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『妖転覇道(ようてんはどう)』  作者: パーカー
第一章 北の霊脈制圧編

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第十一話 山の奥の笑い声(山形 前編)

秋田を越え、次は山形。

山形は山深い地。

修験、山岳信仰、そして――山に棲む異形。

今回のテーマは「隠された本性」。

静かな恐怖が、じわじわ来ます。

それではどうぞ。

山は、音を飲み込む。

 風の音すら遠い。

 杉林の奥、薄暗い参道を俺たちは進んでいた。

「……嫌な静けさだな」

「山は常に内に秘める」

 九尾が淡く告げる。

「この地の主級は、姿を隠す」

「隠す?」

 ぬらりひょんの影が揺れる。

「山には“天狗”が棲む」

 その名を聞いた瞬間――

 風が逆巻いた。

天狗(山形主級妖怪)

 高い鼻。

 赤い顔。

 山伏姿。

 だが、その姿は一瞬で霧のように消えた。

「……どこだ?」

 次の瞬間。

 背後から衝撃。

 俺は前に吹き飛ばされる。

「速い!」

 ヒグマが咆哮するが、空振り。

 雪女の氷も届かない。

 海坊主の水流も切り裂かれる。

 風そのものが刃になっている。

「主よ、空間を支配している」

 九尾が叫ぶ。

「山の気を操る天狗だ!」

 枝が折れ、岩が浮く。

 視界が歪む。

「愚かな」

 頭上から声。

 だが姿は見えない。

「力を得た程度で、山に踏み入るか」

 強烈な風圧。

 なまはげが鬼気を纏って踏ん張る。

 だが押される。

 天狗は姿を見せない。

「見えないなら――」

 ぬらりひょんの影が広がる。

 森全体に薄く影を敷く。

「影は誤魔化せぬ」

 その瞬間。

 一箇所だけ風が乱れる。

「そこだ!」

 雪女の氷槍が放たれる。

 だが直前で逸らされる。

「甘い」

 天狗が初めて姿を現す。

 巨大な羽。

 鋭い爪。

 目が金色に光る。

「主よ、核は背中の翼基部!」

 九尾が叫ぶ。

 だが近づけない。

 風壁が守っている。

「山は我が庭」

 天狗が手を掲げる。

 山気が集中する。

 空気が重くなる。

 肺が圧迫される。

 まるで山そのものが押し潰してくる。

「主、これは――」

 座敷童子の光が揺らぐ。

 因果すら曲がる。

 強すぎる。

 第一章で最も圧がある。

「人は山を軽んじる」

 天狗の声が低く響く。

「修行もせず、敬意もなく、ただ力を求める」

 ……その通りかもしれない。

 俺は力を集めている。

 でも。

「力だけじゃない」

 踏み出す。

 山気が押し返す。

 足が沈む。

「俺は、通る」

「通るだと?」

 天狗の目が細まる。

「山を越えるには、試練が要る」

 風が一点に集まる。

 巨大な風刃が形成される。

「主!」

 九尾が叫ぶ。

 回避不能。

 山ごと斬る一撃。

 だが俺は退かない。

「全員、集中!」

 鬼気、氷、影、水、怨念、因果、守護。

 全員の力を一点へ。

 だがまだ足りない。

 天狗が冷笑する。

「未熟」

 風刃が振り下ろされる。

 山が裂ける音。

 視界が白に染まる。

 山形決戦、後半へ。

山形前編でした。

天狗は

・山の守護

・修験者の象徴

・試練の存在

として描いています。

第一章ボス級の強さです。

これまでの妖怪とは違い、

「純粋な格上」

として立ちはだかります。

後編では

・連携の進化

・主人公の覚悟の深化

・章ラストへの伏線

が描かれます。

第一章、いよいよ最終盤。

読んでくださりありがとうございます。

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