第十話 鬼の問い(秋田 後編)
秋田編後編です。
なまはげの問い。
「お前は何のために戦うのか」
力ではなく、覚悟が試されます。
それでは決着です。
雪嵐が吹き荒れる。
なまはげの鬼気が空を震わせる。
赤い面の奥から、鋭い視線が俺を射抜く。
「答えろ」
重い声。
「何のために戦う」
胸が痛む。
天国に戻るため。
それは間違いじゃない。
でも。
それだけか?
俺は、仲間を見た。
雪女。
ヒグマ。
海坊主。
座敷童子。
ぬらりひょん。
九尾。
みんな、俺を見ている。
信じている目。
「……最初は、自分のためだ」
正直に言う。
「死んだまま終わりたくなかった」
なまはげは黙って聞く。
「でも」
拳を握る。
「今は違う」
雪が舞う。
「こいつらと出会って、守るものが増えた」
「守る?」
「天国に戻るかどうかは、まだ分からない」
本音だ。
九尾がわずかに目を細める。
「でも、逃げるためじゃない」
なまはげの鬼気が揺らぐ。
「俺は前に進むために戦ってる」
その瞬間、鬼が動く。
裁きの一撃。
真正面から来る。
「主!」
ぬらりひょんの影が展開。
ヒグマが咆哮。
雪女が氷壁。
だが鬼の力が上回る。
「全部使うぞ!」
海坊主が水流を巻き上げる。
座敷童子が因果を反転。
九尾の尾が炎を帯びる。
全員の力が重なる。
鬼の一撃とぶつかる。
大地が割れる。
雪が爆ぜる。
だが――まだ足りない。
なまはげは止まらない。
「覚悟があるなら」
俺は踏み込む。
「証明する!」
鬼の懐へ。
拳を振りかぶる。
赤い面の奥。
揺れる核。
熱い。
炎のように熱い。
「これが、お前の裁きか!」
核を掴む。
鬼気が流れ込む。
怠惰への怒り。
弱さへの嘆き。
人を正したいという願い。
なまはげは破壊者ではない。
戒める存在。
「俺も弱い」
力を込める。
「でも逃げない」
鬼の咆哮が夜を裂く。
雪嵐が止む。
赤い光が収束する。
なまはげが膝をつく。
「……よい目だ」
鬼面がゆっくり外れる。
そこにあったのは、穏やかな表情。
「弱さを認め、進む者は裁かぬ」
赤い勾玉が浮かぶ。
それが胸へ吸い込まれる。
【なまはげ:加入】
能力: ・鬼気増幅(全能力一時強化)
・裁断撃(単体高威力)
・怠惰看破(精神系看破)
雪が静かに降る。
山里の灯りが戻る。
九尾が告げる。
「秋田、制圧完了」
座敷童子が小さく拍手する。
ヒグマが低く唸る。
雪女が静かに微笑む。
俺は息を吐く。
「鬼に説教されるとはな」
「成長したな、主よ」
ぬらりひょんが笑う。
九尾がじっと俺を見る。
「天へ帰るか否か」
またその問い。
だが今は、はっきり言える。
「最後までやってから考える」
九尾が満足げに笑った。
「それでよい」
俺は南を向く。
「次は?」
「山形」
九尾の声が低くなる。
「山の深き妖が待つ」
北の霊脈編は、終盤へ。
秋田編、完結です。
今回は精神決着寄りのパワーバトル。
なまはげは
・裁き
・問い
・成長の象徴
として描きました。
これで仲間は8体。
第一章は残り
山形
福島
の2県。
章ボス級の存在も、そろそろ姿を見せます。
読んでくださりありがとうございます。




