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『妖転覇道(ようてんはどう)』  作者: パーカー
第二章 関東霊都編

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第十九話 王と管理者

東京での全面衝突。

大百足は鎮まりましたが、戦いは終わっていません。

管理局は“未登録霊王”である悠真を拘束しようとします。

そして、地獄から伸びた“糸”が、静かに動き始めます。

それではどうぞ。

 東京の夜空が、青白く光る。

 ビル群を囲むように、巨大な都市陣が展開された。

「拘束術式、最終段階」

 執行官の声は冷たい。

 上空から無数の霊鎖が降り注ぐ。

 仲間たちへ向かって。

「来るぞ!」

 ヒグマが咆哮し、鎖を噛み砕く。

 だが鎖は再生する。

 雪女の氷も、なまはげの鬼気も削られる。

 天狗が高速で術者を弾き飛ばすが、次の陣が即座に重なる。

「都市全域制御型だ」

 九尾が低く言う。

「正面突破は不利」

「逃げるか?」

 俺は問い返す。

 九尾がわずかに笑う。

「逃げれば“野良の危険因子”として永久追跡だ」

 執行官が告げる。

「最後通告だ。対霊管理局の監視下に入れ」

「それはつまり?」

「霊脈干渉の許可制。戦闘行為の事前申請。妖怪の登録」

 なまはげが鼻で笑う。

「鬼を登録するか」

「秩序のためだ」

 秩序。

 悪い言葉じゃない。

 でも。

「それで全部守れるのか?」

 俺は問う。

 執行官の目が揺らぐ。

「少なくとも、暴走は防げる」

 その瞬間――

 足元に、違和感。

 都市霊脈の奥。

 地下のさらに下。

 “別の流れ”がある。

 冷たい。

 重い。

 嫌な気配。

「九尾」

「ああ」

 九尾の尾が逆立つ。

「地獄の気配だ」

 空気が変わる。

 都市陣の外側、アスファルトに黒い線が走る。

 細い糸のようなもの。

 それがゆっくりと広がる。

「なんだ……これは」

 管理局の女が顔色を変える。

「局の式じゃない!」

 黒い糸がビルの壁を伝う。

 地下鉄のトンネルへ潜る。

 都市霊脈の中心に絡みつく。

 まるで。

 釣り上げるように。

「……なるほど」

 九尾が呟く。

「試されているな」

 黒い糸が震える。

 東京全域の霊線が軋む。

 執行官が叫ぶ。

「全術者、防御陣へ!」

 都市陣が再構築される。

 だが糸はそれをすり抜ける。

 管理局の術式を“認識していない”。

「上位干渉……?」

 女が呟く。

 俺は胸の透明な勾玉を握る。

 鵺の力が震える。

 均衡維持。

 今まで地方で整えてきた霊脈。

 あれと同じ歪みが、ここに流れ込もうとしている。

「執行官」

 俺は言う。

「今は敵やってる場合じゃない」

 沈黙。

 黒い糸が、都市の中心部へ収束。

 地面が裂ける。

 闇が滲み出す。

「……一時的共闘だ」

 執行官が決断する。

「未登録霊王、協力しろ」

「上から目線だな」

「時間がない」

 その瞬間。

 地面から、黒い腕が伸びる。

 地獄の影。

 都市霊脈を掴む。

 空気が焼ける。

「主!」

 九尾が炎を放つ。

 だが炎が吸われる。

 違う。

 これは妖怪じゃない。

「管理局、都市霊脈の主導権を開放しろ!」

 俺が叫ぶ。

「制限付きだ!」

「それでいい!」

 執行官が歯を食いしばる。

「都市霊脈、一時委譲!」

 都市陣が緩む。

 膨大な霊線が俺に流れ込む。

 重い。

 地方の比じゃない。

「《霊脈統合・拡張》!」

 光が夜空に走る。

 地上、地下、高層。

 全ての流れを一瞬だけ繋ぐ。

 黒い糸へ干渉。

 絡み取る。

 再配置。

 拒絶。

 地獄の腕が震える。

 低い笑いが、どこからともなく響く。

「……まだ早いか」

 声は遠い。

 だが確かに届いた。

 黒い糸が焼け落ちる。

 闇が引く。

 都市霊脈が安定する。

 静寂。

 東京の夜が戻る。

 執行官が深く息を吐く。

「……確認。干渉消失」

 管理局の女が俺を見る。

「あなた、今の……」

「地獄から来てたな」

 九尾が低く言う。

「本物の“黒幕”だ」

 執行官が俺を睨む。

「お前の背後にいるのか?」

「知らない」

 正直に答える。

「でも狙われてるのは確かだ」

 沈黙。

 やがて執行官が言う。

「拘束は保留だ」

「随分あっさりだな」

「都市を守ったのは事実だ」

 だが目は油断していない。

「監視は続ける」

「勝手にしろ」

 九尾が笑う。

「面白いな、人の王と野の王」

 執行官は背を向ける。

「関東は甘くない」

「望むところだ」

 仲間たちが集まる。

 東京はひとまず沈静。

 だが俺の胸の勾玉は、まだ微かに震えている。

 地獄。

 あの視線。

 あれは、ただの観測ではない。

 待っている。

 俺が、もっと力を集めるのを。

「……利用されてるかもな」

 九尾が静かに言う。

「だが利用できるのは、力ある者だけだ」

 東京の夜景を見つめる。

 第二章は、まだ始まったばかり。

第十九話でした。

東京での全面衝突は一旦収束。

・管理局と一時共闘

・黒幕の地獄干渉

・主人公が“霊王”として認識される

物語は都市規模から、世界規模へ。

第二章は

東京 → 神奈川へ進みます。

そして黒幕の正体は、まだ伏せています。

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