第一章エピローグ 北の霊脈、その後
福島の森を出たとき、空は澄み切っていた。
あれほど重かった空気が、嘘みたいに軽い。
「終わったな」
俺が呟くと、九尾が静かに笑う。
「一章が、だ」
仲間たちが揃う。
雪女は風に溶けるように佇み、
ヒグマは静かに大地を踏み、
海坊主は水気と共に気配を保ち、
座敷童子は俺の袖を引き、
なまはげは腕を組み、
天狗は高みから森を見下ろす。
そして――
胸の奥で、透明な勾玉が静かに回る。
【鵺】の力。
均衡を保つ力。
「主よ」
ぬらりひょんが低く言う。
「北は整った。だが整いすぎた力は、必ず目を引く」
「誰の?」
九尾が空を見上げる。
「“人”のだ」
遠く、南の空。
都市の気配。
欲望の匂い。
霊脈は、地方だけのものではない。
「関東は別格だ」
九尾が尾を揺らす。
「妖だけでは済まぬ」
俺は静かに息を吐く。
北海道から始まった旅。
死んだはずの俺が、今は霊脈を束ねている。
でも。
「天国に戻る方法、まだ分からないよな」
九尾は微笑む。
「近づいてはいる」
だがその目は、どこか遠い。
「だが悠真」
「ん?」
「お前は本当に、戻りたいのか?」
答えは出ない。
でも今は、それでいい。
「進むよ」
俺は南を向く。
北の霊脈編、完結。
だが覇道は、これからだ。
第一章・登場予定だった妖怪紹介
実は第一章で候補に上がっていた妖怪たちがいます。
本編の構成上、見送りになりましたが、
今後どこかで登場する可能性あり。
① 土蜘蛛(福島候補)
巨大な妖怪蜘蛛。
霊脈を“絡め取る”存在として構想。
鵺とは別ルートで、
「力を奪う敵」枠になる予定でした。
② アラハバキ(東北総括ボス候補)
東北の古代神格。
正体不明の土着神。
第一章ラスボス候補の一体。
最終的に「均衡テーマ」と合わず見送り。
ですが、再登場可能性大。
③ 鬼一法眼(山形候補)
天狗側の師匠ポジション。
修験道×軍略の妖。
山形を“修行編”にする案もありました。
④ 送り狼(秋田候補)
山道をつけてくる狼の妖怪。
味方になるか敵になるか曖昧な存在として構想。
第二章以降の山岳地帯で再登場候補。
第一章まとめ
■ テーマ:均衡と調和
■ 仲間数:10体(九尾含む)
■ 新スキル:《霊脈統合》
■ 九尾の正体:未解明
■ 天国への道:まだ遠い
第二章は
【関東霊都編】
・都市型妖怪
・企業と霊脈
・陰陽師系組織登場
・人間側との衝突
ここから世界観が一段階広がります。




