信仰

・管理局との再接触

物語はさらに深まります。

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