第十八話 霊都崩壊前夜
東京編、全面衝突。
管理局上層部が参戦します。
そして――初めて“黒幕”の視点が入ります。
物語は、もう地方制圧の規模ではありません。
それではどうぞ。
夜の東京。
ビル街の上空で、大百足が暴れる。
地下霊脈がうねり、ネオンが明滅する。
その中央で、俺は核を掴んでいた。
「離せ」
低い声。
振り向く。
黒いスーツの男。
無駄のない立ち姿。
背後に幾何学陣が浮かぶ。
「対霊管理局・本局執行官」
男の霊圧は、主級クラス。
「都市霊脈への直接干渉は禁止だ」
「止めないと崩れる」
俺は言い返す。
大百足が暴れる。
外殻が軋み、紫の核が脈打つ。
管理局の女が叫ぶ。
「執行官、地下結界が限界です!」
男は冷静に俺を見る。
「選べ」
「何を」
「我々の統制下に入るか、敵対するか」
空気が凍る。
九尾が低く唸る。
「主よ、これは試しではない」
「分かってる」
なまはげが鬼気を纏う。
天狗が上空に舞う。
雪女が冷気を広げる。
ヒグマが咆哮する。
管理局の術者たちが陣を展開。
都市霊脈が二分される。
「……やるしかないな」
執行官が印を結ぶ。
無数の霊鎖が空から降る。
仲間たちへ向かう。
「全面制圧だ」
その瞬間。
東京の夜が戦場になった。
衝突
ヒグマが霊鎖を噛み砕く。
なまはげが鬼気で術者を吹き飛ばす。
天狗が高速で陣を破壊。
雪女が空間を凍らせる。
だが管理局も本気だ。
ビル屋上ごとに結界。
ドローン型式神が飛ぶ。
都市全域が術式で覆われる。
「都市は我々の庭だ」
執行官が手を振る。
地面から巨大な術式槍が突き上がる。
俺は跳躍。
だが大百足が暴れ、均衡が崩れる。
紫の核が暴走寸前。
「主!」
九尾が炎を放つ。
だが管理局の結界が炎を分断する。
「都市霊脈は我々の管轄だ」
執行官の目が冷たい。
「野良の王は必要ない」
その言葉が刺さる。
俺は野良か?
確かに、制度の外。
だが。
「野良だから見えるもんもある!」
《霊脈統合》展開。
都市版適応型。
地上と地下の流れを再調整。
大百足の核へ直接干渉。
「暴れるな!」
紫の核を抑える。
だがその瞬間。
執行官の霊刃が迫る。
直撃――
しかし。
天狗の風が逸らす。
なまはげの鬼気が叩き落とす。
ヒグマが盾になる。
「一人で抱えるな」
九尾が言う。
「お前は王だろう?」
王。
その言葉が胸に重い。
だが今は――
「王でも野良でもいい!」
大百足の核を握る。
紫の怨念を、分解する。
都市霊脈の流れに再配置。
喰うのではなく、循環させる。
核が収束する。
紫が淡くなる。
大百足の動きが止まる。
巨大な体が崩れ、霧となる。
東京の振動が止まる。
静寂。
だが――
執行官が冷たい目で告げる。
「未登録霊王の確認完了」
背後に巨大な都市陣が浮かぶ。
「拘束する」
都市全域が光る。
その時。
九尾が笑った。
「面白くなってきたな」
その頃――地獄
暗闇。
赤黒い空。
無数の魂が呻く。
巨大な影が玉座に座る。
「ほう」
低く響く声。
「都市で王が生まれたか」
炎の奥で、金色の瞳が開く。
「均衡を束ねる者」
黒い笑み。
「よい」
鎖に繋がれた無数の魂。
その中心で、透明な勾玉が脈打つ幻影。
「もっと集めよ」
影が呟く。
「もっと均衡を整えよ」
その手が、ゆっくりと動く。
地獄の底から、細い糸が伸びる。
それは、東京へと向かっていた。
「時が来れば――」
低い笑い。
「地上も、天も、地獄も、まとめて崩してやる」
炎が揺らぐ。
黒幕は、ただ眺めている。
第十八話でした。
東京で全面衝突。
そして初の黒幕視点。
黒幕は
・地獄にいる存在
・霊脈統合に興味を持っている
・主人公の成長を“待っている”
第二章は都市編ですが、
物語全体のラスボスが動き始めました。
次回は
・管理局との決着
・一時的共闘
・あるいは逃走
どれでも展開可能です。
ここから物語はさらに大きくなります。




